イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アンデッドガール・マーダーファルス:第6話『怪盗と探偵』感想

 紳士と怪盗、不死者と鬼殺しが入り交じる取り違いの先に、運命の瞬間が待つ。
 怪人たちが入り乱れるファルスに向けて、奇妙でシニカルな邂逅が積み重なっていくアンデッドガール・マーダーファルス第6話である。
 ダイヤを巡って争うことになるルパンとホームズ、そして”鳥籠使い”が顔を合わせやり合って、ど派手に開幕のチャイムが鳴るまでを追いかけるエピソードとなった。
 致命的な過ちすら不死で塗りつぶす、鴉夜の一筋縄でいかなさなんかも強調されつつ、鬼殺しすら退けるルパンの華麗な手際、”紳士である”という限界点が示されていく。
 今回作った関係性と描いた能力が、今後加熱していくダイヤ争奪戦の中でどういう活き方をするのか、なかなか楽しみである。
 出てくる奴ら軒並みイイ性格してて、裏のかき合い化かし合いが楽しくなりそうなのは大変グッド。
 二人の探偵に怪盗一味、怪物絶滅主義者に超人犯罪集団と、見えてるだけで勢力多いからな……ドッタンバッタン間違いなしな交錯を、濁流渦巻くスタートからどうアニメにしていくか、なかなか楽しみになってきた。

 

 

 

 

画像は”アンデッドガール・マーダーファルス”第6話より引用

 というわけでルパンとホームズ、鴉夜と鸚鵡、二つの”取り違え”から物語は始まる。
 冷静に考えれば犯罪者が予告状を出すのも、探偵のもとに直接顔を出すのも非合理なのだが、怪盗紳士は浪漫で動く。
 困っている静句を車に乗せてしまうのも、鴉夜に『降りろ』とアドバイスするのも、ルパンを怪盗たらしめているスタイルの賜物であって、合理は浪漫の後を追いかけてくるものなのだ。
 ワトソンくんは裏を勘ぐっていたけども、ルパンの変装と挨拶は”そういうもの”であって、特に理由がないからこそ意味を持つ一つのスタイル……なのかもしれないし、なんか今後に効いてくる仕掛けをしていたのかもしれない。
 鬼殺しを手玉に取るビー玉殺法といい、このお話のルパンは軽妙洒脱にして大胆不敵、『もう若くはない』ホームズの敵対者として存在感のある鼻っ柱を見せている。
 ここら辺、今後乱戦ぶっ込んでくるだろうモリアーティ教授がガッチンガッチンの組織犯罪者であることと、対比して描かれると面白そうだな……って感じ。

 一方ホームズの方はその物語を八年前に閉ざしてなお生き残り、極東からの客人を迎える形でその新章を拓いた。
 銃弾を以て密室を生み出す奇想天外は、論理の究極にたどり着いたからこその奇策であり、若き挑戦者の発想はその上を行く。
 『銃弾の使い道そこかよ!』と突っ込みたくなる対抗策を、密室ごと水量で押し流す攻め手で上回ってくる知略戦……というには、大胆すぎる物理力が暴れまわるのも、このお話らしい味わいか。
 『じっとり腰を据えて知恵比べをするフェイズは終わって、後はスーパーアクションだ!』という宣言として、大規模な水攻めはとても良かった。
 このまま怪盗紳士にしてやられて退場か、ライヘンバッハから帰還せしめたしぶとさで反撃するか、ホームズの格が問われる状況だが……まぁ声もミキシンだし、一発かましてくれるでしょう。(謎の信頼)

 

 そして我らが主役たちは奇妙な運命に翻弄されつつ、あくまで”見”という情勢。
 鴉夜が仕込んだファルスの準備が一体どんなものかは、今後見えてくるところだろう。
 ヴァンパイアの若造を圧倒した津軽が、ルパンを挑発した挙げ句ボッコボコにされていたのは、実力の差か油断の結果か、はたまたなにか考えあってのことか。
 いっつもニヤニヤヘラヘラ、うっかりしているようでいて底が見えないのは師匠と同じなので、ついつい色々勘ぐりたくなるのは大変良い。
 『こいつはこういうやつ』と底が見えてしまうと、怪人どもが百鬼夜行を繰り広げる舞台の面白さも減じてしまうし、並み居る伝奇レジェンドを相手取るだけの器を感じられないわけで、のらりくらりの冗談交じりで芯を捉えさせない態度、俺は好きだ。

 取り替え騒動は津軽の側にいないと鴉夜がどんだけ脆弱か、二人のつながりがどんだけ大事かを、事態が加熱する前にこちらに教えても来た。
 普段は津軽が代理しているからいいけど、いざ鴉夜一人取り残されてみると首から下がないというのは大変不便で、なすすべなく轢殺されるほどに致命的だ。
 まぁ命に至ろうが奇怪な再生を果たし、飄々と危機を乗り越えてしまうのも不死探偵の強みなんだけども。
 ルパンもホームズも格闘能力が高く、自前で殴る蹴るできる文武両道型なのに対し、”鳥籠使い”は知能担当と肉体担当がキッチリ分かれていて、二人で一つの運命共同体になっているのがなかなか面白い。
 ルネサンス的万能人の側面を持つ伝奇の巨人とは、ちょっと違った描き方をしてるこのお話の主役たちが、いかにも”らしい”知恵比べにどう食らいつき、自分たちの存在感をアピールしてくるか。
 動き出したダイヤ争奪戦、そこらへんも気になるところだ。

 

 というわけで、ドタバタした前哨戦を終えて本番開始、という回でした。
 怪盗と探偵たちが直接顔を合わせる場面に、色々今後芽を出しそうな種が仕込まれている気配もありますが、さてはてどうなることやら。
 他勢力の動き方も気になりつつ、次回も楽しみであります。