イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

外科医エリーゼ:第7話『追憶』感想

 衆人環視化での、頸部切開気道確保術式敢行ッ!
 王の権威もどこ吹く風、眼の前の命を救うために一切の躊躇いなしなエリーゼを、閉じ込められる檻など無いッ!!
 NO LIMTで突き進む医療無双、イケメン王子も顔出して一体どうなっちゃうの~~な、外科医エリーゼ第7話である。

 『可能な限りあら捜しして、試験受けれねぇようにしちまおうぜ!』というコスい謀略が火を吹いたが、エリーゼの術式があんまりにも完璧であり、確認した医者共も自分の目を裏切れない本物の医療従事者だったので、王様サイドの思惑は見事に粉砕!
 ……ここで『出てはいけない結果』を噛んで含めて、望む結果を引っ張り出しにいかない当たり王様たちも誠実かつ善良であり、このお話らしい風通しの良さだと思った。
 『王室にはぜひ欲しい人材だが、檻に捉えて才能殺してもしょうがないし、可能な限り正々堂々罠にハメる』つう立ち回り、なかなか他に類を見ない面白さがあるので、今後も好感持てるオモシロ悪役(?)を頑張ってほしいところだ。
 ピンチが巻き起こりそうになる度、エリーゼが一切の小細工を投げ捨て真の医者に相応しい仁王立ち決め込むことで突破されていくの、チート能力とはまた違った爽快感があって、妙に面白いんだよな……。
 些事を気にかけ勝つ算段付けて勝つんじゃなくて、徹底的に望んだ自分であり続けることで世界のほうがひれ伏し、門を開けていく覇者の生き様(求める道は”医”なので、貫くと苦しむ人が減る)。
 不退転の侠気を自然とぶん回している力強さが、エリーゼ好きになってる理由かもしれんね。

 

 エリーゼ様の行住坐臥に世界がひれ伏すまでの短い時間を、塔に監禁されて過ごすわけだが、そこに顔出す第二の王子。
 政治的にリンデン閣下と敵対する立ち位置っぽいミハイル殿下であるが、前世の関係を引き継いで大変いい感じの応対してもらった。
 この後兄弟でエリーゼの取り合いになるのか、順当に正ヒロインが勝ち切るのかは解んねぇけども、このアニメらしい濁りのない造形で、なかなかいい感じだと思いました。
 どうやら監禁場所になってたあの塔は、リンデン閣下がむっつり人生楽しまなくなった理由とも繋がってる感じで、ここら辺の地雷をエリーゼの侠気がどう踏み潰していくのかも、結構楽しみだったりする。
 ”一周目”では上手く処理できなかった兄弟対立も、この人生ではふわっと柔らかく着地しそうな気配あるし、全体的に前向きで明るいデビューになってたの、大変良かったです。

 ……エリーゼが一医者の立ち位置から自分を動かそうとしないので、王子や王室がハマっている政治情勢が見えてこないのは、今後を予測する上では結構悩みどころだな。
 医者になるやならざるや、王室の権威を敵に回しての意地の張り合いにフォーカスを合わせて、過剰に世界観の横幅を広げすぎずコントロールするって意味合いでは、今のエリーゼの視野はいい仕事しとるわけだが。
 ここらへんはアニメの範疇をどこまで取って、どこまで描きたいか次第でもあるので、今後の描かれ方を見届けたい気持ちだ。

 

 つーわけで、王権の用意した謀略の檻も何のその、立って勉強してるだけで全部を跳ね返す、エリーゼ嬢の生き様無双でした。
 かの英傑を宮廷に取り込みたい王様の目は確かだし、『より多くの人を助けたいなら、長い腕を持て』つうのも正論なので、どこに着地点を持ってくるかは楽しみだし気になる。
 頭ごなしに誰かを全否定して、主役TUEEで気持ちよくなる作風じゃないのは、見ててやっぱり嬉しいところだ。
 困難を乗り越えマイナスをゼロにする作りではなく、フラットな姿勢でより善い未来を引き寄せていく、プラス山盛りの作りなんだろう。
 医術というテーマからしても、そういう欲張りは結構いい感じじゃないの、と僕は思う。

 素性を伝えず術式だけで、信頼できる医師たちに己の思いを届けたエリーゼであるが、天才実習生が王子の婚約者であると知った、グレアム先生達の反応やいかに!
 『まぁどうにでもなるだろ……この人たち、マジ医療に本気の医療バカだから……』つう、不思議な信頼感が作中人物相手に醸造されてるのを、嬉しく噛み締めつつ次回、どんな話が来るのか。
 大変楽しみです。