イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ひろがるスカイ!プリキュア:第25話『ワクワク!プリンセス、動物園に行く! 』感想

 保護責任者から堂々の育児委任を受け取り、行くぜ赤子に新たな刺激!
 ふれあい動物園でのほのぼのデイズに、強まり武人系新幹部が颯爽乱入決めてくる、ひろプリ新章開幕の第25話である。
 やっぱアレだな……みんなで山行ったりお話作ったり、俺はひろプリののんびりまったりしたエピソードが、つくづく好きだな……。

 

 己が足で地面を踏みしめのっしのしと進む姿も、色んな言葉を喋れるようになっている様子も、エルちゃんの発育をかわいい動物さんと一緒にたっぷり楽しめる贅沢な回であったけども、そんな運命の子を育むプリキュアたちの悩みと手応えを、コミカルに描く親目線の回でもあった気がする。
 彼ら自身まだまだ発育途中の児童ではあり、人間一人一本立ちさせていく責任背負わせるのは少々酷……って見方もあるけど、身体張ってエルちゃんを守った勇気だとか、優しさを解ってほしくて綴った言葉だとか、彼らなりに頑張って届けたものがしっかり芽吹いて、昨日より大きく育っている姿を見れるのは、とても幸せなことだと思う。
 いろんなことに興味津々なツバサくんが、図鑑でしか知らなかった動物を現地で見てメチャクチャ浮かれているのが、エルちゃんに何かを差し出す姿と一緒にちゃんと書かれているの、俺結構好きだな。
 エルちゃんの保護者であることと、自身守られ学ぶ子どもであることは並立しうるし、作風からしてシビアでリアルな大失敗は描かれないにしろ、何が正解なのか分からない人育ての中、育てる側も育てられる側と一緒に迷ったり育ったりしている様子が見れたのは、なかなか良かった。

 ここ最近緊迫の度合いが強かったので、子育て思い詰め軍団がトボけた愛を迷走させつつ、それでも楽しい時間を過ごしている様子を久々に見れて、大変良かった。
 一生おにぎりとバナナモリモリ食ってるエルちゃんと、そんな彼女の宿命を過剰に心配しつつ、目の前に立ってる一つの命に自分たちなり誠実に向かい合えば良いのだと、年少組が得心していく話運びが心地よくノンキだった。
 ちょい大人なあげはさんは年下の仲間が迷ってる場所を既に俯瞰で見てて、一歩下がったところでどっしり構えて答え出るまで見守ってるのも、年齢差プリキュアの特色生かした描写でした。
 発育段階も人生経験も結構な差があって、その個性が生活を豊かにしていくこの色合いは、ドラマが熱く沸騰する勝負回よりも今回みたいに肩の力が抜けた日常回のほうが、良いコクだしてんかなー、って印象。
 俺はアニメの中の動物さんが(現実の中の動物と同じくらい)好きなので、エルちゃんの異能が彼らと意思疎通可能な所も嬉しかった。
 あと2クール分生き様見せてきたプリキュアの思いが、ちゃんと継がれて芽を出してる描写ね……。
 ここはロングスパンならではの積み上げだったね。

 

 んで、そういう日常を壊すサイドも心機一転、三人目の幹部が颯爽登場。
 下劣な暴力主義者、卑劣な策謀家と来て武人キャラであるけども……正々堂々いうたかて、上が腐ってんならお前の武力もただの暴力だわなぁ!!?
 『強さ/弱さをどう使うか』てのはお話が幕を開けた時からひろプリの真ん中にあるネタだと思うけど、スカイランド神拳継承者、ソラ・ハレワタールと対比する意味でも、来るべきキャラが来たなー、とは思う。
 自分で作った暴力装置が信念に反した暴れ方して、それをせき止めれば”良い人”なのかは結構疑問で、『んじゃあ最初から他人を踏みしだくために力使うなよ!』というツッコミは、作者側に既に用意されたものだとは思う。
 運用レベルでは正しさを一部含んでいて、でも根源まで遡れば仕える相手自体が間違っていて、そういう暴力と隣接した武力と向き合った時、プリキュアはどうするのか。
 自分の弱さを知ればこそ、自分を強いと言ってくれる誰かのために戦える相手を前にして、ミノトンはどうするのか。
 そこら辺の化学反応が、今後煮えてくると楽しいと思う。

 ひろプリは徹底的に敵サイドの内情を描かないことで、エルちゃんが一歩ずつ育っていく様子を描くスペースを確保している印象だ。
 ここら辺、ストレスフルな戦闘行為を押し付けてくる相手の顔が見えず、ぶっちゃけ悶々とする時もあんだけど、でもまー、理不尽な侵攻にさらされてる側から見た暴力ってこういう、ツルンとした無貌なんだろうなとは思う。
 目的を達成するためのコミュニケーション・メディアとして、威迫と暴力選んでる時点で対話は難しくて、『何か欲しいんだったら、まず剣を降ろせ』って感じなんだけども、なんで剣以外のもの差し出せないのか、その内実は見えないまんまだ。
 ずーっと、喉笛に刃ちらつかされ続けているからね。
 この不気味な対話不可能性は狙ったもんじゃないとは思うけど、”帝国”のリアルな顔つきを奇妙な角度から照らす形にはなってて、個人的には面白い書き方になったなと感じている。
 ミノトンは比較的対話可能なキャラに思えるので、彼を入り口にアンダーグ帝国の理念や価値観も、そろそろ見えてくんのかなー。

 

 

 つうわけで虹ヶ丘邸のプリキュア一家が、楽しい休日を……暴力的横槍を跳ね除けて過ごすエピソードでした。
 こういう朗らかで微笑ましいエピソードが積み重なるほど、それを横から殴りつけて何かを奪おうとする連中の理不尽は際立つ。
 新幹部も登場し、敵さんの事情にもそろそろ切り込んでくるのか、最後まで距離をおいて描いていくのか。
 そこら辺も気になる、ひろプリ後半戦開始でした。
 次回も楽しみですね!