登録者100万人の思いを拳に宿し、ヤクザ相手に魔王復活の狼煙を上げろ!
地べたを這いずる勇者の成れ果てとうどんも食って、復活魔王のサイバーパンクライフは絶好調!!
魔王2099、大変いい感じの第3話である。
配信者成り上がり物語は結構サクサク進め、このまま上がり調子かと思ってたら尊敬できるライバルがゴミ溜めに叩き落される姿を目の当たりにし、それはそれとして機材代と広告費の恩義を返すべくハッカー小娘の犯罪行為に全力加担!
なかなかいい感じのスピード感でもって、魔王様は新宿の裏通りを疾走しており、めちゃくちゃグッドである。
エッジを走るんなら、足踏みはナシだぜッ!
かなりの速度で生活の足場も魔王としてのパワーもガンガン取り戻しつつ、マキナと四畳半二人きり、ペーソス満載でスラムを生きてる所帯じみた匂いも大事にしてくれて、大変いい。
バリバリに厨二キメたファンタジック生命体が、ブリバリ世知辛い底辺生活をエンジョイしている様子はやはり楽しいモンで、今後本来の力を取り戻し裏社会の伝説になるとしても、どっかポンコツめいた親しみやすさは失ってほしくないものだ。
勇者との再会を祝うメニューに、良くわかんねぇ青いの乗っかったキツネうどん選ぶ所とか、ほんと良かった。
やっぱこの洗練されたゴミ溜めの様式美、全身の毛穴で吸い込むとツヤツヤしてくるぜ…。
つーわけで魔王様第二の人生は、配信者やったり腹心の部下とイチャイチャしたり自分を殺した男とゴミ溜めで運命構図したり、取り戻した魔力でヤクザ相手に無双の序曲かき鳴らしたり、てんこ盛りの大忙しである。
イベント多い割に食い足りない感じはなく、そのシチュエーションで見たいものがしっかりお出しされるありがたさは、見ていてとても嬉しい。
ここら辺のスルスル&ギッシリ感、現代技術や社会変化に囚われず、とっとと状況を飲み込んで真顔のまんま乗り込めてしまう、魔王様の器のデカさがいい仕事してんだろうな。
話が都合よく転がっていっても、納得感があるキャラが主役なのは大変いい。
いかにマキナとマブとはいえ、高橋が素性も知れねぇイケメンに金ツッコみすぎな感じはあったが、ヤベー仕事の用心棒を買って出る前フリだと思うと、良い縁のつなぎ方だった。
近未来のはずなのにめっちゃ馴染みがある配信者ライフを邁進し、あっという間に登録者100万をぶち抜く魔王様だが、素のニンが良いのでモテるのも納得というか、真顔とボケのギャップ萌えを見抜いた高橋Pの慧眼というか…。
信仰=パワーな神様的存在の再起に、配信稼業を重ねて描く筆は好きだ。
今後裏社会でバリバリ言わす中で、雪だるま式に信仰パワーを積重ね、チート全開の大暴れなんかもしてくれるのかと思うと、期待も膨らむ。
このハイスピード成り上がりのなんとかなってる感の中に、細かくマキナとのいい関係をしっかり入れ込んで、そここそが大好きな自分飲みたい場面ちゃんと見せてくれるの、大変良かった。
サイバーパンク浪花節の一番美味しいトコロを、手際よく話進めつつもしっかり毎回味あわせてくれるのは、本当にありがたい限りだ。
ここにまさかまさかの路地裏運命構図、500年の時を超えて再開した宿敵との煤けた距離感が、新たなコクをドバドバ生み出してきてもう最高ッ!
かつて世界を救った聖剣が、人間の業に錆び尽き果ててるところなんて、何億回見ても良いもんでね…。
いやー良いよこのアニメ…負けブックの美味いトコロ沢山食える。
限りある生の輝きを携え、自分を超えていった勇者が愛に呪われ、自分と同じ不死に変わった成れ果て。
なかなかキツい再会であったが、魔王様が寝てた間どんだけキツい人類史の当たり前が襲いかかっていたのか、教えるリトマス試験紙として勇者は大変いい仕事をしてくれた。
変わり果てた時代に馴染めてない、鎧姿のまんまな勇者と、とっとと現代社会に適応し、うどん代くらいは奢れるようになったジャージ魔王の対比は、サイバーパンクファンタジーの一番イケてる部分を見事可視化していて、メチャクチャ良かったです。
順調に第二の生を突き進む魔王の、暗い影として勇者使うの、ベタながらパンチ強くて好きだなぁ…。
3話まで見て、魔王様の良いところは時代を乗りこなしつつ自分を譲らない、常時真顔な部分だと思っている。
なので愚者を導き平和を目指す、高慢な理想を譲らず勇者と背中合わせ別れていくシーン、大変良かった。
勇者も勇者で、あんなに長過ぎる人生の不条理に疲れ果てているのに、色んな連中が代替わりしながら世界を作っていく”定命”の生き方を捨てきれず、魔王の高慢に共鳴できない芯が見えたの素晴らしい。
この泥まみれの現実になお砕けず、微かに光る信念の炎が力を取り戻しブワーッと爆裂する瞬間が、見てていっちばん気持ちが良いんだから…。
こういう前フリをちゃんとやるの、ホント偉いなぁと思います。
殺し合う結末に放ったものの、相いれぬ理想を譲れぬまま尊敬しあえる距離感が、魔王と勇者を繋いでいるのも良い。
キレイなお題目はブタに食わせ、銭と暴力だけが正義な退廃の世の中で、500年の宿命にモミクチャにされつつも、揺るがぬ信念の刃で時代切り裂く男たちがいたッ!
こういうベタ足の構造で背骨を支えつつ、ポップな配信業コントとか、所帯じみた魔王様日常ライフとか、色んな面白さを貪欲に盛り込んで楽しませてくれるの、非常に良いです。
「日常でもギャグでもシリアスでも、魔王様はとにかく己を譲らぬ、スタイルのある男なのだ」と書き続けてくれてるの、話とキャラを好きになれる足場で最高。
まー自分こそが世界を導くべき選良だという思い上がりは、社長に500年越し妄執のリベンジキメられた所でへし折れているわけで、そこはいい感じにアップデートして欲しいけども。
そこら辺は人に恵まれ縁に助けられている描写が山盛りあるし、他人の意見に柔軟で誰かの尊厳を大事に出来る男だと書いてもくれているので、いい感じに整えてくれるとは思う。
ブレず譲らずのスタイルに、あり得るはずのない変化が生まれる瞬間こそがいっちゃん気持ちが良いので、退廃都市の現実を吸い込んだ魔王様がどういう”征服”を選ぶのかは、今からとっても楽しみである。
マキナが喜ぶ道を選んどきゃ、多分間違いはないよ!
そして自分を路地裏のゴミに叩き込んだ相手にリベンジを完遂し、配信準備の恩義を返す形で魔王様裏社会デビュー!
いやー…”負け”ってのはつまり”タメ”ですからね…。
たわんだバネが大きく飛び出すように、全てを奪われスラムに流れ着き、オモシロ配信業頑張って取り戻したパワーで街のダニ共をぶっ飛ばす瞬間が、どんだけ跳ねるかワクワクが止まらねぇッ!
後腐れない暴行御免状が発行され、颯爽たるバイオレンスが暴れまわる予感に、ワタクシ大変震えております。
やっぱしょっぱいデータの亜人ヤクザ相手に、鍛え上げたマンチスペックを叩きつける瞬間が一番絶頂だぜー!!(TRPG野郎の感覚)
コソコソ影に隠れて賢くやるなんざぁ、常時真顔のマジレス魔王のやることじゃねぇ!
犯罪業界の正門を堂々蹴破り、薄暗い場所へと殴り込みをかけた魔王様の未来が一体どこへ転がっていくのか。
次回も大変楽しみです!!
こうして書かれてみると、やっぱ圧倒的パワーによるシンプルな暴力を待ち望んでいた自分を思い知らされ、ゴミカス世界観と相性がいいゴミカス人間としての根っこを、再確認して気持ちが良い。
待ちわびていた展開を、スルスル気持ちよく飲み干せる準備を、手際よく丁寧にやってくれればこそのブチ上がりだよなぁ…。
ありがたいアニメだよ本当に。