イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜:第9話『最後の課題』感想

 最終試験に赤龍襲来!
 イヤーなライバルとのエモい過去なども明かされつつ、風雲急をつける因習島青春日記、第9話である。
 錬金量産アイテムを杖に仕込んで、ライザが魔術師ムーブし始めたり、タオくんが打撃職としての実力を上げていたり、久々にモンスター殴る展開に成長の片鱗が見えてなかなか楽しかったが、急に目覚めた龍が全部ぶち壊しにしてったよ!
 ここで成長の証としてネームドエネミーを苦戦の末ぶっ倒すわけではなく、乾坤一擲の錬金マイト投擲が毛筋ほども効いてないの、メチャクチャこのアニメらしい描写で好きだ。
 被害を恐れて雨戸を閉め、因習島のろくでもねー先導者が責任をヨソモノに押し付ける、怪物の形をした災害。
 人間にはどうしようもねぇ巨大な力を前に、大人たちが教師やってる場合じゃない状況に追い込まれ、若人たちは彼らの帰りをただ待つのか?
 一夏の冒険を描く正道ジュブナイルの、クライマックスに相応しいジワッと感で話の終りが見えてきて、見ている僕もワクワクしてきた。
 ド派手にスカッと圧倒的な成長見せてもいい舞台建てなのに、とにかく地面に足をつけて話が進み、出来ないことは出来ないサイズ感で転がっていくの、その上でガキンチョ共が夢を見つけ努力し挫折を味わう話として、やっぱ好きだ。
 ムチムチ異世界ファンタジーを全面に押し出し、深夜アニメっぽい味付けで立ち回る道もあったんだろうけど、自分としてはこの方向で最後まで進んでくれそうで、大変ありがたい。

 

 つーわけでルベルトさんの最終試練は、ボオスくんとのフィールドワーク競争になった。
 対抗意識モリモリでぶつかってくる彼は、時折鋭い指摘でライザたちの意識にいい冷や水ブっかけてくれるので、実は結構好きなキャラだ。
 そんな彼らを追いかける形で、モンスターをぶっ倒して進む道中では、レントくんの剣の腕とか、タオくんの古代文明読解力とか、いろんな能力が確かに上がっている様子が描写された。
 ライザが氷デバフ飛ばす仕事についてたのも面白かったけど、モンスターの残骸がキラキラ粒子になって消えることなく、素材剥ぎ取りの現場にざっくり横たわってる生っぽさ、このアニメらしくて良かったな……。
 全体的に可愛らしいデザインだけども、バチバチの殺意垂れ流しにして殺しにくるこのアニメのモンスター、野生濃くて好きだよ。
 野晒しな仕打ちにも、ワイルドな因果応報感漂ってていいと思う。

 結局フィールドレースは赤龍復活によって水が入り、島に眠る古代文明が超ろくでもない気配を漂わせつつ、結果として人命救助して実力証明……という展開。
 ここで勝った負けた、倒した倒されたに持っていくわけではなく、起きてしまった危機を前にどういう判断をして、どういう優先順位で動いたかが書かれるのは、かつて師匠たちが教えたことが現場で生きてる感じがあって良かった。
 たった一夏の修行で龍殺しが叶うほどの暴力は手にはいらないが、何を優先するべきかという認識は改めることが出来て、危機を前にビビらない心構えと、今の手札でなんとか事態を乗り越える積極性を鍛えていたから、なんとか人命が救われた。
 俺はTRPGゲーマーなので、デケーレッドドラゴンが新米冒険者の攻撃を歯牙にもかけない様子には超興奮してしまうし、そういう災害級の難敵を前に今やるべきことを見失わず、必死に頑張ってる姿も良かったです。
 『1クール使って”そこ”かよぉ!』って見方もあるとは思うけども、この地道さはお話の背骨としてずーっと描かれてきたもので、最終コーナーが見えてきたこのタイミングでも過剰に焦った感じがないのは、良いことだと僕は思う。
 ライザたちの成長や変化……物語を積み重ねてきた意味が無いのかと言われれば、このアニメらしい筆致でちゃんと書いてるわけだしね。

 

 というわけで三週に渡って展開したクラウディアの子ども卒業試験は、より洒落になってない危機が目醒めて次回に続く!
 ドラゴン覚醒にガタガタ震えだす村の排他的な空気とか、今一度なんでライザたちが錬金術に惹かれたのか思い出せて、大変良かったですね。
 子どもたちを気にかけ導きつつ、自分たちにしか出来ない責務のために日常を離れた師匠たちに置いていかれ、子どもたちはただ解決を待つばかり。
 そんな自分たちでいるのが嫌だから、イマジネーションを力に変わる術を学んできたライザたちは果たして、島を揺るがす一大事件にどう動き出すのか。
 ファンタジーRPGというより、冒険活劇のど真ん中へと堂々道を開ける展開で、大変いい感じだと思います。
 深夜アニメでもガストのゲームでもなく、角川つばさ文庫の味付けなんだよなぁこのお話……そこが好きだよ僕は。
 次回も楽しみですね!!