イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ミギとダリ:第10話『ビーバーズ vs 一条母』感想

 かけられた濡れ衣を晴らすために、子ども達は深い闇の奥へと踏み込むッ!
 それはさておきな~にが”ビーバーズ”だテメェ急に目立ったぽっと出のポット野郎がよぉ!!!
 死人は出てるがトンチキは加速する、とってもこのアニメらしい終盤戦、ミギとダリ第10話である。

 みっちゃんはガチ死んどるわけだが、それは一旦横において秋山は怪鳥の叫びを上げて囮となり、おバカ双子のスタイリッシュ侵入計画はドタバタ騒がしく、丸太が猛烈なキャラ立ちを果たしてメインキャラッ面しだす。
 シリアスな展開で抑え込まれてきた『なんなのコイツラッ!』感が最後の最後、いい塩梅で燃え盛りだして、『そういやこういうアニメだったなぁ……』という感慨を、いいタイミングで味わえた。
 マージで無駄に良い声帯備えてるだけだと思ってたクソガキが、証拠確保のためのキーマンになるわ、囚われのヒロインと純情ロマンス開始するわ、美味しいところ&大事なところを一気にかっさらっていく勢いの良さ……なんなのコイツラッ!

 

 話としちゃー一条家に潜り込むためのドッタンバッタン大騒ぎ、相変わらず双子に抱えた感情デカすぎる秋山くんと、ビーバーハットのクソガキを巻き込んでのミッション・インポッシブル開始……って感じ。
 秋山くんはここまでもズレた友情を画面の端っこでぶん回してくれたんで良いとして、丸太がここに来て存在感マシマシになっていくのは……面白いから良いかッ!
 クローゼットに閉ざされてきた、双子の世界が広がって話が終わるのは、成長物語として必要な描写でもあるし、『触れ合ってみれば案外面白い』つうのも、ずっと続いてきたモチーフではあるからな……。
 それにしたってあの前歯野郎、秋山くんが夜を騒がす怪鳥と化して表舞台から離れる中、主役級の大暴れカマしまくって、まさにやりたい放題。
 出るキャラ軒並み濃すぎる、サイコサスペンスとトンチキコメディの欲張り煮こごりセットみたいなお話のポテンシャルを、最終局面で確認する見せ方であった。
 全7巻の物語を1クールのアニメにまとめるにあたって、必要不可欠な要素だけピックアップしてやや駆け足で走ったことが、ここでの丸太の唐突さを産んでる……わけだが、結果としていい具合のやり過ぎ感が生まれ、”らしい”面白さになったのは良かったと思う。

 緊迫した最終局面で、ボーイスカウトの技術が生きてくる展開も、ボーイスカウトネタをもう一二回、日常パートで突っ込める構成ならまた、見え方も変わってきたとは思う。
 ここら辺の仕込みの弱さを、声と動きの面白さで強引に持っていく腕力勝負がアニメ特有の”味”になってる時点で、僕としては良いアニメ化なんじゃねぇかな、と感じるのだ。
 色んな事情や制約で出来ないこともたくさんあるけど、その中で一番面白くなるよう、作品の魅力の真ん中を伝えられるよう努力するのが、メディアをまたいだ物語の責務だと思う。
 そこら辺このアニメは相当頑張って、いろんな魅力がある欲張りな話をどうにかアニメの尺に収め、あるいはアニメだからこその面白さを引き出すよう、工夫して見せてくれたなぁと、久々のトンチキ神戸劇場に笑いながら思った。

 

 状況事態は全く洒落になっておらず、洗脳教育ぶっこまれて赤ちゃん返りしちゃった瑛二のグロテスクとか、そらー丸太も青ざめるわってヤバさなわけだが。
 その洒落にならなさに飲み込まれすぎず、洒落になってない状況で意図せず洒落になっていく生真面目なズレこそが、この作品の味でもある。
 裏切りの予感だの、育まれた絆だの、コメディの衣をまとってはいるものの今回丸太との間に作り上げられたものも、また洒落にしかならない本物なのだ。
 よくよく考えるとサイコ義母に狂った生活強要され、頭弱い幼子を演じるしかなかった華怜も相当な”悲劇のヒロイン”であり、双子が拾うつもりがない以上、彼女をハッピーエンドに(マジ唐突に)導く白馬の王子様役を、丸太が引き受けるのも大事なことかもしれねぇ。
 ……それにしたって一話で美味しい立ち位置に駆け上がりすぎてて、正直ムカつくなあの前歯野郎……。

 お笑いミッションインポッシブルをくぐり抜け、怜子から真実を聞き出す姿勢が(何故か)整った最終局面。
 愛と友情は真実を穿ち、村を覆う欺瞞の闇を暴くことが出来るのか?
 ズッタズタにされた瑛二の心は、エンディングまでに元に戻るのか?
 好き勝手絶頂コメディしてたはずなのに、サスペンスの〆に相応しい状況が気づけば整っているのも、このお話らしい剛腕で大変いい感じだ。
 次回もとっても楽しみです!