イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Lv1魔王とワンルーム勇者:第1話から第2話の感想

 世界の命運を賭けた宿命の闘いから10年……勇者はすっかり落ちぶれていた!
 もはや定番ジャンルとなった魔王&勇者コメディの新機軸、あんまファンタジーっぽくない絵面で堂々登場!! である。
 ギャグもエロもちょっとのシリアスと悲哀も、大変いい塩梅で丁度良く配合された、大変良く整ったダイナシ系コメディでした。
 とっても面白かったです。

 

 話としちゃー『Dragon Quest 10Years After……』を、大変しょーもなくも程よいドギツさで、スラップスティック&ハイテンションにお届けする塩梅。
 大変ありがたい短足ムッチムッチ童女姿におなりあそばされた魔王様が、明らか勇者に過剰な感情をたっぷり抱いて同居人気取り、テンポ良く掛け合い漫才しつつダメダメな日常を楽しむってぇ筋立てよ。
 とにかく魔王が勇者好きすぎで、愛ゆえに落ちぶれた姿を認めたくはなく、しかし目の前の勇者は勇者なので毎日健気に世話を焼き、かつての宿敵がメシ炊いて買い物に行く異常状況をそれほど勇者も跳ね除けず、ダラダラグダグダいい距離感で付き合っている様子が、観てて楽しい。
 声優陣がちょうど脂が乗った最高の座組になってて、のびのび大暴れして笑いとホッコリをたっぷり生み出してくれるのが、大変ありがたい。
 ここら辺の陣営、マジで肌に馴染むんだよなぁ……。(声オタスキンケアが必要な年代)

 『魔王を勇者が倒す』という定形の物語が終わった後、それ以外の役割を持てなかった勇者の零落譚としても結構な悲哀があるのだが、そこに過剰に溺れず冷笑を浴びせ過ぎもせず、なるようになっちゃった現状をどうにかこうにか転がっている姿も、なかなかしっくり来る。
 笑えないレベルで悲惨でリアルな感じにしたり、あるいは起きちゃった悲劇が嘘のようにパッパラパーにしたりもせず、すっかり人間のクズに落ちぶれつつも、心の芯に勇者らしい輝きを微かに残し、『んー……これだと魔王も見捨てらんないよね』と、作中の描写を素直に飲めるいい塩梅だ。
 ゴミために落ちぶれたカスクズからはなかなか抜け出せないとは思うが、魔王のドデカLOVEに報いるカッコよさを今後も定期的にお届けしてもらえると、凸凹がぴっちりハマったナイスコンビっぷりを楽しめるので、自分としてはありがたい。

 

 現状あんま人数増やさず、シチュエーションと演出の妙味で楽しませてくれているけども、第2話のゼニアはいい塩梅の破天荒新キャラで、大変に良かった。
 『ハイ! 僕たちはあなた達の陰茎を屹立させ、その対価としてコンテンツに小銭を落としてもらいます!!』って塩梅に、肌色サービスパンパンに張り詰めさせた見せ方ではなく、艶笑を誘いつつもあくまで裸身は笑いの潤滑油、エロも引っくるめでドヒドく笑える見せ方してくれるのは、年老いた胃には優しい。
 だからといってエロスもアクションも手を抜くわけではなく、キッチリ力の入ったものを仕上げればこそその力み方が笑えるという、誠実な作りにしてくれているのも良い。
 ”抜き”のシーンのダラーっとした雰囲気と芝居が、”入り”の時のきっちり整ったクオリティといい呼応をして、どっちもちゃんと面白いのが良いなと思う。

 ダメ人間とエロと下層暮らし、結構脂っこい題材を扱いつつも妙に爽やかなのは、やっぱ食材をどう扱うかきっちり考えた上で適切な書き方をしている、技量とバランス感覚の賜物だろう。
 もっと人格破綻者として描いても良さそうなキャラなのに、見ている側の評価が底を打つ前にギリギリ常識抱えて浮上する感じとか、エロスとバイオレンスに程よくフィルターかけてドギツくなりすぎない具合とか、大変ちょうどいい。
 非日常的な騒がしさと日常のまったり感、過去の重たい因縁と現在のダイナシ加減も、どっちかが死ぬ過剰なバランスではなくて、お互いを引き立てる一番いい味付けにしてくれてる。
 この心配りをドヤ顔で全面に出すのではなく、サラーっとカドを取って24分楽しくあっという間、スルリスルリと飲み込める仕上がりにしているのが、多分一番偉いんだけども。
 ことコメディは黒子の顔が見えると萎えるジャンルなので、『とにかく楽しいお話やるぞ!』という熱気を前に出して、それを達成するための色んな技芸を笑いで覆っているのは、プライドのある筆致だと感じた。
 僕は、そういうのを感じ取れるアニメが好きだ。

 

 つーわけで、大変面白かったです。
 ド底辺に落ちぶれた勇者の暮らしが、世話焼き短足ムチムチ魔王と暮らす中でどう変わっていくのかとか、気になる所もたくさんあります。
 こんだけドタバタダメダメな日々を書きつつ、『でも、なんか上手くいきそうだな……』ちゅう前向きな期待感を、見てる側に素直に作れているのは大変良い。
 この安定感が、ドバドバ放出されるダメな笑いをしっかり受け止めて、喉越しいい感じに食べれているのも、とってもありがたいです。
 3ヶ月楽しく見れそうなアニメで、次回も大変楽しみですね!!