イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

外科医エリーゼ:第10話『玉響』感想

 そろそろ医師試験というクライマックスを見据えつつ、サブキャラとの絆を深めよう回第三弾!
 素顔を隠したクール王子とのドキドキデート……と思わせておいて、すんごい勢いで劇場炎上! 愚鈍貴族に龍声一閃! 命の現場に恋が燃える、リンデン様攻略回となりました。
 前回あんま医療無双しなかったので油断してたが、スナック感覚で命の危険が降り注ぐアニメだったわね、そう言えば……。
 序盤は最高スイーツにときめき夢色逢引と、乙女色濃いめにヌルく進んでいったわけだが、そっから一気に急旋回してボーボー舞台装置が燃えてモクモク致死性の煙が出始める勢い(の割に、死人は出ない所)が、このお話らしくて良かったです。
 なにするにしても緩急が凄いというか、加減を忘れて全力で殴りかかるわりにどっか抜けた可愛げが残っている所、俺は好きな作風なのだ。

 

 ここ最近はやや話のペースを緩めて、エリーゼ以外のキャラの彫りを深めていく話が展開しているわけだが、遂にメインヒロイン攻略! という話でもある。
 コッチが想定していたよりリンデン様はエリーゼにお熱であり、エリーゼも『前世の罪咎を悔いて恋は捨てました……』と、尼みたいなこと抜かしてるくせにメロメロときめいてもいて、くっつきそうでくっつかない両片思い状態。
 これに加え、王家秘伝のロイヤルプリズムパワーメイクアップでもってパツキンに化けて名前を偽り、叶わぬ恋(と思い込んでる)の相手とイチャコラしてる罪悪感が壁になって、結構拗れた状態になっていた。
 ロン状態でのときめきも、立ち居振る舞いにリンデン様の面影を見ればこそメラリと燃える炎であり、ちょーっと素直になれば即座にくっつきそうな二人であるが、そこがなかなか進んでいかないもどかしさが、ロマンスの醍醐味……といった感じか。
 まぁ残り話数から言っても、二人の恋路がゴールに辿り着くのはアニメでは難しそうなので、ニチャニチャ微笑みながら見守れる感じになれて、良いエピソード来たなと思った。

 そのための薪として劇場一個燃やすのは……まあこのアニメだし良いかッ!
 実際エリーゼの価値観軸は徹底的に”命”にあり、こういう火急の危機に想い人がどういう決断をするか見届けないと、真実惹かれて良いものか判断も付きかねるわけで、災い転じて福となす……かどうかは、この後の転がり方次第ではある。
 ロイとして受けた治療がリンデン様にも影響を及ぼし、生きるの死ぬのの境目で黙って座ってはいられない、熱い血潮をお后候補と共有できているのは、似合いの二人だと思う。
 これが”一周目”では全然噛み合わず、二回の転生を経て人間力が究極に高まった今のエリーゼだからこそ、ピッタリ引き合う形になったのは、なかなかに面白いね。

 

 今回はいつもむっつり鉄面皮だったリンデン陛下が、どういう才気と価値観を持っているかをエリーゼと僕らが知る回なので、ワッショイ担当はエリーゼがやることになった。
 ここまで聡明で善良な人ばっか出てきたので、むしろ新鮮な趣すらあった愚鈍モブ貴族を持ち前の王気で従わせる時の、その凄み全てをセリフで説明し切るエリーゼの立ち回り、”受け”に回っても誰かの無双を引き立てられるバンプを感じれて、大変良かったです。
 クドいくらいのワッショイでもって、主役の特別性を引き立ててこその無双モノという感じもあるので、眼の前の相手がどんだけ凄いのか、ちゃんと驚いて言葉で伝えてくれるキャラは大事よね。
 一発喰らわされた愚鈍貴族が、エリーゼに向けてた反発をシオシオと手早く引っ込めて、素直に屈辱的なハイハイで無事脱出していく所とか、メチャクチャこのアニメらしくて良かったですネ。

 エリーゼは婚約辞退して医道に生きる意思を示しちゃったし、リンデン様はロンという仮面被って望ましい関係構築しちゃったしで、なんか捻くれた繋がり方になってる二人。
 しかしまー心の根っこでは思い合っているのは間違いなく、微笑ましく可愛らしいトキメキ満載で、仲良くやっていけそうな前向きさがあったのは、このお話らしくて良かったです。
 お互いの立場と信念があればこそ、思い合っていても繋がれないもどかしさがロマンスを彩ってもくれるわけだが、うまいことお互いの気持ちが通じ合って、本当に求めているものを掴めると良いね。
 ……と、素直に応援できる濁り少ないキャラが主役とヒロイン張ってるのは、自分としては見やすくてありがたい限りだ。
 素朴でボヤッとした可愛げ含め、なんだかんだ肌に合うアニメだったのだと思う。

 

 というわけで、劇場デートに恋の炎(物理)が燃え盛る回でした。
 お互い好き合ってるのに、いらない障壁が邪魔をして巧く繋がれない現状が描かれたことで、まず最初の障壁である医師試験突破に弾みが継いたのは、終りが見えたタイミングで良いトス上げだったと思う。
 医道に邁進する志を抱えたまま、恋に使命に全力で頑張る道をひた走るべく、エリーゼが乗り越えるべき試練も間近。
 どんな風にアニメを締めくくってくれるか、残りの話数も楽しみです!