イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Dr.STONE NEW WORLD:第7話『絶望と希望の光』感想

 宝島編堂々開幕! 主人公サイド初手でほぼ全滅ッ!!
 最高のホットスタートを決めつつ、不屈の四人が窮地に足掻くドクスト三期第7話である。
 いやー……準備期間が長かった分、この急展開での緩急は最高に痺れるねやっぱ。
 こっから新キャラモリモリ増えていく中で、画面にキャラが映りすぎて狭い状況も回避できるし、『どーせ原始人の集落でしょヨユーヨユー』という見てる側の油断を気持ちよく裏切るし、やられてみると納得しか無い妙手だ。
 ”石化”っていうバッドステータスが、行動不能だけども死んで終わってはいない大変ちょうどいい塩梅で、『復活させさえすれば勝利ムードだけど、そこにたどり着くまでが大変』という課題設計にスムーズに繋がる。
 謎めいた不意打ちの結果だけを叩きつけることで、襲撃者の正体や力量を探っていくミステリも生まれるし、やっぱ新章始めるときは最初のハッタリが大事だなぁ……。

 

 つーわけで千空、ゲンちゃん、コハク、ソユーズ(+スイカ)という、チームとしての凸凹が噛み合った連中の奮闘が始まる。
 人数でゴリ押す正攻法が奇襲で封じられたので、知恵を絞って情報を集めていくことになるわけだが、むしろ科学王国の正道に立ち戻った感じすらあって、即興の科学捜査は見ごたえがある。
 知恵比べになると、千空ちゃんとゲンちゃんが悪い顔たくさんするので嬉しいしね……。
 唐突に発足するストーンワールド科学捜査研とか、レザースキンの防毒マスクで科学制圧仕掛ける所とか、今回はヴィジュアルが新鮮かつ強いエピソードで、作画にもそれに応える気合があった。

 二人がクールな現実主義者なのが展開のテンポを上げてもいて、本丸を抑えられて仲間も潰された状況でどう逆転するか、結果最重視の立ち回りをしてくれる。
 そうは行かないハラハラな感情はコハクちゃんが爆発させ(た上で、二人がしっかり手綱を握っ)てくれるし、ガチャガチャいらない足踏みしている場面が少ないのはやっぱり見ていて気持ちがいい。
 ソユーズくんを記憶喪失にしたことで、適切なタイミングで補助情報を出して調査を進める道具立ても整っているし、生き残りの人選は精妙だよなやっぱ。

 

 色仕掛けを生存戦略にしているアマリリス接触し、謎めいた”頭首”、彼が支配する島の体制を探っていくミステリも、情報の出し方が程よくてハラハラする。
 あれだけ鮮烈な奇襲を仕掛けてきた相手は、一体どんな社会を形成し、どんな手段で向き合うのが正解なのか。
 対話か武力か、見定めるより早く鼓動不能にされちゃったわけだが、そっから逆転するためにも島の内実を知る必要がある。
 こういう怜悧な戦略的ニーズと、新しいキャラとドラマがどんどん動き出している手応えが噛み合って、物語的なトルクが大きくなっていく実感は、まさしく新章の醍醐味だろう。

 ひっそり姿を隠して調査はしてるんだけども、状況自体が立ち止まるタイミングがほとんどない。
 村人の人物像をプロファイルしたら即座に接触できて、対話を通じて島の体制(千空サイドがつけ込む隙)がおぼろげに見えてきて、推測されてた通りのロクでなしが村に襲撃をかけてきて……と、推測と事実の両輪が、テンポ良く話を前に進めていってくれる。
 科学知識を読者に開陳する時もそうだけど、状況ごとに必要な情報を手際よく伝えて、それをテコに状況がまた動いて新しい情報が必要になって、それを努力と知恵と幸運の合わせ技で捕まえて……というサイクルが、元気に動き続けるのは、このお話の大変強いところだ。

 千空ちゃん筆頭に、結構ヤバい状況にも強がり一つ張り付けて嘆かず、大逆転を信じてあがき続ける不屈が、この小気味いい展開の原動力になっている。
 なんだかんだ少年漫画なので、ピュアで熱い魂の強さが根っこにあってくれると、見たいものの真ん中にズバンと描写が来てる気持ちよさを、たっぷり感じることが出来る。
 諦めざる者たちが手を取り合い、お互いの強みを生かして一歩ずつ、真実と勝利に向かって近づいていく。
 その歩みがけして順調ではなく、山盛りの謎と困難に満ちているワクワク感も含め、宝島編大変いい感じの滑り出しです。
 次回はどんな挑戦が待ち構えるか、楽しみですね!