イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

Lv1魔王とワンルーム勇者:第5話『へいかとっ!』感想

 共和国いいとこ一度はおいでッ!
 10年分の因縁がもつれだす、トンチキまおゆう物語の第5話である
 第3話でフレッドが匂わせていた過去からの荷物が、国家紛争レベルでギシギシいってそうなヤバい気配と、足を運んでみると温泉湧き出す平和な実情と、マックスLOVEが止まらない魔王様のピンク脳髄が入り混じり、なかなかおもしろい味になってきた。

 第1話見た時想定していたのより、遥かに魔王様が勇者のことすぎて、かなりグツグツ煮込まれてきているのは嬉しい誤算だ。
 マックスが人類性愛ともいうべき性傾向に留まっているのに対し、自在に体を変えれる魔王様にとっては性差だの外見だのは些細な問題で、実は変則的なセクシャリティのねじれを扱った話なんだと解ってきた。
 ムチムチロリとムチムチJKの外装を行ったり来たりするので分かりにくいけど、魔王様は生来何者でもなく、何者にもなれる身体と精神を持つ生粋のノンバイナリー。
 なので、ガサツなマチズモを素直に引き受けているマックスとは、結構摩擦が多い関係なのだな。
 今後昔なじみ達の衝突に、ブツクサ文句たれつつ首を突っ込む中で、ここら辺のズレが埋まるのか広がるのか……なかなか楽しみだ。

 好意を隠さず積極的にイチャイチャする魔王様だけでなく、言い寄られる側のマックスもかつての仇との日々を憎からず思っている雰囲気は大変心地よい。
 今回たっぷり味わえた、凸凹コンビの煤けたラブコメ路線を、いい具合に維持して行ってくれると嬉しいかな。
 あとマックスが10年分錆びついても十分超人で、いざとなったら世界最高峰の暴力装置として駆動できる事が分かったも、体温高い描写で良かった。
 その異才ゆえに人間社会に馴染めない牙を、なまくらに落とすことでなんとか人間の形してる人類の規格外、難度食べてもだ~い好き。

 

 そんな日々を心底堪能するためにも、マックスがちゃんと向き合わなきゃいけない10年分の負債はこれまた想定よりも大きく膨らんでいた。
 地図上は隣国なのに、問題国家経由して裏口から入らなきゃいけないの、すでに共和国と王国の関係は最悪なんだなぁ……。
 マックスは栄光の中で腐り果て、フレッドは持ち前の器用さで権力の中を泳いで、レオは忠誠を裏切られて追放先で居場所を作った。
 救世主達の10年後は三者三様で、バラバラだからこそかすかに残った絆が切ない、なかなかいい塩梅の味付けだと思う。
 ドタバタハチャメチャやりつつ、生真面目な哀切をちゃんと描こうとしている姿勢はとても好きで、このアニメらしいバランスの良さ、メリハリの効き方がありがたい。

 マックスとレオの出会いが汗臭さ満載の王道ど真ん中なのが、片や気さくなテロの首魁、片やどん底まで落ちぶれたガラクタと、道が別れた現状と相まって良い。
 実際足を運んでみた共和国、そこで見るかつての仲間の姿は、喧伝されている悪魔の国って感じでは全く無いけども、追放の経緯含めてまだ見えていない部分も多いので、今後の掘り下げが楽しみだ。
 何がどうなって、共に肩並べて世界を救った黄金の日々がこんなに捻じくれちゃったのか、当事者たちが前に出てくることでだんだん解ってくるのが面白い。
 マックスの零落も身から出た錆であると同時に、魔王という分かりやすい困難をぶっ壊した後、当たり前にややこしく複雑になってしまった世界に、蝕まれた結果なのかもなぁ……。
 ここら辺過去編≒勇者たちの子供時代が、現代編≒魔王を殺した後も続く日常と接合されている造りで、ファンタジックで特別なネタを扱いつつ、誰にでも訪れる普遍的な問題に目を向けてる話でもあろう。

 

 魔王率いる異形の軍団と戦っていれば、何か特別でいられた時代が終わった後地金が見えた、面白くもない当たり前の世界。
 人生台無しにする誘惑と、忠義を追放で裏切るロクでもなさに満ちた場所で行き着く所まで行ってしまった仲間たちの、現在と未来はどんな顔なのか。
 共和国に直接足を運んだことで、より細かい部分を見れそうで楽しみです。
 レオを慕う人が多いから共和国は国土と人口を得れているわけで、そのカリスマが魔王亡き後の王国には邪魔だったのかなぁ……とか、色々考えられるけど。
 そこら辺の答え合わせも含めて、次回も大変楽しみです。