イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

なぜみんなスターバックスに行きたがるのか

スコット・ベドベリ、講談社。原題は「a new brand world」であり、この邦題の付け方は本当にひどいと思ったことはさておくとして。ナイキを「Just do it」キャンペーンで世界三位から一位に引っ張り挙げ、スターバックスを日本に進出させた凄腕のビジネスマンが、その慧眼を持ってブランドを分析するビジネス書。
大げさなところも、嘘をついているところも、ごまかしも無く、明晰な文で明晰な論旨が書かれている。ここがまずこの本の肝だ。実績と、正しい選択がん、分析能力を持って、豊富なビジネスケースを取り上げ、論理的な構成を有した本。そう、この本は詠みやすく、読んでいて楽しいのである。ちょとマイクロソフトを目の敵にしすぎだが。
流石に最前線で戦ってきた(そして今はフリーのブランド・コンサルタント会社のCEOとして戦っている)人物だけあって、飛び出してくる実例には実績が伴い、理論は実際の現場で取り出してきた瑞々しさがある。読みやすく、かつぐいぐいと読まされるパワーのある本である。
と同時に、僕はこれを戦略書として借りてきた部分がある。スターバックスナイキも、パワーだ。飲み込む力だ。そのことの前提自体に、僕は疑念を抱いているので、自動的にこれは敵の最高の戦術書のひとつ、ということになった。このような、洗練され、賢く、論理的で、整合していて、わかりやすく、明瞭な方法論を持って、企業は全てを塗りつぶしにかかる。
とまぁ、そんな僕個人の信条とはまったく関係なく、ビジネス書にありがちな胡乱さ、精神論、論旨の不明瞭、実例の少なさなどの弱点を一切廃し、読みやすさと明瞭な論旨で読ませる筆はかなり良い。良著。