イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ひろがるスカイ!プリキュア:第26話『テイクオフ!飛行機でつながる想い』感想

 真夏のひろプリは実在企業とガッツリコラボ!
 空をテーマにした作品らしく、Peach Aviation全面協力でお送りする空港&飛行機回である。
 航空力学少年であるツバサくんとシナリオヒロインの交流に、ましろさんのご両親再訪までガッツリ盛り込んで、ワイワイ賑やかな回だった。
 各要素の煮込みがやや甘いとか、デカいネタになりそうなましろちゃんの孤独を”ついで”で処っていいのかとか、微妙に気になるところもあるけどな!
 出会いと交流の玄関口になる、”空港”っていう場所で虹ヶ丘一家の話をやっておきたかった……って事かなぁ。
 空港はあんまプリキュアで掘り込む事のない場所だと感じているので、そこに宿った意味を話しの真ん中に持ってくる手付きが新鮮で、なかなか面白かったです。

 

 つーわけで色んな要素が入り交じる今回、メインはツバサくんと翔子ちゃんの心の触れ合い。
 唐突にハードコア航空機知識をぶっ込んでくるオタクっぷりにいい表情になりつつ、学校行ってないツバサくんがプリキュア仲間以外と心通わす描写は、見ていて嬉しかった。
 空や風や翼に心ときめかせ、よく学びよく遊ぶチーム最年少なツバサくんの、子どもな部分を結構大事に進めてくれているのは、ひろプリの好きな所の一つだ。
 ようやく空港と飛行機をその目で見て、めっちゃハシャイでいるツバサくんが、同好の士を捕まえて嬉しい気持ちになってるの、マジ良かったな……。
 こういう頑是ない部分が強調されると、既に自分の夢を見つけそれを職業にするべく堅実に進んでいるあげはさんが、どっしり構えて見守ってくれてる頼もしさも際立ってくるし。
 キュア社会人がひろプリに与えている安心感は、やっぱ大きいと思う。

 そういう夢見る子どもであることがツバサくんの全てではなく、誰かを守れる正義の騎士であることも、またキュアスカイの大事な構成要素で。
 ワクワクする日常の中で出会えたものが、ぶっ壊されそうになった時気合い入れて戦いに挑む勇姿は、健気で凛々しくてやっぱ良い。
 コミカルながらはた迷惑な的のかけ方してくるミノトンが、どんだけ武人気取ってターゲット狭めたとしても、過剰な暴力ブン回す以上不幸になる人はいる。
 選択性のある”正しい暴力”だと、たとえその行使者が認識していようが、所属する共同体の根っこが腐ってるんでどうにもならん。
 ひろプリは敵サイドの彫り込みを全然やんない作りなので、アンダーグ帝国がどういう野望を持ち、どういう価値観に支えられて他人踏みつけにしているか見えないわけだが、暴力の書き方としてはこの不透明感は結構リアルなのかな、と思う。
 お話としては、敵さんが何考えてバイオレンスぶっこいているのか、個人レベルではなく社会レベルで知りたい気持ちも結構あるけど。
 プリキュア個人にこだわって厄介ごと押し付けてくるミノトンが舞台に上がる中で、結構思い切った描き方を選んだ作品が何を書くのか、結構気になってはいるね。

 

 これと同時並走……というか、最初と最後に超高速で突っ走る形で、広すぎる虹ヶ丘に祖母と二人おっぽり出されてた形の、ましろさんのお話が展開していく。
 両親がスーパI ♡ MASHIRO人間だったのが救いではあるけど、なんで異世界人と同居し家族になる流れにましろさんが素直に乗ったのか、幸せの裏側を覗き込んだ感じがあって味わい深かった。
 『あのときは寂しかったな』と微笑みながら言えるくらい、帰ってきた両親との再開も別れも楽しく飲み込める強さが、今のましろさんにはある。
 そうさせてくれたのは異世界から来た不思議な女の子との出会いであり、それをきっかけに引っ込み思案なましろさんが挑んだ戦いが、日常と非日常両面から教えてくれた沢山の発見だ。
 新必殺技が打てるようになるとか、新しいアイテムが出現するとか、そういうわかりやすいメルクマークよりも、この小さく優しい強さが今のましろさんに隣り合っていることが、凄く大事かなと思った。

 両親不在な現状への思いはガッツリ掘り込むとメチャクチャ湿っぽくなるし、不在のまんまましろさんの中ではある程度以上決着ついてる過去でもあるので、メインで触れるには機を逸してる感じもある。
 なのでツバサくんの話を挟み込む形で、サラッと扱ったのはまぁまぁ悪くないのかな……とは思った。
 虹ヶ丘ましろという存在、彼女を中心に広がった家族的共同体の核心ではああるので、重たく痛い筆致でしっかり取り上げてほしかった……て気持ちもあるけどね。
 しかしまぁ何より大事なのは、今ましろさんが寂しさを隣に置いてなお笑えていること、両親との触れ合いがあっという間に思えるほど楽しかったこと、そう思える心をプリキュアたちが作れたことだろう。
 常に成長し続けるエルちゃんが話しの真ん中にいるせいか、ひろプリは共に暮らす中での個人の変化が視認しやすくて、その手応えが好きだ。
 ここにも年齢ごとのグラデーションがあって、やっぱあげはさんは既に確立したものを再確認する形で、皆と過ごす日々を自分に引き寄せてる印象。

 

 年齢とそれに応じた発育段階によって、日々から何を学ぶか、それが何度目の発見になるのかは違うけども、初めてでも何度目でも、出会った奇跡に目を開いて己を正せるってのは、得難い価値なのだ。
 そういうモノをお互いに手渡せる人たちと、出会って一緒に過ごしている……あるいは離れてなお繋がり、空港をハブにしてもう一度触れ合えるってのは、良いことだよねと描くエピソードでした。
 終わってみると、すごくひろプリらしいと感じたな……。
 しばらくは夏休み対応で、やや軽めの話が続くと思いますが、そこにどういう芯を入れてくるのか……はたまたなんかグダグダな感じになるのか。
 全部ひっくるめで楽しませてもらっているので、ありがたい限りです。
 相当ネジが外れた感じになりそうな次回、とっても楽しみですね!