命がけの船出を乗り越えて、豚と美少女が森を征く。
明かされる旅の真実、イェスマを待ち受ける過酷な運命。
新章突入の超変則純情異世界物語、豚レバアニメ第4話である。
予兆はあったがそれ以上にロクでもなかったイェスマ真実に震えつつ、決意を新たにジェスを背に乗せ、旅が始まる。
エロティックな感触にブゴブゴ鼻を鳴らしつつも、イカれた異世界の習俗に正しく怒り、大恩ある美少女のために体を張る覚悟を見せる豚は、相変わらず好感の持てる主人公だ。
そんな豚の心根を良く知り、外見に流されず慕ってくれるジェスのヒロイン力も話が転がるうちにどんどん大きくなっていって、やっぱ素直な話だなー、って印象。
美しい森をテクテク豚の背に乗って美少女が進んでいく様子とか、花畑の中を豚と美少女が歩く姿とか、このアニメで僕が好きなファンシーさも元気な回で、とても良かった。
ゆったりいい絵面を見せてくれたことで、豚の背中がこの世知辛い世界において、ジェスが一番安らげる居場所なんだなーってのが、見てて良く解った。
このホッコリした手応えは、大変いい。
豚と被差別美少女に極端にフォーカスしたお話なので、彼らを取り巻く自然を描く余裕が画面に出来て、なんか奇妙に雄大な感じが出ているの、多分狙ってないんだろうけど好きだな……。
つーわけでジェスがひた隠しにしてきた王都への旅の真実……その一端が開示されたわけだが。
いやー、マジでロクでもないねッ!
豚の背に乗り美しい森をテクテク進む、のどかな風景が印象的なだけに、余裕で人体バラしてるイェスマ狩りの血生臭さが際立つわ。
魔法屋のオッサンが見せていた冷淡さはむしろいい方で、イェスマを人として扱い心を通わせたり、王都に行かせないよう修道院に匿ったりする人は、この世界じゃ変わり者なのだろう。
裏表なくジェスのために憤り、喜び、守ってくれる豚に彼女が思いを寄せるのも、当然だよなぁと思う。
この終わりきった異世界が、どうしてこうなっているのか。
帰らじの王都への旅の果てに、何があるのか。
あの”アフターマン”の奇妙生物めいたキモいの、一体何物なのか。
謎の一部をジェスが語ったことで、更に大きな不明点が鮮明になった感じもある。
やっぱおぞましい世界の謎を旅の中で紐解いていく、異世界旅情ミステリともいうべき側面がこの話にはあって、主人公に付与されたミステリマニア属性は、ここを発掘しやすくするための足がかりなのだろう。
ジェスとの純情二人旅は見てて楽しいもんだけど、単品で引っ張るにはちと馬力足らないので、イェスマと世界の謎を追加ブースターにして話を牽引していくのは、結構いい手筋だと思う。
ジェスはまだ序盤のこの段階で、豚への慕情を隠そうともせず視聴者に公開しているわけだが、これは豚には分からない情報だ。
心は既に通じ合っているのに、イェスマを血みどろに狩り殺す狂った異世界も、豚の体に押し込められた元オタクの自己卑下も、”答え”に向かって真っ直ぐ突っ走るのを許してくれない。
しかし豚は正しいことを成し遂げるのにためらわないナイスガイで、その御蔭で前回レバーにナイフがぶっ刺さるハメにもなった。
そんな体を張った純情がまたジェスを惚れさせ、豚は謙虚に自意識にブレーキをかけて適正距離を維持し、旅は続いていく。
ここら辺のせめぎ合いが話の盛り上がりにどう噛み合っていくのか、もう一つ二つデカ目の事件があると分かりやすくなるかなー、って感じ。
修道院の焼け跡に進むと、ちっとは視界が拓けてくるかな?
まだまだ始まったばかりの旅、どんだけロクでもないものが押し寄せてくるのか、今から戦々恐々でもあります。
このアニメ独特のゆったりとした語り口にも肌が馴染んできた感じがあり、なにより豚とジェスに好感を持てているので、話がどこに転がっていくのか、じっくり見守りたいところ。
次回も楽しみです。