イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

となりの妖怪さん:第3話感想ツイートまとめ

 降れよ雷光叫べよ嵐!
 哀しき怨霊を人と妖怪の絆が打ち破る、スーパーバトル巨編”となりの妖怪さん”第3話である。

 ここまで超絶ほっこり田舎暮らし with 妖怪をお届けしてきたお話が、ヒグマ感覚でひょっこり顔出す鵺とか、ガチ消滅の危機ぶち当ててくる大怨霊とか、一気に舵を切り替える回…ってわけでもないか。
 妖怪さん達が人と隣り合うため、抱えた異能を自覚的に制御している優しい獣だってのは既に描かれていたし、となれば枷が外れた連中が牙を剥いた時どうなるか描いた今回は、ほっこり日常と背中合わせ、全然あり得る作品の一つの顔なのだろう。
 というか、これを描かないと多分片手落ち。

 それにしたって稲妻落ちるわ火は出るわ、蛇霊決戦のアクションは作画に気合も入っていて、意外な角度から殴られる喜びが大きかった。
 いやー…正直こういう味も出してくるアニメだとは全然思っていなかったので、嬉しい不意打ちだったな。
 穏やかに流れる田舎の情景と同じくらい、必死に戦う皆の様子もちゃんと描いてくれて、実は色んな事が起こり得る作風を受け入れるのに、しっかり腰の入った作り込みがいい仕事してくれてる。
 平和も闘争も、最初っから当たり前にあるわけではなく、何もかもが起こり得るからそれに備え受け入れる、タフな柔軟性が良く分かる回だった。
 この思考停止してない空気は、かなり好みだ。

 

 やっぱむーちゃんとぶちおくんのW主人公の感があり、前半は化学修行の成果が出てきたぶちおくんメイン。
 ヌッと鵺が通学路に顔出す世界観、相変わらず面白すぎるけども、大事な人を守るために勉強してたことが役立つ展開は、めっちゃ素直に良かった。
 その後のぶちおくんがブルブル震えてビビってるのも、当たり前の猫又が必死に勇気振り絞って闘った感じが濃く、しみじみいい味。
 当たり前に危険が襲ってくる世界だからこそ、有事に備えて力を磨くのは無駄じゃなかったわけだなぁ…。
 今後ぶちおくんは、力あるものとしてどう振る舞っていくかも、悩みながら学び取っていくわけだ。
 …猫又若武者修行旅の味出てきたな。好きだ

 とはいえまだまだ未熟な化けっぷりを、ママさんに見抜かれ感謝を伝えられる下りも良い。
 幼い日の記憶、新しい家族に守られた思い出が今もぶちおくんを包んでいる描写が、後々蛇霊がなぜ呪いを背負ったのか明かされる時共鳴してくるのが、良い構成だった。

 愛ゆえに強くなれる人も、愛ゆえの呪いに化ける存在もいる中で、ぶちおくんはどういう猫又になっていくのか。
 ただただのんびり過ごせるわけではないと、ハードな戦いに奮闘する様子が描かれたことで、お話が伸びていく先がグンと広がった感じもある。
 バトル要素をこういう使い方してくるの、なかなか意外で面白く、不思議な納得もあるね。

 

 後半はむーちゃんとジロウが、ここまで撒いてきた不穏要素を回収する形で、過去の因縁と決着をつけるまでのお話。
 山と人界の守護者として、荒ぶる大蛇を子ごと殺すしかなかった過去のジロウに、穏やかな日々の中戦い以外の生き方を学んだ今のジロウが、己を犠牲にケリ付けようとしたところで、消えたオヤジ代わり親身に向き合ってきたむーちゃんが現世に引き戻す…という形。
 天狗がどういう役割背負って山間の村にいるのか、しっかり教える展開となり、収まりが良かった。
 こんだけ怪異が身近な世界だと、オカルト要素はガッチリ国家が管理してそうだなぁ…のんきな田舎なので、そういう要素は表には出ないけども。

 むーちゃんの寂しさに付け込まれる形で、蛇霊が恨みを晴らそうとする展開が、結果として彼女が自分の気持と向き合い、今自分がどこにいるかを確かめる助けになっていたのは、試練を通じて成長していく正統派ジュブナイルで、大変良かった。
 自分の中の寂しさに向き合い、巫女としての勤めを果たすことで、ジロウに助けてもらってたむーちゃんが消えようとするジロウを引き戻す形になってて、お互いがお互いを支え合ってるフェアな関係が、お話にグッと両足踏ん張ってきた。
なんてことない平和な日々が、戦い生きるための力になる。
 ここまで二話、妖怪田舎暮らしとしての良さをちゃんと書いたからこそ、むーちゃんの強さも映える。

 

 守られ導かれるべき、弱く幼い存在だと描かれてきたむーちゃんやぶちおくんが、彼らなりのヒロイズムを発揮する今回は、彼らに大事な人を守るために戦える強さを育んだ、ジロウやママさんのつよさを描く話数でもある。
 戦うしか知らなかったジロウが受け入れる道を選んだように、水神が嫉妬の毒により蛇霊に落ちたように、人はどんな風にも変わりうる。

 そんな変遷をより善い方向へ導くためには、導き抱きとめてくれる誰かの存在が必要で、愛し愛されながら日々を積み重ねて、もっと強い自分になっていく揺りかごとして、結構ヤバめな危機もフツーにある美しい田舎は、とても良い。

 

 作品が持つ新たな…しかし確かにここまで描いたものと繋がった魅力を顕にし、更に好きにさせてくれるエピソードでした。
 まったりテイストで進んでいくとばかり思い込んでいた”ナメ”を、いいタイミングでぶん殴ってくれたのは、今後お話と向き合っていく上で大変ありがたい。
 やっぱこういう『俺達こういうことだってやるぜ!』つう一撃が気持ちよく入ると、怠けた視聴態度がビッと背筋伸ばして、アニオタの健康にも良いな…。

 かくして守られた平和な日常が、幼き人間と妖怪をどう育んでいくのか。
 次回も描かれるだろう静かな幸せを、改めて楽しく見れそうで、大変楽しみです。
 いいアニメだ…”となりの妖怪さん”…。