イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

今推したい! コバヤシおすすめのオリジナルアニメ15選

 

 

 

 

・はじめに

 この記事はコバヤシの好きなオリジナルアニメを、簡単なあらすじや個人的な見どころを添えて紹介させていただく記事です。
 15作品を紹介させていただいておりますが、選ぶ基準は

・05年以降にTV放送されたアニメである(一部原案・原作が他メディアにあるものも含む)
・コバヤシがとても好きなアニメである
・なのに「俺はこんなにこのアニメ好きなのに、世の中はあんまこのアニメの話してないんで、俺が喋っておかないと……」と感じている

 あたりとなります。(つまり選出基準はモロに主観です)
 候補だけで40以上あったのを削ってもいるので、「コレねーのかよッ!」と思った作品は泣く泣く選べなかったと思ってください。

 

 皆さんが新たな作品と出会ったり、懐かしかったり好きだったりする作品と出会い直したるきっかけになったら嬉しいなと思っております。
 (僕のブログに感想記事がある場合、カテゴリーへのリンクを付記させて頂きます)

 

 

 

 

 

 

シムーン(06年/西村純二監督/スタジオディーン制作、全26話)

 

simoun.tv

 シムーンの前にシムーンなし、シムーンの後にシムーンなし……極めて独特な味わいを持った、ジェンダーSFであり崖っぷち戦争日記であり命懸けのジュブナイルであり、最上級の少女小説でもある作品。
 全ての人女性として生まれ落ち、成人とともに性別を選ぶ”大空陸”に巻き起こる戦乱を背景に、神に使える巫女でありながら護国の戦士でもある若き少女たちが、運命共同体として個性をぶつけ合い、戦場のリアルに己の生き方を探っていく物語である。
 独特の用語がバンッバン飛び交い、初手からスロットル全開のSF戦争群像劇が観客置いてけぼりの勢いで突っ走るが、根本的には己が何者であるかを知らないからこそ戦場に咲き散る青春に、自分たちの未来を探す若人たちの物語であると念頭に置くと、クセの強いスピード感に置いていかれなくて良いと思う。
 出崎直系の演出が独特のグルーヴ感を生み出しており、全てにおいてかなり好みは別れる物語であるが、奇っ怪な表層の奥にある力強い命と魂のうねり、残酷な現実の中で美しい輝きを追い求める少女たちの群像に、身を預けて飛び込んでみると、独特唯一の視聴感覚を味わえるだろう。

 

 

 

 

ミチコとハッチン(08年/山本沙代監督/マングローブ制作、全22話)

 最悪の育成環境で地べたばかり睨んでいた少女の前に、母親を名乗る超破天荒女がビッグスクーターで飛び込んできたところから始まる、ブラジルを股にかけるロードムービー
 クソどうしようもねぇアバズレが、背負うべきじゃないけど背負っちまったガキ一匹の人生を時に投げ捨て時に拾い上げ、ドッタンバッタン毎回味わいの変わる旅路の中で、一番大事なものを見つけていくまでの歩みには、泥臭い人生の味がコク宿っている。
 ギャングや犯罪、貧民窟や人身売買などなど、生っぽく治安の悪いキーワードがバンバン飛び交う荒れた話であるが、そういう最悪の只中に身を置けばこそ嘘なく積み上げられていく、激ヤバ女と鬱屈少女の関係性、旅の中で試され変化していく人間性が、ヒリツイて尊い感触を手渡してくれる作品である。
 恵まれた日本から見りゃどっか遠いおとぎ話にもなりかねない、異国の荒んだ空気を弄ぶでも嘲笑うでもなく、同じ人間が生きる場所としてそこに宿る生も死も、美しさもどうしょうもなさも、ごった煮にしてグツグツ煮込む手つきに、独自の美麗が宿る。
 作中キャラクターのファッションがキメキメだったり、いわゆる”声優”とは外れた演者チョイスが作品のテイストと噛み合っていたり、アニメというより海外ドラマ的な味わいが強めなのも特色。

 

 

 

 

 

少年ハリウッド -HOLLY STAGE FOR 49&50-(14&15年、黒柳トシマサ監督、   ZEXCS制作、全26話)

king-cr.jp

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 かつて一世を風靡した男性ユニット”少年ハリウッド”の名を引き継ぎ、アイドル活動に邁進する少年たち……そしてかつて少年だった男たちの群像を、鮮やかに描き出したアイドルアニメの傑作。
 原作者・橋口いくよが全話脚本を担当し、アイドルという職業の存在意義やその難しさ、込められた祈りや生み出される呪いまで深く踏み込んだ哲学性が、軽妙でチャーミングな少年たちの青春にしっかり乗っかって、あくまで愉快で真摯な物語として味わえる。
 やや濃い口なキャラデザに二の足を踏むと思うが、あらゆるシーンに少ハリ味が染み込んだコクのある作品を最大限活かすためには、この”絵”でなければいけなかったと見ていく内に感じるだろう。
 一話丸々劇中劇に使ったり、飛び道具的な表現も飛び出すが、部活感覚で始めた”アイドル”の意味を仲間になってしまった他人と共に探り、既に青春を駆け抜けた大人との語らいを通じ自分たちだけの答えを見つけていく物語には、「歌って踊ってファンに笑顔」では終わらない問いかけと答えが、地層のように折り重なっている。
 作品と対話しながら、そんな分厚い物語を一緒に掘り下げていく楽しさがあるアイドルアニメである。

 

 

 

 

 

コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜(15年&16年、水島精二監督、ボンズ制作、全24話)

concreterevolutio.com

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 フィクションの中にしか存在しないはずのヒーローが、”超人”として社会に認められたもう一つの昭和-神化-を舞台に展開する、一大仮想伝奇ロマン。
 原作者でありシリーズ構成でもある會川昇がもつ、伝奇への情熱を熾火のように激しく燃やし、現実の昭和史と仮想のヒーロー秘史が錯綜し、矛盾し、渾然一体となって独自の物語を作り上げていく手触りは、まさに唯一無二。
 時系列も物語のジャンルも縦横無尽に飛び越え、見ているものを置き去りにする飛躍を見せる物語の加速度は、国家がヒーローを管理する矛盾の中、それでも”超人”として生きようとする者たちの生きた鼓動がエンジンとなって生み出されている。
 特撮から実在人物まで、なんでもありで元ネタをカットアップし、独自の骨太な解釈と多彩なクリエーターの手を通して生み出されるもう一つの昭和史は、万華鏡のような目眩と興奮を生み出してくれる。
 アンチ・ヒロイズムを徹底して掘り下げればこそ、この作品だけのヒロイズムへ見事たどり着けた作品でもあり、”超人”であるとはどういうことか、多彩な登場人物を活かして立体的に描かれているのも、見どころの一つ。

 

 

 

 

 

91Days(16年、鏑木ひろ監督、朱夏制作、全12話)

sh-anime.shochiku.co.jp

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 犯罪集団に家族を殺された天使の名を持つ青年が駆け抜けた、復讐と因果に塗れた91日間を描く禁酒法時代のノワール・サスペンス。
 どう考えてもロクな結末にたどり着かなさそうな初期状態から、血と欲と因縁に絡め取られてどんどん抜け出せない泥沼へと物語が沈み込み、そんな地獄の中に確かにある微かな輝きに手を伸ばしては、儚く砕かれ美しく瞬く様子を描く、ハードボイルドど真ん中の渋い仕上がりである。
 こういう作品が持つ”渋さ”自身に自家中毒しておらず、どっかポップで明るい雰囲気を常にまとったまま、それを振りちぎって作品が進むべき深部へとどんどん突き進んでいく足取りが、独自の魅力を生み出している。
 心を凍らせた人非人然とした連中が、それでも何処かに宿している人間味が上手く描かれ、そこに共鳴しかすかな希望や救いを求めても、因果は彼らを逃さない。
 その苛烈で冷酷に見える筆致が、それでも生きて殺してなお生きようとした愚か者達の生き様を、嘘なく描き切ろうと誠実に向き合った結果だと……この物語だけの軌跡なのだと思える力が、しっかり最後まであるアニメだ。
 結末に漂う寂寥と悲哀を、ここに行き着くしかなかったと苦く甘く飲み干せるのは、12話の物語に付き合った者だけなのだ。

 

 

 

 

 

フリップフラッパーズ(16年、押山清高監督、Studio 3Hz制作、全13話)

 

flipflappers.comlastbreath.hatenablog.com

 ”ルックバック”でようやく世間に見つかった鬼才・押山監督のセンスとイマジネーションが暴れ倒す、女女ファンタジーアクション冒険譚。
 奔放極まる想像力をそのまま冒険の舞台とした、”ピュアイリュージョン”なる怪奇で魅力的な世界を、元気いっぱいな謎の少女と邂逅っちまった根暗女が一緒に駆け抜け、運命とか友情とか成長とか夢とか絶望とか、生きていく上で大事なもの全部を夢と現実の狭間に見出し掴み取っていく、大変パワフルな物語である。
 様々な色合いの夢や妄想に直接飛び込み、その精髄とダイレクトに取っ組み合うハチャメチャな物語を、ハチャメチャにスゴイ作画と演出で全部形にしてしまった、前代未聞の超幻想譚といえる。
 ぶっちゃけすごい勢いでワケのわかんねぇ何かがぶっ飛んでくる、大変視聴者に優しくない作品であるのだが、アニメーションだからこそ表現できる想像力の奔流を全身で浴び、ピュアイリュージョンに飲まれる/飲み干す事を恐れず作品に飛び込むと、普通じゃ味わえない感覚に全身が痺れていく。
 後半怒涛の勢いで主人公を巡るアレソレが明かされていくわけだが、そのデカすぎる運命を共に駆け抜けた冒険の記憶が、そこで生まれた絆と思いが飛び立たせていく快楽は、ワケ解んないからこそ気持ちが良い、冒険ファンタジーの醍醐味そのものである。

 

 

 

 

 

URAHARA(17年、久保亜美香監督、    白組&EMTスクエアード制作、全12話)

(現在公式ページアクセス不可能)

lastbreath.hatenablog.com

 アメリカの配信サービス”クランチロール”掲載の小説を原作とし、アートアニメで活躍する監督が舵取りをした、普通じゃない座組の普通じゃないアニメ。
 原宿で春休み限定の小さなお店”PARK”を経営してた女の子三人が、謎の宇宙人に襲撃され変容した世界を生き抜いていく異界サバイバル物語であり、”食べる”という行為の恐ろしさと魅力を掘り下げたフードサスペンスであり、何かを創造することの尊さと怖さに迫るクリエイティビティ・ジュブナイルでもある。
 何しろ一般的な”深夜アニメ”とはなんもかんも違った語り口、舞台設定、キャラ造形がブン回る、極めてとっつきにくいトンチキなお話……なのだが、一見ポップでオシャレなだけに見える主役たちが抱えた闇の深さと生臭さ、エイリアンによって異界化した原宿を舞台にすればこそそれを深く切開する筆に鋭さが、物語に独自の重力を与えている。
 限りなくぶっ飛んだ物語なのだが、人間が生きたり食べたり何かを作ったりする、メチャクチャプリミティブで地道な営みを作品の真ん中に据えた真面目な作品でもあり、この独自で奇妙でチャーミングな両立が、クセになる魅力を放つ快作/怪作である。

 

 

 

 

 

メガロボクスNOMAD メガロボクス2(18年&21年、森山洋監督、TMS&3xCube/トムス・エンタテインメント制作、全13話/全13話)

megalobox.com

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 誰もが知るボクシング漫画の金字塔”あしたのジョー”連載50周年を記念して作られ、その魂を深く継承しつつとんでもねー独自の境地までぶっ飛んでいった、リメイクというにはあまりにヤリスギ感漂うSF拳闘青春群像劇。
 サイバーパンクテイストに描き直された、拳に未来を賭けるしかない貧民共の人生勝負のヒリつきが、一体何処に決着していくのか。
 50年の時を経て、”あしたのジョー”に描かれ燃え尽きたものを新たに問い直し、ともすれば原作否定ともとられかねないないほどの超越を、一作目で果たした……と思ったら、全部どん底にひっくり返して改めて問いただし直した二作目で、更にぶっ飛ぶという、強烈な二段式ロケットである。
 強化骨格”ギア”に身を包み、危険な戦いにどん底からの脱出を賭けた者たちがたどり着いた未来を、あえてマイナスに叩き込んで問いただしたこの作品だけの答えは、負け犬たちの汗と涙の濁流が運命へと流れ着く、ペーソスと情感に満ちている。
 ボロボロになりながら栄光へと近づいていくジョーの足取りを、拳のいななきが荒く熱く聞こえる作画が支えているのも素晴らしいが、そうしたフィジカルな手触りが掘り出してくる、戦士たちのゴロリと無骨な魂のせめぎ合いが、セクシーで良い。
 近未来を舞台としたSFに変奏したからこそ、汗と泥の匂いが魅力的に薫る独自の世界観を堪能できるのも、リメイクに収まっていない魅力の一つ。

 

 

 

 

 

・ID:INVADED(20年、あおきえい監督、NAZ制作、全13話)

(現在公式ページにアクセス不可能)

lastbreath.hatenablog.com

 みんな大好き(インターネット半径5m調べ)マインドダイヴモノに、三島由紀夫小作家・舞城王太郎の野放図で真摯な暴力性が過剰投入され、あおきえいのヴィジュアルセンスが異次元までかっ飛ばした、異能警察ヴァイオレンス超大作。
 事件現場に残る凶悪犯の残滓を追い、その凶暴なイマジネーションに命懸けで飛び込む血みどろのファンタジーと、現実世界を乾いた質感で疾走するどうしようもなさとやるせなさが不思議な混交をなして、異様な芳香が立ち上る傑作。
 現実と夢、妄想と理性の境目がグニャングニャンに入り混じり、自分の足場が常に揺れ動いているような不思議な感覚を、圧倒的なイマジネーションで可視化されるアニメとしての面白さが、しっかり支えている。
 ワケのわからねぇ状況に圧倒されつつ、次第に暴かれていく謎や真実をつなぎ合わせていくと、イカれた妄想に漂っているだけに思えた作品のすべてが、切実で赤い魂の血を流していくことに気づいていく。
 この極めて舞城王太郎的な視聴感覚を、アニメというメディアで見事に走りきった力強さが、救いも正気もなく思えた悪夢の絶望郷に微かに、人間という存在が何を足場に背筋を伸ばしているのか、その答えを示してくれる。
 人があってはいけない死に方をありえないくらいしまくる最悪の作品なのに、腹の奥底から湧き上がってくる妙な熱と、駆け抜けた後の爽やかな風を感じることが出来る、心地よい酩酊感とイカれた正気が共存する快作である。

 

 

 

 

 

ワンダーエッグ・プライオリティ(21年、若林信監督、CloverWorks制作、全13話)

wonder-egg-priority.com

lastbreath.hatenablog.com

 最初に言っておくと、ここでレビューしている15作品で一番、推すかどうか悩んだ作品である。
 奇妙で残酷な想像力の世界に引き寄せられ、人知れず運命を賭けた戦いに身を投じることになった四人の少女の冒険譚……というまとめ方をするには、描かれているものはエグすぎるし世界の切り取り方は美しすぎるし、ファンタジーが持つ暴力性を美麗かつ華麗にえぐり出してくる、パワーのある青春物語である。
 共に歩けるはずだった誰かを喪い、それ故命を懸けるほど強い願いを力に変えて戦う少女たちと、それを取り巻く残酷な現実……あるいはそれ以上に醜悪で凶悪な夢。
 その全てを怪物的な美しさで切り取ってくる作風は、美しいからこそおぞましく、目を背けたくなるからこそ引き寄せられる、心地よい矛盾に満ちている。
 そんな作品が持つ混沌を、心地よく物分かりよく決着させない着地点には当然賛否あって、自分の中でもこのアニメがどういう立ち位置にあるべきなのか、解んないままずっとワンエグの事を考えている。
 そういう突き刺さり方をしてくれるアニメってのもあんま悪くないなと思える程度には年を取ってしまい、過酷な妄念と地獄の闘争を繰り広げ、その中でかけがえない友情を手に入れ投げ捨てていく少女たちの群像は、だからこそ響くのかもしれない。
 後に勇名を馳せるCloverworksのイマジネーションとクオリティが、やりたい放題花開く揺籃としても面白い。

 

 

 

 

 

・ゲキドル(21年、上田繁監督、フッズエンタテインメント、全12話)

gekidol.com

lastbreath.hatenablog.com 圧倒的に唯一無二、暴走するオリジナリティに殴り続けられ、視聴者が作品との解釈読解喧嘩祭りを余儀なくされる奇作。
 世界改変を巡る壮大なスケールのSFと、小劇場で生臭く展開する女女青春ぶつかり稽古が並走し、同居し、錯綜し、混ざり合い……「やっぱあんま関係ないんじゃねぇかな!?」と「えここで混ざり合うの!?」がすごい勢いで脳髄を押し流していく、異様な迫力を持ったバケモノアニメである。
 どいつもこいつもアタマのネジが二三本ぶっ飛んだイカれ女たちが、ビンタ上等本音も本音、むき出しの思いを嘘っぱちの舞台に乗っけてつなぎ合わせていく青春群像劇力と、薄暗い過去に太く紐付いた世界改変の謎が、繋がることなくゴロンと投げ捨てられている序盤の置いてけぼり感は、あまりにワイルドでかなりの数の視聴者を置いてけぼりにしていただろう。
 しかしそのぐらいのスピードで突っ走らなきゃ突破できない”何か”が、間違いなくこのイカれた作品にはあり、その行き着く先まで確かに連れて行ってくれた……ような気がするけどやっぱ置いていかれた! と、最終話爽やかな笑顔で大笑いできる物語である。
 一体何が起こっているのか、頭では全然理解できないが既に作品と暴力的共鳴を始めている感性が理解してしまっている、極めて奇っ怪なドライブ感にヘトヘトになりながら、作品を強引に咀嚼し消化し、それでも飲み込みきれない異物感に心躍る体験をしたいオタク数奇者に、大変おすすめなアニメである。

 

 

 

 

・バクテン!!(21年&22年、黒柳トシマサ監督、ZEXCS制作、全12話+劇場版)

bakuten-pr.com

lastbreath.hatenablog.com

 宮城県を舞台に、男子新体操に魂を燃やす青年たちを爽やかに熱く切り取った、青春スポ根物語……に、震災から10年の節目に未だ逞しく飛び立つ命の躍動を爽やかに描ききる、復興支援作でもある。
 震災と復興の書き方はあくまでサラッとしていて押し付けがましくなく、しかし極めて真摯にその影の重たさ、そこからなお顔を上げて生きようとする人々の表情を切り取っていて、とてもバランスが良い。
 メインテーマである男子新体操も、その競技、そこに躍動する若き身体自身が持っているパワーと美しさをしっかりと作画し、独自の魅力を持っている。
 のだけども、そこで弾む青年たちの躍動……一つ一つの動きが繋がってより大きな美しさを作っていく、団体表現競技としての魅力それ自体が、瓦礫の中から人間の力強い飛翔を描こうとする作品の味わいを、しっかり支えてもいる。
 チャーミングな男子高校生たちが、チームとしてそれぞれの個性や問題をぶつけ合い、支え合う様子も楽しく、自然アオ高を応援したくなる気持ちになる快作である。
 TVシリーズ単体でもクオリティ高くまとまっているが、そこを飛び出しより広く、より高い場所へ飛び立たんと挑んだ劇場版の仕上がりが素晴らしい。
 そこまでしっかり見届けて欲しくなる、贅沢で気持ちの良い作品である。

 

 

 

 

 

・Sonny Boy(21年、夏目真悟監督、MADHOUSE制作、全12話)

sh-anime.shochiku.co.jp

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 長い夏休みのさなか、異次元へと漂流してしまった中学3年生たちの冒険を描くSFファンタジー群像劇……というには、あまりに抽象的で哲学的な領域へとぶっ飛んでいく、夏目真悟の豊かなる奇想。
 現実的にどう露命を繋いでいくかという、サバイバルモノで美味しい問題は早々にどっかにぶっ飛び、悩める思春期の生臭いど真ん中にいる少年たちが、時間からも空間からも引きちぎられたこの異界でどう生き、どう死に、どう己の存在を定義していくかというイデアルな課題を、極めてフィジカルな作画力でもって徹底的に問いただしていく、思想の奔流のようなアニメである。
 アニメでしか浸れない想像力の奔流に、全身を浸すリッチな体験をゲップが出来るほど飲み干すことが出来て、脳髄の奥まで痺れる酩酊感があるのが良い。
 問いただされているものは本質的かつ抽象的なのだが、奇っ怪な異世界をワケのわからぬまま漂流する中で、世界と他人と自分にとって大事なものをちょっとずつ見つけていく旅路には、独特かつ具体的なユーモアと可愛げと体温が確かに宿っていく。
 奇妙で愉快で残酷な旅の果てに子ども達が見つけたのが、死への弔慰と出会えた奇跡への感謝、灰色の世界を導くコンパスとなる微かな輝きであったのだと、確かな手応えで描ききってくれる作風はとても特別で、理解不能なまんま心地が良い。
 ぶっちゃけワケがわからない作品なのだが、その理解不能さをそのまんま隣に置いておきたくなる愛しさが、12話かけて作品と主人公たちがたどり着けた結末とぴったり重なっている手応えが、テーマと問いかけを回収しきっていて素晴らしいなと思う。
 あと音楽がブッチギリに良すぎて、音に浸る体験としても最高。

 

 

 

 

 

・Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあせるふ-(22年、米田和弘監督、PINE JAM制作、全12話)

diy-anime.com

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 オッサンが好きなものを女子高生にさせる作劇も一般化して久しいが、この作品が取り扱うのはDIY……日曜大工である。
 のだが、やや近未来の三条市を舞台にしたことで、自分たちの手で何かを作っていく意味を改めて問いただし、賑やかで楽しい青春を彩るかけがえない光として、DIYを輝かせることに成功している、ノスタルジーの麻薬に溺れていない作品である。
 ゆったり明るく朗らかな日常を可愛い女の子たちが突き進んでいく心地よさを大事に、見ていて楽しいエンタテインメントとしての奮戦をしっかりやりつつ、どんな個性でも楽しく活かせる未来のありうるべき可能性を、せるふ等身大の青春に混ぜ合わせて届ける野心が、静かに熱く燃えるSF意欲作でもある。
 どんな時代でも大事で難しい青春の情景が、目立たないけどしっかり作り込まれた”ものづくり特区”三条市のローカルで未来的な風景としっかり噛み合うことで、”日常系”のラベルに埋もれない不思議で素敵な光景が形になっているのが、見ていて楽しい。
 全体的に手で作り人が繋がる質感を大事にしつつも、もはやそれだけが価値の全てではない未来性(つまりは現代性)をしっかり見据えた上で、器用に生きることに困難を抱えた主人公・せるふが自分だけの青春や関係や仲間を、文字通り手作りしていく過程が丁寧に描かれていく。
 ともすれば正しさに飲み込まれ塗りつぶされてしまいそうなせるふの個性を、出来ないところもひっくるめてDIY部の仲間に助けられ活かしていく歩みが、気づけば繋がり方が難しくなってしまった幼馴染との関係再構築と重ねて描かれるときの筆致は、誠実で優しいものだ。

 

 

 

 

 

 

・ネガポジアングラー(24年、上村泰監督、NUT制作、全12話)

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 借金と寿命宣告でお先真っ暗、目を閉じて不安と恐怖から逃げて逃げて逃げまくるネガティブ主人公が、天使の如きポジティブチャラ男と”釣り”との出会いによって、記事ん集うコンビニを舞台に人生を上向きに釣り上げていくまでの日々を描く物語。
 ストレス少なく見せ場は多く、快楽原則に素直に作られた作品が評価されがちな令和の世の中には、めったに見ないくらいの他罰系言い訳しまくりダメ人間が主人公なわけだが、そういう人間だからこそ”釣り”という趣味がどんだけ染みて、出会いに目を開き小さな楽しさに救われて、ちょっとずつでも自分を変えていくのかを、奇人たちの愉快な日々と一緒に楽しめる作品である。
 メインテーマとなる”釣り”に、どっしり腰を落としてしっかり書こうとする姿勢が大変良く、”釣り”という行為が持っている仕草や道具の美しさ、釣り糸を垂れてゆっくり過ぎていく時間の味わい、生きて水面越し釣り糸に対話する魚たちの姿を、美味しそうな料理になって命を養ってくれるところまで気合を入れて書いているところも良い。
 人間関係の広がりをあえて抑え、メインを男二人の感情絵巻に絞ったことで、趣味でしかない”釣り”がどう人生を変えていけるのか、テーマに見合ったサイズ感で描き切れた手触りも好きだ。
 幾度も繰り返される朝から昼、夕焼けから夜景、そして夜明けへと移り変わっていく美しい”釣り”の景色が、ネガティブもポジティブも必ずある人生の明け暮れと気づけば重なり、独自の奥行きを生み出していく時空間の作り方にも、品があって良い。
 「今、俺達はこれを作らなきゃいけない」という、”深夜アニメ”見てて一番感じたい作りての地金が、声高に叫ばれるのではなくフィルムの中、そこに生きてる人間たちの息吹と”釣り”そのものにしっかり宿っていて、とても好きな手触りの作品である。