イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

うる星やつら:第37話『飛鳥ふたたび/嵐を呼ぶデート 前編』感想ツイートまとめ

 うる星やつら 第37話を見る。
 約10話ぶりに水乃小路飛鳥が大暴れし、パニックと暴力とすれ違いが凄い勢いで混乱を生み出す、過去最大級にドッタンバッタン大騒ぎな回だった。
 宇宙人だの妖怪だの、人外の存在が当たり前に顔を出すお話なのに、一番カオスなのが超絶金持ちが好き勝手絶頂やる時だってのに、強めのこのお話らしさを感じている。
 ただの男性恐怖症なら落ち着くチャンスもあろうが、飛鳥は作中最強クラスの怪力も持ち合わせているので混乱に暴力で拍車がかかり、ドンドン状況が落ち着かなくなっていくのが、ドタバタコメディに特化したデザインだなぁ、と思うね。
 おまけに無垢でえっちだ。無敵だな…。

 

 つーわけで今週は、人間の範疇が獣/女/お兄様にぶっ壊れた怪力美少女が、母からの荒療治に友引高校を巻き込むお話と、唯一なんとか話が通じる男性である終太郎とのデートの前哨戦である。
 『性差の話しされたら俺の出番だ!』つうわけで、竜ちゃんもさらしに隠したお胸を見え隠れさせつつ、久々にちょっとエロティックな雰囲気で第1エピソードが進む。
 あとフツーに妹を案じ良い兄でいようと頑張る、トンちゃんが健気でカワイそう
 時が過ぎてみると、箱入り娘を極めた結果あらゆる常識が欠落した飛鳥がお兄ちゃんに迫るのは、半世紀先取りした無知シチュみたいな手触りがあり、”うる星”の先進性を改めて感じ取る次第である。
 そこら辺のアモラルな気配を魅力的なスパイスにしつつ、過剰なパワーをパニック状態でブンブン振り回す飛鳥が、ギャグ時空じゃなきゃ許されない器物損壊と傷害を量産しつつ、ちょっとずつ屋敷の外側に慣れていくお話だ。

 

 前回描かれた終太郎の閉所恐怖症と同じく、ギャグキャラに必要な濃い味付け、そいつがそいつでいるための聖痕を消し去って”マトモ”にするわけではない。
 だが壊れてるやつなりに社会に馴染む努力とか、ぶっ壊れたまんまでも自分の手綱を握るための一歩とかが、笑いと混乱の中確かにあるのは、やっぱ見てて安心するところだ。
 いやまぁ、その過程で発生する大暴れに巻き込まれる側はたたったもんじゃないが…。

 何もかもぶっ飛ぶうる星時空の中でも、極め付きの異常環境で育てられた飛鳥は、ラブコメが足場とする”マトモ”な性差をブンブン揺らし、壁に叩きつける。
 ドサクサに紛れてスケベ根性を満たそうとするあたるをぶっ飛ばしながら、最終的に竜ちゃんを『性別:お兄様』と認識する飛鳥はかなり強めにイカれているが、あんだけ被害を出しながらなんかホッコリしてしまう可愛げがある。
 まー体だけ立派に育った鎧仕立ての幼児なので、怒る気にもならない無邪気な天災というか、お騒がせ野郎勢揃いなうる星のなかでも、かなり独特なキャラをしていると、ガラス割過ぎヤリ過ぎ完満載なドタバタを楽しませてもらった。
 やっぱ可愛いね飛鳥は…。

 あとモノ壊す作画が旧作世代の懐かしい味がしつつ、キッチリ最新鋭の”良い作画”としてブラッシュアップされてたの、すごく令和うる星らしい味わいで好きだったな…。
 こういう『古い革袋に、最新鋭の気合はいった最高のぶどう酒を注ぎ込み続ける』スタイルは、今”うる星”やる上で絶対必要だったしキッチリやりきった、このアニメが選んだ一つの戦いだったと思う。
 作品を象徴するアンセムとなった”ラムのラブソング”をほぼ封印して、MAISONdes最新のクリエイティビティに任せているところといい、古典を敬しつつやるべき戦い方を貫いてくれてるのは、本当に尊敬する。

 

 あんだけの大立ち回りをしても飛鳥の常識は書き換わらず、作中最大のイカレっぷりをどうにか方向づけようと、遂に水乃小路母が横車を押すのが、第2エピソードと次回の連作となる。
 飛鳥エピは結構潤沢に話数使って、騒々しいドタバタをたっぷり描きながら話が転がっていくので、独特の手触りと連続性があって面白い。
 水乃小路兄妹を鏡にする形で、同じくぶっ壊れた面堂兄妹のあり方が際立ってくるのも、ここまで積み上げてきた話数を活かし、一つの集大成として長尺のエピソードを編もうとしてる感じがあって、『ああ、第4クールなんだなぁ…』って思う。
 ここに一つのピークが来るように、話数を選んで当てはめてきたわけだなぁ。

 ポニテメガネで変装したラムとか、黒子衣装に下心を隠すあたるとかが暴れるのは次回になるわけで、第27話第2エピソードと同じく、今回はあくまで序奏。
 とはいえ常識の通じぬ怪力珍獣箱入り娘を相手に、ある程度の絆を育んだ面堂くんの苦労が随所に感じられて、なかなか味わい深い。
 トンちゃんにしても面堂くんにしても、身近な男衆が純情怪力モンスターを見捨てず、優しくしてくれているのは救いだ。
 つーか狂った因習で純朴モンスター培養しておいて、手に負えないから許嫁に丸投げしてる、水乃小路母のメンタリティが一番の怪物な感じしてきたな…声帯が三石さんだから、ギリギリヤバさが笑いに転換してるけども。

 

 というわけで、久方ぶりでも大火力、ヤバさと可愛さの天井が振り切れている強烈キャラの帰還・前編でした。
 あんだけドッタンバッタン大暴れしても、全体の印象が『飛鳥、可愛かったね…』なのは、長きに渡って”うる星”見てきて価値観ズレてるのか、キャラ立ての妙味か…。
 この心地よき混沌に飲み込まれサッパリ判別はつかないが、絶対ろくなことにはならないデート本番、どうなることやら大変楽しみです!