2クールの長きに渡る狂騒も一旦ここで幕、区切りに選んだのはヒロイン勢ぞろいのドッタンバッタン大騒ぎ！ という、令和うる星第23話である。
僕はこのアニメある種のアンソロジーとして見ているので、こういうタイミングでどんな話を選んで全体を構成してくるか気になっているわけだが、しんみりエモくまとめるよりも、ワイワイ賑やかな感じで終わらせてきた。
一本繋ぎの長尺、色んなキャラが顔を出しての八方破れ、大変騒々しくもこのお話らしい仕上がりで、良い前半最終エピソードだなと思いました。
散々騒いで〆はラムとダーリンの甘酸っぱい純情で……と思わせておいて、やっぱりドタバタでまとめていく緩急も良かった。
ラムの電撃必殺技を中心に生きの良い作画も堪能できて、終わらない物語ひとまずの終わりに相応しかったです。
というわけで前半最後の祭り、とにかくテンション高くやりたい放題に暴れていく。
普段は被害担当という印象も強いあたるだが、今回は悪徳やりてプロモーターとしてスポンサーをつけたり予算をちょろまかしたり、ハチャメチャな種目を用意したり、最後までタフに頑張っていた。
時折ぶっ飛ばされつつもめげることなく進行を続け、最後の悪辣も逆転食らうことなく見事にやりきって、鯛焼き津波で一人勝ち。
こんだけあたる一人がちなのも、けっこう珍しいんじゃないかな。
彼がコンテストを盛り上げるお祭り男として頑張っていた分、トホホ担当は面堂くんに全部おっかぶさった感じもあり、かつてのクールなライバルキャラが嘘のようにノリ良く、覆面被って気持ちよく乱入し、あっという間にぶっ飛ばされていった。
人間、変われば変わるもんだねぇ……。
”変わった”といえばランちゃんのキス・デバフ（ぶっちゃけ、登場以来存在完全に忘れてた）貰わないと猛獣とのマッチアップが成立しない、しのぶの怪力も大したもんで。
ドコスカバキとノリ良く暴力的ツッコミを続けていった結果、戦闘能力が研ぎ澄まされすぎて、常識外の相手を用意した上で武器を奪わないととバトルが成り立たないの、終わりなき頂上ラブコメの臨界点って感じがある。
人間相手だと相当ヤダ味が濃いだろうくんずほぐれつキス狙いを、相手を動物にすることでうまーく毒を抜いてギリギリ笑えるラインにまとめているのは、ヒロイン並べてみたら強すぎて”美人コンテンスト”ではまとまらない、このアニメらしい手筋な気もする。
こんなハチャメチャ状況でも夢に向かって頑張る竜ちゃんの健気さとか、大食い要素がいい塩梅に暴れるサクラ先生とか、各キャラの美味しい要素を惜しげもなく暴れさせる、良いバトルロワイヤルだった。
他のヒロインがいろいろな角度からピンチを演出される中、メインヒロインであるラムが手弱女っぷりを一切晒すことなく、電撃軸で多彩な技を見せる優秀なアタッカーと描かれ続けるところとか、あの子のキャラ性を良くつかんだ描き方だったと思うよ。
ラムが”揺れ”を見せるのは、基本ダーリンの前だけだからな……。
かくしてドタバタの果てにちゃっかり稼いでホクホクなあたるに、青春の夕日が迫るッ！
第5話でもそうだったけど、やっぱ令和うる星は夕景の作り方、使い方が良いなぁ……。
たくさんのキャラが顔を出すカオスな面白さをたっぷり見せた後に、主人公とメインヒロインのしっぽり落ち着いた情景でまとめてくるのは、”うる星やつら”ってのがどんなお話なのか、最後にしっかり思い出させてくれた。
結局この二人の甘酸っぱい追いかけっこが軸になってくれてるからこそ、ワイワイ騒がしく終わらない騒動にまとまりが出て、何でもありな混沌が”らしさ”になっていく。
結局ラムの純粋さには勝てないダーリンのピュアさも、たっぷり堪能できたしね。
ここで真実を告げてしまえば話は終わりなわけで、作品世界を内破させないためにも怒り狂った被害者が追いかけてきて、あたるは夕日の向こうへと逃げていく。
第1話ではあたるがラムを捕まえて始まった物語が、一区切りとなるこのエピソードではラムが逃げるあたるを追いかける形で終わっていくのが、構図として綺麗だなと感じる。
二人の追いかけっこは主客強弱を入れ替えながら色んな場面で繰り返され、答えにたどり着いてしまえば終わってしまう危うさと戯れながら、永遠の純粋さを保っていく。
その終わらなさがやっぱり良いのだと、最後に思い返して、令和の”うる星やつら”は一旦の幕引きである。
大変良かった。
と言いつつももう2クール、来年にはまた新たな終わらない狂騒が動き出すわけだが。
こんだけ”うる星”の原液そのまま……というには色んなところをちゃんと整えて、ファンを裏切らず”今”を刺すアニメにして頑張ってくれているのは、ありがたくも嬉しいリブートでした。
賑やかな世界観を支えるたくさんのキャラを、矢継ぎ早に並べて走りきった前半戦に続いて、後半戦が何を描くか。
来年の再開を楽しみにしつつ、僕が”うる星やつら”の何が好きだったのか、新たに思い出させ出会わせてくれるアニメを届けてくれたことに、心からの感謝を。
お疲れ様、ありがとうございました！
しばらく先の再開を、心から楽しみにしています！！
