イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

私の百合はお仕事です!:第7話『ギャルといいますのね?』感想

 折り返しも過ぎて大きめの地雷も撤去、よっしゃぁ新たな地雷原を発掘だ!
 とばかりに、激ヤバクラスメイトとギャル先輩にクローズアップしていくわたゆり第7話。
 外面づくりが上手すぎる陽芽、戯れが出来なさすぎる美月とはまた違った方向で人生と軽やかに踊れない女、間宮果乃子の実情がバンバンぶっぱなされ、『他人を表面だけで判断するのはジッサイ失礼』『それはあんま”普通”じゃない』など、野趣あふれるわたゆり味わいに地獄の食レポも捗る。
 陽芽への執着は過剰な防衛本能の裏打ちであり、自分も他人もあるがままには見れない不自由さは全員共通なこのお話。
 メイン二人が一旦落ち着いた……風に見える中、第2章の開幕を鮮烈に告げる眼鏡二人のデビュー戦となりました。
 まー捻じれきったこの純情花舞台、シンプルな”負け役”として上がってるやつァ一人もいねぇって話よね……。

 

 つーわけでブルーム選挙が始まり華やぐリーベ女学園、承認欲求モンスターが勝ちにガッつく裏で、携帯電話というパンドラの箱をガバッと開けてしまった純加先輩は、果乃子の警戒を解くべく色々奮戦していく。
 『人見知りキャラ』なんて可愛い言葉で片付く人格、当然このお話のキャラが搭載しているはずもなく、過剰警戒の現れとして外見で勝手に判断カマスわ、当人いねー所で陰口叩くわ、最悪ムーブの釣瓶打ちである。
 今まで陽芽と美月、二人の激ヤバ人間にカメラが寄っていた分切り取る余裕はなかったが、果乃子にもまた特有のヤバが備わっており、一種能力バトル的なキャラ立てにも思える。
 嘘がなければ成り立たない人間世界で、嘘に溺れたり本気すぎたり、適正距離ってもんを適切に取れない連中がゴツゴツぶつかり合いながら進んでいくこのお話に、新たなモンスターがリング・イン! てなもんだ。

 マジ無礼な果乃子の立ち回りに振り回されつつも、ギャル先輩は牽制ぶち当てたり相手の顔色を探ったり、どうすれば心を開いてくれるか、真っ当に立ち回っていく。
 だからこそ自称・普通がぶっ壊れてる果乃子のアンバランスも際立つわけだが、マトモなガワに安心して蓋を開けてみたら怪物が飛び出してくる、百合色のジャンプスケアがそこかしこに待ってるこのお話。
 今はギャル先輩が”受ける”フェイズってだけで、存在質量のデカさは他の連中に負けてない! 描け地獄のアルマゲスト! 女と女が描く太陽系はいつだって、禍々しい”相”を指し示しているぜーッ!! という話でもある。
  どいつもこいつもギリギリ限界、猫背のまま虎になりたい連中ばかりが潜む吉羊寺ジャングル探検(クルーズ)は、まだまだ始まったばっかりなのさ……。

 

 そんな獣(ベスティア)の一人である果乃子は、陽芽に打ち明けぬ思いを携帯電話の中で発酵腐敗させて、ニチャニチャネトネトした純情を独占欲でかき混ぜている。
 『大事なお友達』ってガワを維持したまま、自己も関係も壊さないまま安全距離から打ったジャブでは、重たい幼なじみ爆弾を抱えた二人が行き着くべき場所に転がっていくのを止めるのは難しく、美月と陽芽は比較的落ち着いてキャッキャする間柄になってしまった。
 『自分が一番、陽芽ちゃんを解っている』という金科玉条にしがみつくことで、ギリギリ自分を保っている激ヤバ人間としてみれば、陽芽が外面引っ剥がして自分の気持ちに素直になること、思いの外苦しい嘘つき人生から変わっていくことは、耐え難い変化だ。

 たとえ相手が塗炭の苦しみにもがくとしても、自分の存在価値と癒着した今を変えさせはしない。
 絡み合う髪はそんな執着の象徴でもあり、ド眼鏡が自分で思っているほど純情でも綺麗でもない腐臭は、千花純加の鼻をつく。
 自分にジャブ打ってくる純加はおろか、大事な陽芽ちゃんも含めて他人を色眼鏡でしか見ない果乃子が視力矯正具を必要として、裸眼で他人の心を見ようと心がけてはいる純加が伊達メガネなのは、面白い示唆よね。
 アニメで改めて描かれると、そらー寧々さんもツッコむわなぁというむき出しの無礼ぶっこいてて、『なんだこのアマ……』感凄かったな。
 わがままお姫様を支える控えめな侍女を、一皮剥いてみると思い込みで他人をジャッジするフツーのヤバという裏切り方、俺結構好きなんだよな。

 

 読書家キャラを仕事では演じ、本性はお軽いギャル先輩……の二層構造と思いきや、一番最初に来て一番最後に帰る生真面目さを秘めた純加。
 この奥に更にもう一枚二枚、地獄の羽目板が用意されているのがわたゆりで、『マトモな先輩が問題山積の後輩たちを優しく導き、正しく生き直させていく』つう構図には、当然収まっていかない。
 触れる度出してた棘は涙でちょっと角が丸くなったが、美月も真人間に”矯正”されたわけじゃねぇしな。
 どうやったってネジ曲がって生きて行くしかない性根を、ちょっとずつ殴りつけて付き合い方を見つけていく道のりは、なかなか長くてそれほど無益でもない。
 
 陽芽としか話したくない、触れ合いたくない果乃子の牢獄から、窮屈そうにお姫様が逃げ出しかけている様子は、『そろそろ真面目にコンカフェやっかー!』と、今更原典を学習し始めた様子からも解る。
 『早めにやっとけ仕事なんだから!』とも思うが、就労のキッカケがヤクザまがいのハメ手なので、思い出を焼け野原にしたクソアマとの関係が一旦落ち着くまでは、真面目にやる気も起きねぇか。
 逆に言えば美月とバチバチ本音芝居ブッかました経験は、陽芽の人生を着実に変えてもいる。
 そういうデカい波しぶきが、相性最悪なメガネとギャルにもおっかぶさってくるものか。
 一つの山場を過ぎてなお、グラグラ煮え立つ魔女の窯、リーベ女学園の明日はどっちだ!
 次回も大変楽しみです。