イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜:第5話『最高のアイデア』感想

 夏だ海だムチムチだ!
 超えるべき課題が見え始めた子どもたちが、友達と師匠の優しさでレジャーに繰り出しその中で学ぶ、ティーンズジュブナイルど真ん中なライザアニメ第5話である。
 こんなに地道で丁寧な”子どもの話”やってくれるの、俺の舌にドンピシャで大変ありがたいんだが、一応十八歳ってことになってるキャラとしてはあまりにサッパリしてて、しかし差し込まれる絵面は異様に脂っこい瞬間があって、メチャクチャ独特の味わいになっている。
 あの肌露出でキャッキャ仲良く過ごして、色恋の”い”も匂ってこない健全極まる関係性が、バチバチカットインされる肉映像を更に浮かせていて、『一体この太もも、誰に食わすための太ももなんだよッ!!』って気持ちが湧き上がる。
 いやまぁ、モニタの向こう越し異世界を摂取している、俺たちのためのお肉ちゃんなんだけどさ……。
 作中反応がない要素が結構な尺取って書かれる結果、作中展開する人生を外部から見てる観客が(おそらく意図せず)可視化されて、不思議な乖離が生まれてきているのも、このアニメ独特の味わいに繋がっている印象。
 レントくんもタオくんも、鍛錬と学習に夢中でぜーんぜんライザの方向かないの、ある意味的を絞った話作りであるし、しかしカメラは延々ライザの首から下を切り取り続けとるからな……。
 この露骨ポルノ野郎な世界の切り取り方と、非常に真っ直ぐ子どもらが学び育つ過程を積み上げていく展開が噛み合わないまま同居しているのも、このお話の特殊性なのだろう。
 商品としてのオーダーと、作品としての狙いがぶつかり重なることで物語の妙味は際立ってくるわけだが、ライザアニメは相当ヘンテコなコクの出し方していると思う。
 そのヘンテコさは、僕は結構好きだ。

 

 つーわけで、クラウディアの心配りで海に繰り出したぼんくら三人組と、保護者ニ名。
 『良く遊び、良く学べ』の格言を体現するように、流れ者二人が現地の子どもらが今後どういう大人になっていくべきか、ガッチリレールを引いて導いてくれているのは頼もしい。
 師匠たち、相当ライザたちの未来に責任持って立ち回ってくれているのだが、そういう生真面目な重たさを子供らに押し付けるでなく、飄々と好き勝手にやってる体で向き合っているの、風通しが良くて好き。
 樽の中で体育座りして待ち構えたり、デカケツが浮き輪にハマったり、おちゃめな所も沢山あって可愛いしね。
 つーかリラさんなんなんですかそのモフモフお手々は……不意打ちの獣人要素は法令で禁止されてるんですよ!
 こういう思いがけないところで、ファンタジー味を回収できるととても嬉しい気持ちになるので、今後もどんどんやってください。

 今回はちょい蚊帳の外感あったクラウディアが、思い詰め過ぎな仲間のこと考えてレジャーのきっかけを作り、ライザのトラウマを解消させ、リラさん追い詰め一味の一人として活躍もして、ググッと存在感を増していた。
 課題クリアゲームを通じて四人パーティーの連携を教える展開を経て、今後冒険者としての四人も新しい領域にツッコんでいくと思うので、そこでクラウディアがどういう働きをするのか、なかなか楽しみでもある。
 幼馴染男衆が自分の課題に真剣なので、あんまライザとキャッキャする場面が多くはないため、彼女に熱視線を向けているクラウディアの頑張りには期待したい所。
 師匠達とはまた違った、島の外部に開けた窓としての機能も、行商人の娘にはあるだろうしね。
 新たな刺激を受け取ることで、古臭いと思っていた故郷の良い部分、それに育てられていた自分自身を見つけていく展開がかなり好きなので、そういう刺激の入り口として、クラウディアとの絆が深まったのは効いてくんじゃないかなー。

 

 僕は水没坑道の冒険、人生変えうる程のインパクトを持った”初めての探検”としていい説得力を感じていたので、これを経たライザたちが過剰に思い詰めて、『オメーその三重読書全く意味ねぇだろ!』とツッコむたくなるほどグツグツいってる描写は好きだ。
 その煮詰まった感覚、心に溜まった熱量が自分と世界を唯一変えうるものだろうし、そういうのはライザたちの年頃にしか持ち得ない、奇跡のようなパワーなので。
 しかしあまりに強い熱は抱えていると頭おかしくなっていくもんなので、『あ、ヤバそう……』と気づいて息抜きを提案してくれる友達は、マジでありがたい……というお話だった。
 ここら辺のバランス感覚を、ライザたちを引っ張る立場にある師匠たちがちゃんと持ってて、楽しさをちゃんと手渡してくれる人たちなのも嬉しい。

 ライザたちは既にガッチリスイッチが入っているので、息抜きの最中でも成長のきっかけを掴むし、目を開けて今まで見えなかった世界の宝を勝手に見つけてくる。
 心がワクワクする特別な出会いが訪れる前、文句たれてるだけの時代には見えなかったものが、夢が手招きする方へと突き進む中で解ってきているのだ。
 夢と出会った心がどんな風に弾んで、それを助走に今まで乗り越えられなかったものを突破できる描写が結構このアニメ太くて、その地道さ堅実さが好きである。
 もちろん出来ないことも沢山あって、それに歯痒い思いもするんだけども、その一個一個が彼女らがより善くなっていくための余白であって、そういうモンが全然残ってないオッサンとしては、羨ましくも微笑ましく、彼らの奮闘を見ている。
 この挑戦が孤独なものではなく、仲間や師匠がいてくれてこその社会的な……でも個人的な連帯で強く結びついた、とてもバランスの良い営みとして書かれているのも好きなんだな。
 ここら辺は(ライザから見た限り)自由を阻害し因習に縛られた”悪い社会”である、島から出ようとする動きと重なってる描写か。

 

 舞台になってるのは”島”なのに、その土の匂いに嫌気が差してるライザたちは全然水に親しんでいない。
 船を出して外部と交流する文化が島に全然根付いていなくて、泳げなくてもなんとか社会が回ってしまう状態が、彼女たちは常識として身に馴染んでいるわけだ。
 今回ライザが溺れたトラウマを、島の外側から来たクラウディアの助けで克服したのは、ありふれたド田舎に見えて結構歪な物語の舞台、特有の現象だったのかもしれない。
 あんだけ因習島に嫌気が差してるライザたちも、島の外がどうなっているのか見たこともなく(だからこそ憧れる)、意識していないところで島の産土が身に染みてんだなぁ……と思う描写だった。

 遺跡は異常に多いし、一般的に想定される生業の建て方から結構ズレてるし、現地民も知らない島の秘密は結構あるんだろうなー、と現状考えている。
 今後ライザたちが冒険者レベルを上げて、難度高いダンジョンに挑めるようになってくると、そこら辺にも接近していく感じかなぁ。
 ここら辺アンペル師匠の本業にも関わってくる部分なので、終盤を支えるようなデケー秘密があってくれると、ファンタジックな一夏の冒険力が更に高まり、大変いい感じだと思う。
 ぜってー島の最深部に、古代文明の激ヤバ遺産あるでしょ……あってくれッ!!

 

 というわけで、水と触れ合い己を知る、楽しいレジャー学習回でした。
 師匠二人が圧倒的に全うなので、それに導かれ進んでいくライザたちの足取りも緩むことなく、毎回地道に何かを学び取っていく姿を見るのが、とても楽しい。
 この堅実な足取りと、モニタの向こう側から窃視消費カマしてくる眼差しが同居してんの、何度も言うけど異様で面白いなぁ……。
 そして次回は待ってましたの秘密基地建造回!
 小学生真夏の大冒険といったら……やっぱそれをやんないとな!(やっぱ18才”嘘”だってどう考えても)
 次回も大変楽しみです。