イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

葬送のフリーレン:第18話『一級魔法使い選抜試験』感想

 僧侶ザインとも別れ、まだまだ続くまったり旅……。
 そんなヌルい展開で週刊少年サンデーの看板張れるワケねーだろ!
 ”ビッグコミックオリジナル”な味わいを一気にぶっ飛ばす、新キャラ山盛り一級魔法使い選抜試験開始ッ! な、新章開幕フリーレンアニメ第18話である。

 アウラ編で切り替えかけた舵が、血圧低い方向に戻ってこのまま行くと思いきや、一気に少年漫画テイスト濃い方向にグルン曲がって、さーどうなる! という回である。
 言うたかて試験が始まるまでAパート、全部使ってのったり進む味わいはコレまで通りであり、だからこそ露骨に味が違うハンター……一級魔法使い選抜試験が作風にどう馴染んでいくか、なかなか楽しみにもなる。
 お世話係のフェルンにダダ甘えしてる高齢者っぷりを見せた上で、ごちゃまぜ即席パーティー試験でそこから引っ剥がして、ツンデレ百合カプ相手に保護者ぶってるフリーレンを見るのは、落差が効いててなかなか楽しい。
 しばらく接種できない成分なので、スネてる筈なのにソッコーフェルンの膝枕狙いに行って、空を遮るほどに育ったおっぱいに機嫌悪くなるエルフ幼児をたっぷり見れたのは、大変良かった。
 初対面の相手にブチかましたら即絶縁レベルの無法なんだが、そういうのも許してしまえる間柄をフェルンとフリーレンはどっしり育んできたのであり、血縁よりもなお濃い縁で支え合い甘えあってる姿を見ると、マジで肌が潤う。

 フェルン相手にバブバブしてるフリーレンを見ると、ヒンメルが一生かけて想い人に託した花束が、豊かに花開いてる感じがして嬉しいんだよな俺……。
 自分じゃなくても、恋じゃなくても、フリーレンが永生者の冷たい定めに囚われず、目の前の一瞬に微笑めるなら勇者は満足なんだろうが、仕上がりすぎた聖人の生き様は凡俗から見ると清廉すぎて、少し哀しい。
 しかしヒンメルと仲間たちが10年の旅、その後の人生で蒔いた種が花開いた結果、フリーレンは愛弟子にして愛娘にグダグダ甘え、フェルンの方もフリーレンの世話して世話されて幸せなのだから、哀しくてもこれで良いのだ。
 こういう本筋とはあんま関係ない、しみじみ地道な部分で『時と死と定めを越えて、受け継がれるもの』っていう、作品のコア(だと僕が感じているもの)を照らすのは好きだなぁ……。
 常時血圧低めで、あんま声高に叫ばない画風ともガップリ噛み合って、物語のトルクが出る場面だと思う。

 

 さてゆるりと一行の現状を書いた後、ついに始まる試験。
 指輪に導かれてチーム組むことになった、ドレス姿の毒舌お嬢と実は臆病な元気娘を相手に、フリーレンは年相応の落ち着きで向き合っていく。
 英雄に鍛え抜かれて基礎力お化けになったフェルンにしても、ビビリなふりで鋼鉄人間だったシュタルクにしても、田舎でくすぶったわりに才能の塊だったザインにしても、旅の仲間はここまでみんな超人だったので、鳥一匹に大ピンチになるカンネは新鮮だ。
 まぁこの世界にも当然そういう人はいる……ていうかそういう人が大半なんだから、フリーレンの隣に”普通の魔法使い”が立って、凡人ゆえの物語を掘り下げられるのは大事なことだろう。
 おまけに悪友とのツンツンデレデレまでついて回るとなりゃ……こりゃ思いもよらぬボーナスステージですよ!

 喧嘩ばっかしてる若人二人を優しく見守っているようで、フリーレンは自分の魔力を読ませることでパーティーメンバーの品定めを抜け目なく行っており、ラヴィーネはその眼鏡にかなう。
 ここら辺、ボケボケなようでいて暴力沙汰に関しては老練な気質が見えて、好きな場面である。
 同時に空の脅威に気づけたラヴィーネと、気づけなかったカンネの実力差もひっそり描かれていて、さて音速超えのインチキバードを捕まえる試練、どう乗り越えていくかなかなか楽しみな局面といえる。
 フリーレンから離れたフェルンが組まされた連中も、相当な癖強だと示されてもいて、色んな意味では一筋縄ではいかない一級魔法使い選抜試験……これからどうなっていくのか。
 次回も楽しみですね。