イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブルーアーカイブ The Animation:第1話『アビドス高等学校 廃校対策委員会』感想ツイートまとめ

 ブルーアーカイブ The Animation 第1話を見る。

 言わずと知れた現代オタクカルチャーの本丸、大人気アプリのアニメ化。
 当方ゲーム未体験、受動喫煙でほんわり知ってる程度の距離感であるが、可愛く綺麗で楽しいアニメ第一話だった。

 やっぱ水色と白を基調に、白飛びするくらい強く光を当てて透明度を上げる全体的なカラーデザインが秀逸で、スッキリ綺麗な印象がずっと続く。
 銃撃戦を話の真ん中に据えつつ、ポップで可愛い青春グッズとして銃器を再設計し、世界観をヴィジュアルで納得させられる強さが一話全体にあって、不思議で心地良い体験だった。
 天使の輪を持った、テロリズムの国のアリス達…。

 

 第1話はあくまでサワリ、先生と五人の生徒が出会って話が動き出すところまでだが、メインヒロインポジに立つシロコちゃんの日常を丁寧に積み重ねる中で、異常で元気な作品世界とか、少女たちの関係性とか、物静かながら何かに期待している彼女の内面とか、色んなモノがちゃんと感じ取れる作りになっていた。

 先程述べたカラーデザインの妙味もあって、ケモミミ美少女に鉄砲とヘイロー乗っけて、脂っこくなりそうな所を絶妙に爽やかに仕上げてくれているので、『濃いのに慣れた俺のオタク舌が、新しい刺激に喜んでる!』って感じだった。
 濃厚豚骨ラーメンにすだちをトッピングしたような、奇妙だがハマる味付けだ。
 世界観的には今後彫り込んでいくんだろうけど、いかにも爽やかで軽やかなシロコ周辺の描線と、砂に飲み込まれどんどん滅び、バンバン鉄砲打ちまくってる荒廃の対比が、なかなかに面白かった。

 ジジイオタクとしては、クソデカ学園都市という舞台設定は蓬莱学園なり麻帆良学園都市なり、慣れ親しんだ身近な異界であり、楽しいハチャメチャが山盛り起きそうな期待感を高めてくれる。
 秩序の中心たる生徒会長が行方をくらまし、混乱が広がっている状況も、各学園に飛び込んでってそれを収めていくだろう先生≒PLの唯一性を高めてくれそうで、良い初期セッティングだと思う。
 まぁまずは、アドビスの五人との関係構築からか。

 

 物語の真ん中に座るシロコが、じっくり時間を使ってその一日を見せてくれたおかげで、可愛い外見に似合わずかなり治安悪い世界だと良く分かった。
 主役チームの初戦が始まる前に、街中でのありふれた乱闘を見せておいてくれたことで、この世界の治安レベルと作中人物の頑丈さ、銃撃戦がどんくらいの命の危機かが予習できて、唐突な暴力にも当惑しなかったのはありがたい。

 メッセージアプリでのやり取りとか、細かいカット割りでの表情の変化とか、情報量を高めて色々盛り込みつつ、全体的にはスマート&スムーズな、素直な展開で進めてくれているのは技量を感じる。
 可愛いシロコ見てたら30分終わったからな…ありがたい。

 先生の登場をBパートまで待たせて、たった五人で滅びつつある学園を守っている少女たちの健気さとか、でも大人がいないとなんもかんも上手く行ってない無力さとか、ちゃんと描いてくれたのも良かった。
 こういう下地づくりがしっかりあるから、先生が生徒に戦いの意味を聞く場面もスルッと入るし、キャラとドラマの芯を問うて答えるやり取りが、このアニメがどんな話なのかをしっかり可視化してくれる。

 滅びつつある居場所を、なんとしてでも守る。
 魅力的な異様さが元気に踊る、カオスな世界の中でいちばん大事なのは、まぁそういうありふれた優しさと勇気なのだ。
 俺、そういうの好きだよ……。

 

 あえて踏み込みすぎず、世界観とキャラをバランス良く食わせる初回となったので、女の子たちもサラーっとの印象でしかないが…皆可愛いねぇ!(キモ蔵スマイル)
 面倒見が良い風でいてなかなか行き届かない、セリカちゃんのアクティブなツンデレ感とか、おっとり調整役に思えたノノミちゃんがでけーミニガン構える衝撃とか、初手で良いところ一杯あった。
 ダルそうにしてるホシノ先輩が、時折鷹の目で油断なく世界と先生を睨んでいるの、かなり好みのタイプの”貌”で良かったな。
 俺は昼行灯めいて才気と傷を隠し、何気ない態度で何よりも大事なものを震えながら背中に守っている女(ひと)が好きだ…(好みのアーキ押し付けマン)

 アドビスの少女たちを過不足なく描きつつ、寝間着からサイクリスト、戦闘時まで色んな顔を見せて、『このシロコって子、鉄面皮に見えて色んなことしてるな…見た目より色々感じてるのかな…』と、とにかくシロコで吸い込もうとする集中勝負が良かった。

 まんまと制作者の戦術に引っかかり、シロコちゃんが何考えてんのかどんどん教えてほしくなっているが、キャラを足がかりに物語の内側を読もうと身を乗り出させれば、語りとしては既に成功なわけで。
 そういう体重の乗っけ方が自然と成立するよう、やっぱ色々考えられたスタートだったと思う。
 『考えてます』っていう力みを極力殺して、すげー自然に萌え萌えだったのが偉い。

 

 視聴者のアバターであり作品世界に入る窓にもなる先生は、清潔感があり落ち着いていて、大変良い感じだった。
 先生の指揮≒PLの介入がない状態で、アドビスチームが実力はありつつ連携が取れていないので押し込まれている描写をやった上で、先生が俯瞰で状況を把握し、情報伝達・戦術立案を担当することで劇的に戦況が変わるバトル描写は、『立ってるだけ』な指揮官キャラがなぜ底にいるのか、上手く見せていたと思う。

 これに加えて、大人のいない学校の侘しさも描かれていたことで、”先生”がアドビスに赴任して少女たちに向き合う中生まれるだろう、人間ドラマへの期待感もちゃんとある。
 いややべーでしょあの学校の現状!

 なにしろスナック感覚でドンドンパチパチ銃弾が飛び交う、だいぶ危うい世界なので、子ども達が子どもとして、あるいは人間として守られ優しくされることは、僕が想像してるより難しいのかも知れないが。
 しかし滅びかけの居場所であくまで明るく楽しく、五人がハツラツと青春している様子を見ていると、そういう壊れかけの当たり前を、大人である”先生”が手渡してくれる未来を期待もしたくなる。

 

 つーかきららテイストな廃校五人組描写が異常にキレてて、銃弾飛び交う砂漠の非日常要素に負けないほど…あるいはそれ以上に『この子ら、いい子だな…』と思えたの、強くてよかった。
 ここが良いから、異様な描写が異化作用持つんだな。

 砂漠、アビドス、光背、ゲヘナとトリニティ。
 トンチキ暴力学園青春物語の合間に、中近東の神秘ネタが山盛り積まれていて、ここら辺どんくらい踏み込んでくるかは、オカルトオタクとしては楽しみな部分である。
 実は以前一回、アプリユーザーの方とそこら辺のネタ(だけ)話したことがあって、結構ガチるってこと(だけ)は知っているわけだが。
 透明感満載のアニメ美少女と、かなりマニアックなエジプト、メソポタミア、シナイの神話と魔術がどう絡み合って物語を生み出すのか。
 現代魔術書としての独自性と仕上がりにも、結構期待している。
 まぁ枝葉っちゃあ枝葉だから、まずなにより女の子可愛く書いてほしいが。

 

 アビドスの五人は降って湧いた”先生”を信頼して良いものか、間合いを探り探り今後向き合っていくことなる。
 その中でそれぞれどんな人なのか、キャラもドラマも奥行きを得ていく感じだと思うが、PC端末とアロナなる少女が謎めいた見せ方をされていて、視聴者も先生の見えきらない内側を知っていく感じになっているのは、なかなか面白い。

 あの水に包まれた教室の廃墟が、どういう場所なのかは全然解んないけども、PCを操作してゲームをやっているPLと、そのゲームの中で世界を救い少女を助けるアバターとのシンクロ率が、謎めいた端末を重要アイテムっぽく魅せる中、しっかり高まっているのは良い。
 メタ濃度が適度よね。

 

 というわけで、門外漢がいきなり”青”を浴びても全然問題なし、大変いい塩梅で歓待してもらえる第一話でした。
 ソシャゲのアニメ化は描くべき要素の取捨選択、ファンサービスと物語としての強度の両立がとても難しいと思っていますが、初見の自分としては作品の善さを喉越し爽やかに飲み干せて、とっても面白かったです。

 自分たちが生み出したヴィジュアルや世界、キャラのどこが強いかちゃんと理解した上で、手際よくぶん回している小気味よさを勝手に感じて、その腕前を信頼して良いかな…と思えました。
 こういう体重の預け方が初手で出来ると、幸せなアニメ視聴が出来る気がする。
 次回も楽しみです!