イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ぶっちぎり?!:第2話『君を乗せたい!チューチュー・チンジャオローストレイン!』感想

 ヘナチョコボーイのヤンキーめちゃモテ物語、第2話も騒々しいワチャワチャが元気に転がっていった。
 暴力と思い込と誤解と強めの感情を闇鍋で炊いた、とにかく味が濃い昭和ヤンキーアラビアン風味。
 隠す気もないゲイ風味をぶん回しつつ、学園を二分するチーム両方に見初められちゃった荒仁くんの未来はどっちだ! という状況である。
 何度本気を問われても『童貞捨てたい』しか出てこない、超絶軟派な主役がテキトーに立ち回っているうちに、暴力と権力と侠気をビシバシ言わせてるほんまもんの男たちにジリジリ周囲を包囲されていってるが、このミスマッチはどこまで引っ張るのか。
 話の構造的に、荒仁くんが本気になっちゃったら話も終わりな気配はあるので、どう考えても成就しないまほろちゃんへの思いと、ノリと勢いで状況が転がっていくのぼせた雰囲気が、どこで冷えるかは気になる。

 荒仁くんは二大トップにキツイのブチ込んで、学園の台風の目になりかけているけども、それは千夜の超常的な力を借りた、自分の意志でも力でもない偶然だ。
 だから当事者意識なく、まほろちゃんしか見えてないおバカっぷりで突っ走って、フラフラ状況がややこしくもなる。
 逃げるなら逃げる、浮つくなら浮つくで”本気”入ってるなら応援できるが、荒仁くんの軟派っぷりは幼い夢を踏みつけにされた代用品であり、真実の願いは別にあるっぽいから、この狂騒がどこに落ち着いていくのか、なかなか見えない。
 ワーワー騒がしい状況自体を楽しめば良いとは解りつつ、どっかに腰が落ち着いた本格の匂いを、感じ取りたくもなる第2話だった。

 

 

 

 

画像は”ぶっちぎり?!”第2話より引用

 そういう意味では、一番体重預けられるキャラは激ヤバブラコン核弾頭、神まほろChangなんだよなぁ……。
 兎にも角にもお兄ちゃん大好き、仕上がった顔面も激ヤバ暴力主義者であることも全部ひっくるめで、ぞっこんLOVEを貫いてるブレなさは、間違いなくヤバいけども作中一番”本気”を感じる。
 真宝くんが後生大事に持ち歩いている、約束の手作りハンコをソッコー砕き、『殺す』宣言堂々突きつけている姿からは、カケラも脈ないのが良く解って大変いい。
 危険な純情を注いでいるお兄ちゃんは、うぜー軟派野郎に夢中だしなぁ……報われないよその願い!

 不良文化にもてっぺん取りにも現状興味がない主人公を、男臭い権力闘争の真ん中に投げ込むためにはなんか理由が必要で、それがまほろちゃんだって構図は解る。
 そこら辺を見て前回”男男燃やすための薪”呼ばわりしたんだけども、深掘りしてみると想定以上期待通りの激ヤバ少女で、ただのお姫様役で終わらないコクが出てきたと思う。
 荒仁くんは恋は盲目浮かれポンチ状態なので、どんだけ袖にされてもましろちゃんにッポし続ける(し続けないと、話が転がらない)んだろうけど、そういうすれ違いばかりではなく、彼女のヤバい本性を誰か、本気で受け止めてあげたら良いなぁ、とも少し思った。
 どう考えても、煮込むと美味しいダシ出そうなキャラだからさぁ……荒仁くん以外との辛みが見たいね。

 

 本筋の方はナンパな主役がニ大巨頭に一発づつブチ込んで、トップは惚れ込んで欲しがるけど周囲は納得してない、なかなか温度高い状況に。
 まほろちゃんに釣られる形でシグマスクワッドに加入した荒仁くんと、魅那斗会に所属する真宝くんは、対立する形で次回に続く……と。
 それぞれの組織に、少年たちの粘ついた感情が色々叩き込まれているので、気に食わない新入りを巡って色んな場所で、暴力と思いが発火しそうな情勢になってきた。
 ツラの良いヤンキー坊や達が、青春の汗と止まらない想いを拳に乗せて絡み合う姿をこそ書きたい話なんだろうし、場がグツグツ煮立ってきたのは大変いい感じだ。
 その中心に主役がいるのも、色々ややこしいことが起きそうで面白い。
 自分に身勝手な感情叩きつけてくる男たちに感化されて、荒仁くんもちったぁ自分なりの”本気”に触ってくれると、浮ついた話に芯が入って、より食べやすくなるかな?

 荒仁くんが千夜と合体して振るう拳は、大砲一発ぶっ込んでネタ切れなんで、真宝くんと蛇走くんの校庭バトルは、コッテリ見応えがあった。
 生身バトルをどういうリアリティとケレンで描くのか、作品が提出するテストケースとしても、蹴り技VS抜き手のハイスピードバトルは大変良かった。
 あくまで若手の有望株同士、学園を二分するチームにはもっとヤバい連中が潜んでいるんだろうし、若獅子のじゃれ合いでこの熱量ならトップ同士はどうなるんだっていう、良い期待感も膨らんだ。
 バッチンバッチンに昭和ヤンキーなんで、バトルももうちょい泥っぽくやんのかなと思っていたが、武術っぽさを全面に打ち出したスマートな打ち合いと、結局根性頭突き比べで決着する不良力が両立してて、なかなかいいバランスだと思う。
 今後も要所要所で、いい感じの生身バトルを見れると嬉しいね。

 

 二話まで話が転がってみて、まだまだ主役の腰は落ち着かない。
 千夜が何を望んで力を貸しているか、荒仁くんは改めて聞く気配がないし、千夜も喧嘩にテンション上げてるだけでちゃんと話すつもりが見えない。
 主役コンビのディスコミュニケーションは、解消されるべく用意された意図的な不和だろうし、今後状況が煮詰まるに従って否応なく、向き合わなきゃいけないポイントだろう。
 稀代の超新星と祭り上げられてる状況は、荒仁くんが望んだものでも、自力で引っ張り込んだものでもないんだが、巻き込まれた現状に強くNOを言う芯も、今の彼には無いしなぁ……。
 何もかも流されるまま、暖簾に腕押し手応えなしなこの感じが、灯荒仁って少年のリアルなんだろう。

 それは嘘っぱちであり、幼い日に憧れた強い荒仁くんこそが本当なのだと、こっちもズレた夢を投げつけている真宝くんも、朗らかな顔にずっしり重たいモン秘めてて、なかなか面白い。
 真宝くんが『こうあって欲しい』と願う荒仁くんはただの妄想でしか無いのだが、同時にその夢を一緒に信じた時代が確かに二人にはあったし、なにもかも諦めているように見えて、荒仁くんの心の奥にはまだ炎が残ってもいる。
 もうガキじゃない彼らが、大人じゃないからこそ直面する理想と現実の間で、どう思いをすれ違わせて、熱く燃やし繋げていくのか。
 ここら編の下準備をする回でもあったかな?
 荒仁くんまっしぐらな真宝くんに、座布くんが強めの感情懐いて主役にぶっ込んできそうなのが、結構美味しい気配なんだよな……。

 

 というわけで、うわっついた主人公の現状をゴロゴロ転がし、話の真ん中に持ってくる回でした。
 否応なく”本気”を問われる不良銀河の中心核に、気がつけば座っちゃってるおバカ高校生の未来は、一体どこに転がっていくのか。
 なかなか先が読み切れない、オリジナルアニメ特有の美味しさを味わいつつ、次回を楽しく待ちます。
 まほろちゃんが相当なオモシロ女だってのが良く解ったので、今後もそこを彫り込んでいってほしいね!

 

・追記 若さゆえの見えなさ、見えないからこその突っ走り方を描くアニメなのかなーって、二話時点での手応え。