機動戦士ガンダム 水星の魔女を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
プラント・クエタの衝撃が夢のように、地球寮の生徒達は学園に戻り、決闘の日々が続く。
オープンキャンパスの準備に勤しむ中、不意に訪れた転校生達は、学園に満ちる欺瞞を憎悪の色で睨む。
果たしてGUND-ARMは破壊のための兵器か、未来を拓く希望か。
そんな感じの三ヶ月ぶりおまたせ地獄! みんな大好き水星の魔女堂々の帰還である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
あんだけショッキングなヒキが嘘のように、冒頭から瞬殺決闘劇場が展開され、学園は全て事もなし…とは、当然収まらない。
企業の圧力で表向き”なかったこと”になっても、テロルに飲まれた心は震え続け…
あるいはそんな人間らしい弱さを乗り越えたように思える現状こそが、歪さの表れともなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
12話の放送を経て、学園という檻の息苦しい嘘、その外側にひろがる企業管理下のジャングルを思い知ったからこそ、決闘にもスレッタにも違和感があり、しかしそれをどこに預けたものか、答えはない。
作品が学園を舞台にスタンダードとして選んだものに、見ているものが違和感を抱くべき展開に合わせて、地球で”現実”なるものを思い知った魔女たちが転入してきて、首輪も付けずに好き放題暴れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
それで偽りの檻は壊れるのか、はたまた暴走すら誰かの計算のうちか。
矢継ぎ早な展開で視聴者を揺さぶりつつ、どこかに彼らに相応しい安らぎがあって欲しいと思わせる絆や可愛げもあって、しかし情勢はそんな祈りを許しそうもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
速さと巧さを兼ね備えた最新鋭の劇作は、第2クールに入っても健在…というか、クエタの惨劇で風穴開けてさらに加速しそうである。
現実なる者の過酷さを思い知った地球寮の面々が、重苦しい嘘の中で感じる違和感が、そのまま視聴者が作品を見つめるメタ視点とリンクしだしているのが、なかなか面白いなと感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
挑戦者からホルダーへと立場を変えて、演じられる13話目の決闘儀礼。
血が流れない勝利に胡散臭さと安らぎを…
同時に覚えるのはなんだかんだ、”水星の魔女”が描いてきたものが肌に馴染んだ証拠ではあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
勝ちさえすれば何もかも願いが叶う、特別で清潔な決闘。
それを下支えする企業のシステムは、空々しい団結を自作自演な死体の上に重ね、嘘で塗り固めて地球へ兵を進めようとしている。
そういう世界のハラワタを見てしまってなお、ノンキに学園ガンダムやってる場合か?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
そんな疑問が地球寮の面々を震わせるし、”現実”なるものの最も残酷な犠牲である地球の魔女たちは、憎悪をこめて苛立つ。
こんなキレイな嘘っぱちが、現実のはずがない、と。
しかし親なきテロリストが触れ得ぬ場所で、才能ある下層民を社会の上澄みに組み上げるシステムは確かに起動してて、ニカやシャディクはそうして宇宙に上った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
そこも別に楽園ではないことは、既に書かれた通り…であり、今後更に血生臭く掘り下げられていく要素なのだろう。
学園の内側にひろがる嘘くさい眩さと、外で渦巻く血みどろの闇。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
連絡員として、その中間地点に引っ張り出されたニカは今回、明暗がくっきりと分かれた構図に幾度も置かれる。
夢と現実の狭間、生と死の境界線。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第13話から引用) pic.twitter.com/eRS75Grks4
それは混ざり合うことなく境目を広げて、暴力的手段に自分を預けなくとも夢への道が拓ける場所と、兵器の一部として自分を使い潰さなければ生きることすら許されない場所を、隔て広げていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
それは地球と宇宙、テロルと企業の間に広がる裂け目であり、表向き綺麗に秩序立てられている。
しかしクエタ事変の自作自演っぷり、臭いものに何もかも蓋をして”正義の戦争”で地球を潰そうと画策するグループの決定を思えば、闇と光にたいへんよろしくない橋がかかっているのは、既に自明だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
というか戦争ビジネスを企業に吸い上げる学園の機構、兵器ショーケースである決闘自体が、汚れた橋だ。
ニカは闇と光の間を仲立ちするシステムが、自分の夢を叶えてくれる魔法の階段だと信じていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
しかし謀略を燃料にテロルが駆動し、その尖兵が学生っ面で自分の庭にズカズカ踏み込むに従い、そんな甘いことはないと思い知らされる。
…っていう、シンプルな”理想VS現実”の構図でもないな。
地球の魔女たちが学園でブン回す、野放図で粗野な現状認識は、あくまで彼女たちから見た事実であって、世界の真実全てではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
例えば株式会社ガンダムが成功のレールに乗っかったように、華やかに夢叶う世界だって確かに”現実”だろう。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第13話から引用) pic.twitter.com/sjytaBxi1a
スケッチブックに刻まれているのは、今自分の目の前にある漂白された胡散臭い夢ではなく、自分を包囲し捉える地球の”現実”だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
テロルの尖兵としてメシの食い方も教えられず、家族なはずの人形たちも新しい玩具に簡単に、席を奪われてしまう、荒廃しきった魂の貧困。
その狭苦しさは学園が白々しくはっつけてる嘘と同じ程度に真実を捉えず、確かに一つの現実だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
この境界線に体温宿して切り込んでいくには、スレッタの瞳はあまりに震えず、赤く汚れた掌を顧みなさすぎる。
生々しく鮮烈な赤で、三ヶ月間を置いても…だからこそ脳裏に突き刺さった、殺しの手触り。
自分がその手で握りつぶした命を、気にもとめずに医療機器としてのガンダムを堂々信じ、かなたの花嫁を待ち望むスレッタの純真も、学園の風景と同じく白々しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
『進めば二つ』という魔法の言葉が、もはや呪いと僕らに響くように、かつて見えていた景色はおぞましき変質を、正しく果たしつつある。
それは学園というシェルターで、あるいは母の愛という胞衣で覆い隠されていた事実が暴力的に暴かれ、真実の一端が見えた結果の揺らぎだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
水星から来た田舎娘が、健気にチャーミングに僕らを惹きつけていた振る舞いの奥、確かに息をしていた呪いが顔を出したから。
何かが、ひどく嘘くさく思える。
そういう意味では、ひどく短絡的に怒りを叩きつける地球の魔女たちの振る舞いは、視聴者の思いにシンクロした巧妙なる稚拙…とも言えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
ガンダムが人間使い潰して動く悪魔の兵器でしかない場所からすれば、スレッタとミオリネの輝く夢は、破壊し否定するべき嘘そのものだ。
その憎悪に待ったをかける時、スレッタがホルダー権限と学園のルールという、檻の中でしか通用しない特権をブン回す立場にあるのが、12話かけた逆転の構図でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
入学時はイカれた決闘に当惑しつつ、システムに振り回される側だったスレッタは、気づけばシステムの先頭でそれを利している。
この相転移にスレッタが無自覚なのは、半分くらいは彼女の幼さと性格…あとママンの教育のおかげだけども、もう半分はシステム自体が巧妙に権力の構造を透明化し、反逆者を内側にまくり込んでいくからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
僕だって、第1話で学園と決闘を見た時、イカれてると感じたはずだ。
しかし残酷で魅力的なドラマがそこを舞台に踊り、矛盾の狭間で確かに嘘のない青春のきらめきが眩い物語に浸るうちに、違和感は飲み込まれ、『そういうものだ』と塗り替えられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
しかしやっぱり『そういうもの』が世界の全てではないのだ。
地球寮の子ども達の震えは、そういう狭間に否応なく…
立たされたと自覚したからこその反応だし、母も学園も決闘も、己も疑わぬままポジティブなスレッタの真っ直ぐさは、今やもはや悍ましくすらある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
それは今、急に芽生えてきた悪種ではない。
物語が始まったときから…あるいはその前景たるPROLOGUEから、ずっとそこにあったのだ。
そういうものを有形無形、的確かつ巧妙に見えなくするからこそ、権力は権力として維持され収奪の構造には変化がないわけだが…魔女たちを送り込んだシャディクは、ここら辺の構造自体を根っこからひっくり返したい…のか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
彼女たちの憎悪が場をかき乱すこと自体を、起爆剤として使う腹積もりか?
そこら辺は今後解るとして、学園に残ったスレッタと、本社に取り残されたミオリネの分断が、不穏な状況を発酵もさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
その中心で甘やかな糸を操るのは、蛇の仮面を纏った母。
境界線は、牙のように娘たちを狙っている。
(画像は”機動戦士ガンダム 水星の魔女”第13話から引用) pic.twitter.com/Y4BqheMqGQ
頼もしくもおぞましいスレッタの不変は、母を神と信じ続けること、殺戮の責務すらそこに預けてしまうことで支えられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
これを抜け出して、一人間として返り血の冷たさを引き受け、行いの意味を選び取る道は、温室の奥に続いているのか、手前に伸びているのか。
ミオリネとの縁の象徴、柔らかで特別な関係性の暗示だったはずの温室が、奇妙なおぞましさを宿して母の呪いを増幅している構図は、クエタの悲劇を目の当たりにした物語の変貌に、上手く噛み合っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
蛇の仮面を外して…あるいは母の仮面を纏って、投げかけられる安住の呪い。
それをスレッタが振りちぎるよりも早く、父への愛憎を鎖に変えて、プロスペラが闇へと少女を誘う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
超意味深にぶっこまれた”クワイエット・ゼロ”が語る、戦争をかき消すGUNDの福音。
『オメーのオヤジの夢だから』を殺し文句にするあたり、血の軛がよく効くとつくづく理解ってるなぁ、ママンは。
無垢なる殺戮者、微笑む怪物の顔で自分を守った、愛すべき花婿。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
ミオリネがスレッタの殺戮を、母の引力に引きずられての幼き凶猛だと自力で気づいているのは、一つの救いである。
学園から離れて孤立無援、すり寄るのは蛇の顔した義母ばかり。
極めてヘヴィな状況だが…さてどうなるか。
破壊マシーンか希望の光か、GUND-ARMの本質を決めるかのように思えて、遊戯めいて凶暴な決闘の行方とともに、なかなか気になる二期目のヒキである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
別にどっちが勝ったとて、学園の外(あるいは学園をまくり込んで駆動する、企業主導の世界)がそうして証明された”ガンダム”を認めるわけでなし。
優しい嘘に、甘やかな檻に囚われ護られている自分たちを見つめ始めた子ども達を、地球の魔女たちの暴挙がどう揺らすのか、次回も大変楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
彼女たちが見据える、それだけが真実なのだと思い込まなければとても耐えられない、権力ヒエラルキー最下層の”現実”。
学園がかなり意図して排除してきたものが、シャディの手引で無菌室に持ち込まれて、何が怒るかが大事な気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
ミカが危うい狭間に立ちながら見上げている夢が、微かでも自分たちの未来に繋がりうるのだと思える変化は、使い捨ての子ども達に届くのか。
そういう悠長が、この世界に許されているか。
地球の魔女たちの末路は、それを観測するいい機会にもなりそうです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2023年4月10日
もうちょい出し惜しみするかと思ってたけど、最初からフルスロットルでキャラ使い潰して死相出させてて、イヤーな予感しかしねぇよ俺は。
大変このアニメらしい、セカンドシーズン開幕だと思います。
次回も楽しみッ!!!