さらば日本ただいまナフレス!
豪雨とともに叩きつけられ赤い真実に足を止めることなく、超時空ゴルフストーリーは更に加速していく。
イヴ母方の実家真実がパなされる、バディゴル第17話である。
雷鳳での学園ドラマを懐かしく思う気持ちはまだあるが、何しろ本編と主人公がそういう感傷置き去りにガコガコ進んでいくので、見てる側の気持ちも立ち止まることなくゴロゴロ引っ張られていくという、パワフルな進行である。
『こなた闇ゴルフの恨みを抱えたマフィア、かなた娘可愛さと一家の妄執に囚われた大企業、どっちも敵だらけだがイヴはどうする!!?』という問いかけに、『実家がマフィアで大企業なので、そこを頼って風穴を開ける』という答えを叩き込んでくる剛腕……今、俺はバディゴルを食べている!
つーわけでセイラママンがトチ狂って強めの圧力をかけ、日本にもいられなくなったイヴ。
自分なり事情を飲み込んで葵から離れつつ、プロの舞台での再戦だけを視野に入れて真っすぐ突っ込んでいくのは、とても彼女らしい決断だった。
残された葵は親父由来のヤバ脳髄に悩まされつつも、健気にイヴを慕って学園で頑張り続けていて、二人の運命が再び結びつく時はあるのか……二度目のナフレス編が終わった後が、なかなか楽しみである。
意味深に人質宣言した、雨音の事情とかも気になるしね。
穂高プロがズタズタになってセイラママンの元に戻ってきた背景とか、細かく後半を引っ張りそうなネタをトンチキ展開に混ぜ込んであるのは、野蛮と繊細が同居するこのアニメらしい所。
んで、頼るのは昔の女ってわけで、待ってましたのヴィペールさん再登場。
誘いを受けて、学園辞めてもイヴのもとに走るイチナといい、出会う女皆狂わせるハンサムガール過ぎるな、イヴァンジェリン・バートン……。
すっかりサクセスを果たした身なのに危ない橋は渡るわ、気になって現場に潜入してチャカ突きつけられるわ、すっかりイヴが好きすぎて頭がおかしい人になっており、大変良かった。
キャラの立ったオモシロ人間たちが、こうしてガツガツ再登場するのはありがたいので、新展開の速度に飲み込まれる形で噛ませ犬に終わった灘南組も、終盤戦で一発かまして欲しいモンだ。
偶然と運命に助けられ、ヨーロッパランキング八位さんを鎧袖一触ぶっ倒して。
しつこく自分を付け狙うマフィアを黙らせ、葵と再戦可能なプロの椅子を掴み取る道を切り開いたイヴに待つのは、命懸けのアプローチ!
このアニメらしいスピード感で、デカい運命が切り開けそうな状況に一気にたどり着いていくのは、立ち止まってグダグダ考える暇がなくて大変良い。
厄介事を全部横にのけてくれそうな太くて黒い実家を動かすためには、ゴルフの腕前を認めさせなきゃダメって展開も、世界の全部がゴルフで動いている作品のルールに相応しいし、家族の情に甘えず実力を示すイヴらしさもある。
まぁそういう道に立てたのも、ヴィペールさんやハーヴェイおじさんの尽力あってのことだが……存在質量がデカい人間が、自分に惚れ込んで勝手に手助けしてくれる連中のことを必要以上に顧みないの、英傑の資質って感じで結構好きだ。
そのくせ差し出された手を、変なタイミングで両手で握りしめてまっすぐ見つめてくる事があるので、人生と感情メチャクチャにされつつ、イヴについていく人が多いのは解るんだよな。
天真爛漫な笑顔で凡人すりつぶしていく葵とは、また違った美しい傲岸をイヴは持っとるわけだが、この癖の強さが魅力になるための説得力が展開と描写にしっかりあって、アクの強い主役をちゃんと好きになれる話なのは、とても良い。
つーわけで過去に呪われた天鷲ママンの暴虐にもめげず、主人公が人生の裏ルートを爆走して道を切り開いていくエピソードでした。
学園青春ストーリーから一気に方向転換した(あるいは闇ゴルフ時代に戻った)第三章ですが、親世代のネトつく因縁、大企業とマフィアを背景に広がるスケールと、衰えないパワフルさで話が転がっております。
この力強いアニメを生み出すメインエンジンが、一体誰なのか。
記憶を取り戻しても無くならない……というかむしろ燃料が更に積まれた感じがある、我らが主人公のタフさを思い知らされる展開、大変に清々しい。
祖父に自分を認めさせるためにも、葵と再び競う道を拓くためにも、立ち止まってなどいられないトンチキ孔球獣道、次回は一体どこに突っ走っていくのか。
来週も大変楽しみです。