イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

燃えよ剣

司馬遼太郎新潮文庫。というわけで再読した。どうにも見過ごされがちなのだが、司馬の凄みは剣戟にあるような気がしてならない。血のにおいが立つような、闇夜に光る白刃の描写は、脂が乗り切ってまさに魔剣の様相を呈している。再読してまず目に付き、胸が躍ったのはそれである。
そして、人物の彫の深さ。上の取りにおいてはやはり池波・藤沢に一歩譲るが、理に優れる筆は人物を細やかに浮き彫りにし、ずんずんと迫ってくる。素晴らしい小説だ。やはり新撰組小説数あれど、これは名物逸品だとおもう。
しかし、やはり気を抜いて読む読書は時代物か、古臭いディテクティブ・ノヴェルが好きだ。作者を選べば、外れが少ないのは、僕の好みの問題だろうか。ともあれ、時代小説はやはり好きだな、と実感させられた読書だった。