イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ひろがるスカイ!プリキュア:第30話『ひろがる海!ビーチパラダイス!』感想

 真夏の終わりはビーチでバカンス!
 夏休みシフトの最後を飾るスーパービーチリゾート回、ひろプリ第30話である。
 肩の力を大きく抜いた、ひたすらチャーミングでプリティーでハッピーな回であったが、そういう連中を見ていたい視聴者としては大変にご褒美であった。
 開幕おそろい水着でお手々繋いで海に突っ込んでいくソラましから始まり、隙あらばイチャコラぶっこく姿が印象的であったけども、あげはさんを扇の要としてみんなで楽しく過ごす、虹ヶ丘邸の仲間全体がよく描かれた回だったと思う。
 久々にプニバード形態であざとさ全開なツバサくんとか、いつも通り溌剌賢いエルちゃんとか、ひろプリから摂取したい栄養素がぎっしり詰まっていて、ありがたい回だった。
 年令や性別や出身世界の差を超えて、しかしお互いの人生経験やら立場やらの違いを尊重しあって、日々楽しく暮らしている彼らを見ていると、心が暖かくなる感じがして嬉しい。
 そういう作品の一番シンプルで、一番強い武器を思いっきりブン回す回だった。

 

 というわけでソラちゃんの苦手克服回であるが、水泳文化が根付いてないスカイランド出身者のクソ真面目ヒーローを、ましろさんが城で絡めて色で落とし、楽しむことを教えて泳がせていた。
 やや浮かれポンチ気味にドヤ顔したり、いつもとちいとキャラが違う虹ヶ丘ましろに、真夏のバカンス臭が色濃く漂い、大変良い。
 ソラちゃんは得意なことと苦手なことがはっきり分かれている人で、ポンコツなところは徹底的にポンコツ(なのが可愛い)わけだが、それを乗り越える時は毎回、ましろさんが隣りにいると描かれ続けている。
 生まれた場所も人生の歩き方も、興味のあることも何もかも違うけど、だからこそ特別に思える、たった一人の誰か。
 そういう存在と出会ってしまった時間のまばゆさ、そこから生まれていく新しい己の形を、プリキュアはずっと描き続けている。
 ましろさんが隣りにいることで、どんどんより善くなっていくソラちゃんが見れるのは、このお話がプリキュアなんだと思い出す意味でも、ソラちゃん個人の物語としても、ありがたい限りだ。

 ソラちゃんが迷った時、素直にましろさんの助言を聞き入れられるのは、お互いが心底大好きだからだ。
 好きだと思える、尊敬できる誰かを手本にすれば、自分を変えるという難儀も結構気楽にこなせて行って、新しい可能性が広がっていく。
 『だから誰かを好きになるのは大切で、誰かに好きになってもらえる素敵なあなたでいてくださいね』という、素朴で前向きなメッセージが二人の描き方からは出ていると思う。
 別にポジティブな影響なんか及ぼし合わなくても、誰かが好きだという気持ちを人間抱いて良いものなのだけども、己を改善する”効能”は好きの後を追いかけてくるもんで、リターン重視のお付き合いでは今回みたいなハチャメチャ笑顔は生まれない。
 気楽なバカンス回だからこそ、見返りを求めず誰かを大事に思い、結果として新しい可能性を掴める善いフィードバック・ループが描けていた気がする。
 ……ここら辺、短絡に結果だけ求めるミノトンのやり口と、綺麗に真逆に書かれてるのね。

 

 というわけで、ヒーローガール水を克服する! という回でした。
 ひろプリは敵サイドの描写を極端に削って、空いた隙間でエルちゃんを末子とする疑似家族の日常、ハマーで色んなところ出かけて楽しいこと沢山する様子を描いている。
 その極みみたいな回だったけど、俺はやっぱこの気楽な感じ、それが確かになにか大事なものを生み出している手応えが好きなんだな、と思えた。
 夏休みシフトも終わり、次回結構大きく話が動きそうだけども、今回描かれた気楽さの中の実りは、シリアスな重さが増しても意味を失わないで欲しい。
 今回描かれた日常的な悩みと変化、その周囲を満たす幸せな愛こそが、どでかい悪が動き出してなお大事にされるお話として、こっからの後半戦を見届けたい感じだ。
 次回も楽しみですね!