イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

想星のアクエリオン Myth of Emotions:第8話『たまごの中で見る夢』感想ツイートまとめ

 地すべりの如く、運命が歪な崩壊を加速させていく。
 超破滅系鋼鉄救世主ストーリー、かわいいデザインのまんまガンガン地獄の釜の蓋が開く、アクエリオンMOE第8話である。

 

 この温度感でこの大惨事、それなりにアニメ見てきてかなり初の体験なので、すごい違和感と高揚感が同居していて、ワケわかんなくて面白い。
 エレメント達があんま爆勝してない結果、運命の綱引きは神話宇宙の方に傾いて、あらゆる物事がドンドン狂いだしてきている。
 んだが、その狂気を平然と飲み干したまま主役たちは恋に悩み、小田原御幸の浜でゴミ拾いをし、自分の正義に反したから救世主稼業もヤメられる。
 な、何が正気かもう解らねぇ…。

 とはいえ話の開幕からして「はい! バキバキ因果が入り混じりガンガン前世の因縁とオカルトが暴れ狂い、相当にイカれた話をやっていきます!」とは言っていたので、裏切られた感じはあんましない。
 相当人が死んでるだろう小田原市街戦の惨状含め、感情をかき乱して然るべき色んなことが起きているのに、キャラクターは低体温のまんま平然としていて、しかしそれが奇妙な味にもなっている。
 何事にも本気になれず、世界の行く末や自分の生き死にすらもどこか遠くにあって、どこに自分の居場所を定めるべきか、何もわからないまま勝手に状況が転がっている離人感が、鋼鉄の巨人が持つ存在感を無視して作品全部に広がっていく。

 

 神にも悪魔にもなれるはずの絶大な力を得てなお、エレメントたちは自分たちの未来や気持ちを自分では定められない無力に押し流されている感じで、しかし運命や大人に何もかも決められてしまっている押し付けもまたどこか遠くて、不思議で個人的な自由は、キャラたちにしっかり委ねられている。
 世界全てを覆い尽くすほどに広くて、どこまで行ってもたった独り孤独な、凄く不思議な手触りの最終戦争。

 その行く末をたった一つ、個人の感情が決める…と言い切るには、そもそもぶっ壊れてることが選定条件のエレメントたちは、譲れぬ何かにしがみついて思いを剥き出しにはしない。
 一体この方舟、どこへ流れていくのか。
 分かんねー!

 

 

 とはいえサッコ達は普通に結構好きになっているので、あの子たちがこの物語の果てで何を選んでどうなっていくか、ちゃんと見届けたい気持ちはある。
 それぞれのぶっ壊れ加減を合体によって癒やしていって、人間味ある”普通の子ども”になって終わっていっても、ぶっ壊れたまんま世界巻き添えに行く所まで行っても、まぁ彼ららしい、アクエリオンMoEらしい決着かなぁと、思えるようにはなっている。
 そういう作品と視聴者の共犯関係みたいなものを、個人的に形成できているのは幸せなことだと感じるが、世間一般…特に”アクエリオン”が心から好きな人達がどう感じているのかは、サッパリ解んない。

 僕はこの局面で、みすぼらしくイカれたアウトサイダーだったはずのカミサマがかなり巨大な存在感を放ってハナちゃんの隣りにいる所とか、めちゃくちゃ好きなんだが。
 同時に最初ぶっ壊れて嘲笑うべき社会の埒外と描かれていたあの人が、世界の真実をガッチリ受信しちゃった”賢者”になってる転倒をどんだけの割合、視聴者が飲み込めるものなのかは解んない。
  いやまぁ、ストレートな展開で収めるならエレメントの誰かがハナちゃんの隣りにいるモンだろうけど、実際彼女を導き支えているのは、駅前でヤバビラ配ってた電波おじさんだからなぁ…。

 薄汚れた落伍者が、実はいちばん重要な真実にたどり着いているという、

転倒の魅力で引っ張るにしては作品全体の雰囲気も、キャラデザが醸し出すムードも、素直で直感的な噛み合いからはズレ続けていると思うし。
 そしてそういうミスマッチが生み出す火力を、最大限活用して独自の魅力、ストーリーを推進するパワーに適切に変えれているかっていうと、そういうわけでもないしな…。

 

 3つ目の杭が県西に叩き込まれ、神話宇宙に主役たちがまくりこまれる急展開の先に、一体どんな未来が待っているのか。
 そこでエレメントたちは何を感じて、欠けた心を満たしたり、欠けてる自分を開き直ったりするのか。

 全く読めず、その無明が僕には楽しい。
 ホント変なアニメだ…好きだぜ、アクエリオンMoE。
 …今回サンくんとの対話を通じて、”世界が見る夢”つうのが重要タームであることが示されたのを鑑みると、この不鮮明であやふやな空気感は、世界レベルでの微睡みを反射したものってコトなのかなぁ…?

 

 

 

 

 

画像は”想星のアクエリオン Myth of Emotions”第8話より引用

 というわけで今週も電波ゆんゆん
 解ったような解らないような世迷言を、目ん玉ガンギマリのカルト味満載で垂れ流しながら、世界はガンガンに書き換えられ、キャラは”普通”からかけ離れたところへぶっ飛んでいく。

 これが「どんだけ世界が狂っても、ちっぽけな幸せが確かに僕らの日常にはあったんだ!!」みたいな、分かりやすい対比で転がるんならもうちょい飲みやすかっただろう。
 しかし実際の展開は、ぶっ壊れた価値判断軸でアクエリオン降りた女の子を迎えるのは、バキバキ電波受信してるオンボロおじさんであり、

都合よく救世主の戦いを隠蔽してくれていたヴェールは引っ剥がされ、ニコニコ顔の終末カルトは学園の中にも外にも増殖し止まらない。

 

 つーかあのモブ顔おばさん、主人公たちとは別軸の超陰謀論組織の構成員で、しかもサンくん大事で組織裏切ってんのかよ!?
 カミサマもそうだが、物語のキャスティングボードを持ってるキャラがそうとは思えない地味さと狂い方で颯爽登場してくるの、メチャクチャ独自の味わいだ…。

 もっと邪悪な思惑とかあると思ってたのに、ラスボス候補を守る集団がバリバリ受信してるだけで”善良”なんだもんなぁ。
 御幸浜の穏やかな風景が、そこら辺の静かな狂気を巧く可視化してる回だったね。

 

 ハナちゃんが敵を殺せなかったせいで、リアリティフレームは歪み世界消滅までリーチかかっちゃったわけだが、学園サイドは彼女にメチャクチャ甘くて、貴重なはずの救世主候補が野に下るの平然と許してるのも、まー面白い味だった。
 偽ゼーレの言動を見るだに、先生たち(特にムナカタ先生)がそういう人道的対応を許してあげてるっぽいが、なにしろ地球の未来がかかっているわけで、もうちょいシビアになってもよくない!? とは思う。
 しかしその焦りのなさが、この局面で江ノ島-小田原のんびり旅行を描く筆と重なって、不思議な優しさで終末を見守ってる手応えを生みもする。
 うーむ…変だな!

 今まであんま動きがなかったトシが、急に学内カルトにまくりこまれ、羽抜きの秘跡を誰にも相談しないまま敢行してるスピード感も、それで生まれるエレメントの共鳴にカミサマが巻き込まれているのも、全く持って不思議な味わいで良かった。
 オメー何がどうなって、そういう儀式に参加するつもりになったんだ…今後説明があるのかどうかも分かんねぇところが、アクエリオンMoEだなぁと思います。
 行動原理は全然腑に落ちないし、内心何感じてるのかもサッパリ推測できないけど、なんとなく「ああ、それがしたかったんだね…」と見守れてしまうこの感覚、やっぱ独特だ。
 好きは好きなんだ、エレメント達のこと…。

 

 どんだけ付き合っても、何言ってるのかサッパリ分かんねぇサンくん
の過去も開示されていたけど、具体的に何がどうなって何をしたいかは、やっぱりよく分かんなかった。
 組織のプロトコルで母を知らず産み落とされた彼が、生きてる実感がないまま目覚めの時を待ってる赤子だってのはなんとなく伝わったが、そうして世界の卵が割れるってことは、終末陣取り合戦に負けて、神話宇宙側にリライトされる…つう事なんだろうか?
 今更ながらアクエリオンを動かしてるマナ理論も、フワッとした印象しか与えられずどういう理論で駆動してんのか見えないし、何が特別で何が普通なのか、判断基準それ自体が揺らいでいく。

 しかしこの、舞台それ自体を無化するような酩酊感はイングランドのナンセンス文学とか、中南米マジックリアリズムみたいで、個人的な嗜好とはかなり肌が合うんだよな…。
 陰謀論とオカルトと物理学をごちゃ混ぜにして、それっぽいことを延々垂れ流しにしてる、末世ロボアニメ雰囲気とはまた違った味がしてるのが、このワケ分かんねーアニメを不思議な歯ごたえのまんま、実は結構楽しみにしている理由なのかもしれない。
 まぁ作品全部使って問いただすべきテーマとしては、相当周回遅れな感じもあるけど、何周遅れだろうがオレはこういう空気と、こういう問題意識と、こういう語り口が好きなのッ!

 

そういう個人的嗜好は一旦横において、どんどん日常が破壊され死人が増え、世界が終わりそうな現状と、反比例するようにエレメントたちはぼんやり絆を深め、お互いの願いがだんだん鮮明になっていってる状況は、どう響き合うのか。
 今時間を使って描写しているものが、作品が描くべき結末にどう生きてくるのか。
 そこら辺も正直ぜーんぜん解んないのが、なかなか困ったものである。

 客観的かつ残酷なことを言えば『下手』なんだが、それで切り捨てたくない愛嬌と魅力が確かにあるのも、自分の中では本当なんだよなぁ…。
 もうちょい象徴にメッセージ分かりやすく乗せて、語らず読ませる意味合いを深くしていってくれりゃ、歯ごたえもあんだが…。

 ともあれサッコのサンくんLOVEはいい感じに発熱してるし、彼個人の哀しみを見ようと歩み寄ってるのは、見てて嬉しい。
 この個人的な絆の構築が、どんっどんイカレのスケールを巨大化させていく物語とどう噛み合い、どういう変化をもたらすかは、今後の展開を見なければ判らんだろう。

 

 神話宇宙に飛び込んだことで開示されるだろう新情報とか、それで動くだろう感情や関係とか、確かに色んなことが起きてるんだが、それがどういう形を為すのか…もはやサッパリ分かんねぇ!
 「でもこの当惑と混迷、思いの外嫌いじゃないな…」と想いつつ、来週を楽しく待つ。
 この掴みどころのない不親切…オレにとっちゃぁ故郷の味だぜ!