妖怪! UFO!! エロス&バイオレンス!!!
無個性なんてトンデモナイ真顔の狂人主人公と、それぞれのイカレを抱えた最高可愛い彼女たちが、初めてのキスに至るまでのドタバタを、チャーミングな狂気でハイテンションにお届けする100カノアニメ第2話である。
第1話に感じた気合のみなぎりは全く衰えることなく、彼氏彼女になったからこそのセカンドステージがこのお話ではどうなっていくのか、胃もたれどころか破裂する勢いと物量でもって、見てる側に流し込んでくる仕上がりだった。
細かいネタを大量に消化していくために、作品全体のテンポが異常な加速を見せていて、笑いにも可愛さにも緩みがない仕上がりがその一粒一粒をしっかり立てて、笑いと萌えで脳髄洗われる、ハチャメチャ気持ちがいい視聴体験になっている。
スゲーシンプルに『動いて喋る絵の連続』として高圧力&高クオリティなので、ドラッグムービーとしての強さがあるな……原作からして、そんな感じではあるが。
第1話ではまだ正気を保っていた彼女二人が、片やノーブレーキの淫乱ピンク、片ややり過ぎ感溢れるツンデレと、お互いの武器を抜き身で振り回して暴れ続け、キャラ性が過剰に脳に染み込んでくるのも良い。
元々その片鱗を見せていた恋太郎の生真面目な狂気も、クッソ面倒くさい三人同時キスの顛末から濃厚に見えてきて、『こういう連中が、こういうアニメやります』というのを暴力的に理解らされる回だった。
なおまだまだ序の口であり、狂気もLOVEもブレーキなしで加速していく模様。
どこまで往くのかアニメ100カノ……こいつァ期待しちまうよ!
彼女が出来たらキス! つーわけで、少年誌連載のまだるっこしいラブコメなら単行本30巻はかけるだろう一大イベントを、勢いよく消化していくその前に。
運命の彼氏彼女となった三人がどんだけダダ甘LOVELOVEな日々を贈り、その甘さに狂ったハバネロエキスが山盛り仕込まれているかを理解らせるターンが来る。
こんだけ過剰にイチャコラし、それが常識の土俵をはみ出して大暴れする様子を見ていると、”羨ましい”という感情はどっかに吹っ飛び『幸せに……思うがまま生きな……』という、達観の爽やかな風が吹くから不思議なもんだ。
『100人の彼女と本気交際』というぶっ飛んだ前提条件からして、視聴者のまっとうな共感を投げ捨てた作りになるしかないわけだが、奇人変人の寄り合い所対を安全圏から観察する楽しさと、遠い距離感で終わらない不思議な親近感が、しっかり生まれているのは流石だ。
恋太郎と彼女たちを見ていると必ず面白いことが、常識外れの発生頻度と火力で勃発するわけで、『見てて面白い連中』ではあるのだな。
そして三人を引き寄せている恋の引力は、ハチャメチャながら嘘ではなく、言葉をかわし視線が絡まり体が触れ合うたびにキュンキュンキュンキュン、ときめきボルテージが危険域までLevelUp!! していく。
『コイツラは間違いなく狂人だが、コイツラの恋自体に偽りはないッ!!』と、やりすぎなくらい恋のドキドキを刻みつけていく濃い口の作風が、そこに宿る異様な迫力が、異形のラブコメを嘲笑わせはしない”引き込み”を生んでいる。
そこら辺の過剰さが、アニメの艶っぽい作画でブーストされ、あるいは少女漫画的な可愛さのあるキャラデザで緩和され、ちょうどいい感じのど濃厚に収まってるから、このイカレアニメは美味しく食べれる感じ。
恋太郎と彼女がイチャコライチャコラ、彼氏彼女がすること全部にイチイチ胸ときめかせ体温上げる中で、羽香里と唐音のキャラ性もよく分かってくる。
ツンデレ故に”受け”から自分の恋愛技芸(ラブコメアーツ)を開始めなければいけない唐音を、上手く誘引する形で羽香里の脳髄からどピンク汁が溢れ出し、見ている側もオッホッホ、生まれたちょっと嬉しい桃色ハプニングに対抗する形で彼女なりの愛を暴力的に叩きつけてくる構図は、『最初の二人』としてバランスが良いわな。
恋太郎は”100人彼女”というイカれた状況が、何でもありのセックスバーリトゥードにならないため、過剰な倫理制限を課せられている。
自分からエッチ行動を取ることが出来ない彼のために、羽香里が恋と性に積極的な”攻める”彼女になるのは、作劇上理にかなっているのだ!
いやまぁ、元来脳みそピンクなだけって話なんだけどさ。
ツンデレならば暴力系、古式ゆかしい造形にのっとって暴れる唐音のバイオレンスも、何もかもが狂っている100カノ時空ではあんま嫌悪感なく飲み込めて、というか飲み込めるように暴力と笑いを癒着させた構図を意識して作って、パロディ回してブン回してもいる。
集英社の金看板を逆手により、『ラーメンマン?』でボケ挟んでメガバイオレンスの苦味を薄めてくるの、つくづく上手い手筋だなぁと思う。
人間笑っちゃうとあらゆるガードが下がるわけで、二股なんてもってのほかな正気の世界なら濁りが出る要素も、高速ボケとツッコミのオブラートに包まれて味を判断する余裕もなく、強制的に食わされてしまう。
このパワー勝負……を可能にする、パンパンに張り詰めたテンションを維持しイカれた世界観を崩さない作り込みにぶん殴られる体験が、また気持ちいいのだ。
ある意味24分のアトラクション、モニター前で体験するテーマパークみたいなもんで、非日常の加速度で脳髄が揺らされるフラフラこそが楽しいという、安全平和な狂気接種体験である。
それだけなら『イカれてんな~』で終わりなんだが、このお話とにかく女の子が可愛いので『イカれてるのに可愛いな~、幸せそうだな~』と、脳みその別の場所を高速連打される。
本来なら結びつかない二つの大脳皮質を刺激されると、デペイズマン効果により異様な快楽を受ける人間にとって、『イカれてるのに可愛い、可愛いのにイかれてる、イカれてるから可愛い』という体験を大量に浴びせかけられるのは、不思議な気持ちよさがあるのだ。
気合い入りまくりのハイライトでもって、恋太郎とともに在ることがどれだけ彼女たちを幸せにしているのか、問答無用に理解させる腕力も、アニメ大変元気である。
元々素晴らしい可愛さなんだけども、色彩設定と撮影つうアニメ特有の武器を最大限活用して、彼女たちの可愛さをいい脂っこさで叩きつけてくるの、大変素晴らしい。
『明らかな”狂い”を振りまく連中が、どう考えても可愛すぎる』という振り幅に身悶えすることで、脳みその普段使ってない場所がパッカー開いて、脳汁ドバドバの視聴体験が生み出されるっての、イチャイチャのエンジンがかかってきた今回強く感じれたね……。
そんな感じで暖気は十分、彼女全部を大事にしたい恋太郎がファーストキスという一大事をどう解決するのか、バカの考えたデスゲームの催しが屋上で暴れる。
『恋太郎は真面目なバカでありバカ真面目なので、最悪の二股行為を真実の愛に昇華し、彼女たちを毛筋とも傷つけないためには明後日の方向に全力を出す』っていう、作中ルールの説明会でもあるか。
開幕電柱と話してるあたりでうっすら気づいたかもしれないですが、この主人公かなりのイカレなんで、ああいう面倒くさい手順も踏むわけね。
結局最初に思いついてた『三人で同時にキスする』つうシンプルな解法がベストだったわけだが、ともすればアモラルな不正解になってしまうこの行為を視聴者に飲み込ませるために、面倒な迂回路を楽しくお届けして、一芸披露(ゲップ出るまで)という流れである。
ここもま~常時ボケッぱ狂いっぱ、暴力とセックスアピールが乱れ飛びながらなんかそこに拘ってるのも馬鹿らしい勢いで、接吻をめぐるドタバタが展開していく。
唐音のツンデレ暴力は結構過剰なんだが、恋太郎が早くも人間離れした包容力と狂気、ギャグキャラ特有の頑丈さを披露して受け止めてくれるので、そこまで気になんないのは凄い。
あんだけ直接打撃(フルコン)叩き込んでるクソアマに萌えるも何もないはずなのに、『ま、このイカれた世界じゃそういうこともあらァな!』で判断停止して、ツンツンデレデレしている可愛さだけを摂取できるの、本当に凄いよね……。
100人ハーレムを成立させるためには恋太郎の包容力だけではなく、構成員同士が仲良く喧嘩せず、お互いを思いやりながら暮らしていくことが大事になる。
三人キスが満更でもない、百合へのシンクロ率の高さを早くも見せつけているファースト彼女たちの様子は、狂いきった恋愛共同体がそれでも”ファミリー”なのだという無茶を、視聴者に飲み込ませるための下準備でもある。
この笑いと狂気のアクセルベタ踏み、崖に向かって一直線に加速して空飛んでいくような作風で、人間存在の暗い部分に常時切り込んで苦味でてもしゃーない。
『しゅき……』で全部が収まってしまう幼児退行な気持ちよさも合わせ、この収め方はつくづく正しいと思う。
そこら辺を全部切り捨ててなかったことにするわけではなく、要所要所で人はなぜ恋を求めるのか、苦しみが愛でどう癒やされるのかをちゃんと書きに行くところが、また狂ってるとも思うけど。
そこら辺は最後に衝撃のビビーンをキメた、三人目の彼女で掘り下げられていく勘所である。
やっぱアニメのやり過ぎなビビーン、シンプルにオモシロすぎるし過程すっ飛ばして本気恋愛が始まる理由を飲み込まされるし、良い演出だなぁ……。
というわけで、恋太郎と愉快な彼女軍団がどういう日々を送っていくのか、よくまとまったテストケースでぶん殴ってくる回でした。
どっからどう見ても学校に救う妖怪な教頭先生の書き方とか、何もかもが早くて強くてイカれていて、心休まる暇がなくて良かったです。
そういうホッコリは可愛いキャラクターと、どピンクにあふれかえるトキメキで強制補充だ!
……何度考えても、ピーキーすぎる設計思想のお話だよ。
そこが好きだ。
狂気と才能の最前線に、立ち会わせてもらってる感じがある。
図書館で運命的に出会ってしまった新たな彼女は、どんなイカレと可愛さを抱えているのか。
既に正気の人間は一切画面に映らないと、視聴者がハラキメたタイミングで飛び込んでくる静ちゃん回、大変楽しみです。
そっか長縄まりあか……死ぬかもな、俺。