イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-:第3話『団結Are you ready?』感想

 ヌマヅに闇が迫る時、三つの力が立ち上がる。
 怪傑ミリオンダラー、赤い閃光クリムゾンデルタ、魔法使い見習いヨハネ……今こそ思いが一つになる時!
 スーパーAqoursクロスオーバー、ヒーロー揃い踏みの”幻日のヨハネ”第3話である。
 ……胡乱がすぎるだろってッ!
 二話まで異世界風味を活かした青春よろめきストーリーを手堅くやってたのに、超常のパワーを受けた暗黒鹿はピョンピョン跳ねるし、アホバカ三姉妹は空気砲をぶっ放すし、長官自ら真紅の甲冑身にまとい躍り出るし、その妹はバイクと一体化してスーパーアクションだし……胡乱がすぎるだろってッ!(二度目)
 アクセル踏みこみ過ぎなトンチキ力を、フツーにいい感じな青春ファンタジーとどう重ね合わせていくか……あるいは浮いたまんまでブン回すかは今後気になるポイントであるが、バトルの圧が高まるとヨハネがあんまボンヤリできなくて、主役力がググッと上がるのは良いところだと思う。
 その勢いを借りて、Bパートでは魔王マリちゃん様に滅茶苦茶グイグイ来てたしね。
 ハナマルちゃんとキャッキャする時は押される側なので、沼津での有様とは大違いなシャイ&クールな魔王様が天然小娘にズブズブにされていく様子、素晴らしい変化球でした。
 ……リコより先にマリちゃんとの絆値爆上がりしてくるとは全く読めず、禁じ手なしのスピンオフつう立場を生かした物語が、しっかり転がりだしてる感じもあります。
 同時に真逆でありながらキャラの芯が、鑑の向こう側にちゃんと通じている手応えもあって、外伝としていいタマ投げてんなーと思うね。

 

 

 

画像は”幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-”第3話より引用

 つーわけで仮面の英雄揃い踏み、美少女VS鹿深夜の大決戦から物語はスタートする。
 『俺たちは……”サンライズ”なんだぜ?』と言わんばかりの切れ味で、無駄に気合の入ったアクションが垂れ流しにされていく。
 一体俺たちは、何を観ているんだ……。(”幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-”ですね)
 老舗旅館の看板娘と行政府長官姉妹がギャーギャーいがみ合うなかで、鹿さんのピュアな瞳に絆されたヨハネは間を取り持ち、嘘偽りのない気持ちで仲間を繋いでいく。
 第1話のマルちゃん相手もそうなんだが、やっぱヨハネの魔法(≒主人公力)は外面やら承認やらに踊らされずに、心の奥から湧き上がる気持ちに率直に何かを叫んだ時、奇跡を呼び込むようだ。
 なりたい自分を曇りのない瞳で見つめ、それを現実にするために恐れず踏み込む。
 ファンタジー世界だからこそ中二病少女に与えられた本物の魔法が、ジュブナイルの駆動律ど真ん中で動いているのは、やっぱり見ていて気持ちいい。
 魔法使うとお友達スタンプも集まるからな~……いがみ合っていた時は仮面を外さず、バレバレな素性を隠すのにこだわってた二人が、ヨハネを間に挟んで素顔で笑いあえるようになる所とか、素朴な友達ファーストコンタクト物語で好きだ。

 異様にキレるのにリアル鹿が取りうる挙動しかしてない暗黒ヌマズシカとか、アホみたいに暴れ倒すバイクアクションとか、唐突にクオリティの高いトンチキで殴ってくる展開であるが、ここでハンパな仕上がりをお出しすると見てるこっちも恥ずかしくなるので、キッチリやり切ってくれたのは良かった。
 あきらかヤリスギであるけども、後にマリちゃんが告げるようにヌマヅに大きな危機が迫ってくるというなら、アクションのキレが良いのはまぁ武器になるだろう。
 地面に足付けた自分探しストーリーから、トンチキ仮面英雄バトルにぶっ飛ぶの高低差凄すぎて耳キーンなるけども、ここら辺のギャップを上手く回収する形で、派手なサクセスを軽薄に求めがちなヨハネの成長に繋げられると、ちと面白いかな、って感じ。
 『ヒロイックでありたい』っていう浮ついて実現可能性に乏しい、でも確かに輝く夢ではあるヨハネの願いは、今後バトルが激化するなら叶うかもしれなくて、でもそれは可愛い鹿さんが頭おかしくなって怪物にされたり、街が危うくなることと裏腹だ。
 自分が目指しているビカビカな輝きのウラに、そういう陰りがあると戦いの中思い知った時、ヨハネは何を選ぶのか。
 そういう所に話持ってけると、個人的には面白い。

 

 

 

画像は”幻日のヨハネ -SUNSHINE in the MIRROR-”第3話より引用

 つうわけでチカママンからの情報提供を受けて、ヨハネは魔王の居城ワーシマー島へと赴く。
 ライラプスくんが同行を許される流れになったので、仲良しきょうだいがお顔を至近距離にくっつけあって、ワーワー騒ぎながら不思議の島を歩く描写が山盛りあって……嬉しいッ!
 俺はライラプスくんが妹を大事に見守りつつ、日々を楽しくヨハネの至近距離で生きている姿を見るのがとにかく好きだかんね……ありがたいね……。
 ヨハネには一生でっけー犬の毛だらけの顔の側で、ハチャメチャ百面相していてほしいよ本当に……。
 OPでは消える気配出してんのが怖いけどね、ライラプスくん。
 まぁヨハネの青春の幻影みたいなモンだから、末っ子が自分を見つけて大人になっちゃったら消えていくのは、物語的には納得はいく。
 ほんとに消えたらぜってぇ許さないけど。

 キモかわいい亡霊たちが蠢く魔王城(どう見ても淡島ホテル)で出会った、角持ちシャイなキューティーガールに、ヨハネはめちゃくちゃグイグイいく。
 この積極性が退魔バトルで成功体験を積んで、自分がまぁまぁ大したものかもと思い込めた副産物なのか、コンプレックスに縛られたヌマヅから少し離れた場所で、惨めな自分を知らない誰かに会えたからなのかは、結構判別が難しい。
 待ちに待った勇者認定をマリちゃんから貰ってるのに、キョドキョド周囲を見渡しながら自分ではないと逃げを打つあたりも、強気な外面が本心と繋がってない思春期の複雑さを感じさせる。
 ヨハネツンデレの毒が全身に回って社会生活に支障が出ているタイプなので、素直な気持ちを引き出せるキャラがヒロイン力強くなんだけども、ヨハネより更に内にこもっているマリちゃんは手を引くのではなく後ろに下がることで、そういう仕事を果たしてる印象。
 ヨハネ中二病センスバリバリな所、穏やかなヌマヅだと浮く特徴なんだけども、角を気にかけてるマリちゃんが欲しかった率直な褒め言葉をずずいと差し出す理由にもなってて、なかなか面白い。

 ここまで顔見せた異世界Aqoursのメンバーは、既に自分の仕事を手に入れ、世間と折り合いをつけている。
 しかしマリちゃんは偏見に遠ざけられたワーシマー島で一人、街の声を聞きながら誰かが自分を見つけてくれることを願っている。
 ”魔王”という立場も自分が望んだものではないし、孤独な分未熟なヨハネよりももっと未完成な存在だ。
 そんな彼女の手を取って、望んでいた場所へ引っ張っていく立場を、マリちゃん相手にするとヨハネは演じることが出来るわけで、ワーシマー島は今後お話が転がる中で、結構大事なポジションになる予感がある。
 ヨハ←→マルはお互い行為を自覚しつつ思春期こじらせたヨハネが素直になれない関係だけども、ヨハ←マリはマリちゃんの特別になってしまったヨハネが、自分が待ち望んでいたその特別さに気付いていないという、逆位相の捻れ方してんのよね。
 ヌマヅだと自意識が邪魔して表に出てこない、ヨハネちゃんの素直な優しさや強さがマリちゃん相手だとドンドコ前に出てる感じもあるし、今後も秘密の逢瀬を続けて欲しい。

 

 というわけでトンチキアクションフルスロットルなAパートと、爽やかなガール・ミーツ・ガールが踊るBパート、温度差でグッピーなら死んでる豪華二本立てでした。
 真逆な種まきなんだけども、異世界ヌマヅで今回描いた要素がどういう芽生え方するか、なかなか楽しみになる話運びだったと思います。
 次回はまたまったり落ち着いたムードに戻りそうですが、そっちはそっちでめちゃくちゃ好きなので、デケー犬がもっとたくさん喋ることを願いつつ、来週を楽しみに待つ!