イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

フッガー家の時代

諸田實、有斐閣。16世紀にアウグスブルグを拠点に活躍した大商人、フッガー家に関する本。ルネサンスの時代であり、今日貢献しつらくの時代であり、宗教改革宗教戦争の時代であり、大航海時代であった16世紀。そのすべての深く絡んだフッガー家の功績を、的確かつ多角的に分析・解析している。
とにかく数字を掘り返し続けている本である。承認として貸し付けた金がどのように政治や戦争、宗教に影響を及ぼし、それを以下に回収した(もしくは、でき)なかったのか。この本の背骨はそれであり。、フッガー家の歴史が徹頭徹尾承認としての歴史である異常、その背骨は堅牢な背骨となって、この本を支えている。
16世紀の世相全般に関するワイドな視野を保ちつつも、データを重視し、徹底した資料の読み込みと分析を持って深く切れ込んでくる姿勢は、非常に頼もしい。明晰で、近代初期において金融業務の根本がいかに作成されたか、という現象を考察するとても良い材料であろう。良著。