イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 14/09/24

・ キャプテンアース
ミドルでグダグダしすぎてアドベントで終わらせざるを得なかったシナリオクラフトって、だいたいこんな感じになるよね。

 

・ さばげぶっ!
ゲスが大暴れするサバゲギャグアニメも、気付けば最終回。
毎度毎度バカなお笑いを繰り返してくれて、スカッと笑える良いアニメでした。
Aパートは西部警察ネタやりたいだけだったとも言えるが。
セカンドウェポンがちゃんとローマンだったり、相変わらず細かいパロディに抜かりがないアニメだった。
あとクルマ系のネタな。

自分はうらもか派なので、あのオチは全然OK。
つーか、部室と風呂とでリボン違うんで、そういうプレイだと思います。
ホンマ肉欲まみれのゲスとクソレズやで……お似合いやな。

ただただバカバカしいお笑いを提供するのは結構難しくて、キャラを濃く描写したり、緩急をつけたり、メタな視点を挿入したり、確実にウケの取れる大ネタを確保したり、やるべきことはたくさんあるわけです。
そういう面倒なことをしっかりやりつつ、水面下の足掻きを見せずワハハーっと笑えるアニメに仕上げてくれたのは、ほんまありがたいなァと思いました。
さばげぶっ! 良いアニメでした。

 

・ 月刊少女野崎くん
毎週毎週楽しく笑えて、さわやかな気分になれた漫画家ラブコメも最終回。
ラストということできっちりラブ成分多めに仕上げ、叙情性の塊を時速220キロで叩きつけてきました。
ブコメあるあるな難聴展開を、野崎くんではなく視聴者に仕掛けてくるとは……やりおるわ。
は~キュンキュンした、素晴らしかった。

動画工房という制作スタジオはとにかく過不足なくきっちり作る制作集団で、ジャンルでやるべきことを見据え、しっかりと絵に仕上げる印象が強いです。
今作もラブとコメディ両面をしっかり仕上げ、笑えるのに甘酸っぱい面白い味付けにしてくれました。
両方怠けない欲張りな作りを、足腰の強い演出で実現しているのは流石の一言。
「すれ違い」という要素をギャグでも恋愛でも的確に使っていたのは、統一性があって良かったです。

キャラクターたちの粒も立っていて、誰が画面に写っても、誰と誰が話していても退屈にならないのは、短いラッシュを繋いで画面を作る構造上大きな強みだったと思います。
みんな良いキャラだけど、特に好きなのはやっぱ千代ちゃんかなぁ……素直で可愛い。
主人公に魅力があると世界全体が華やいで見えるし、その光りに照らされて他のキャラも輝いてくるというね。
いいシナジーが初期配置の段階で約束されていて、それを裏切らずに形にした印象です。

ショートでハイテンションなギャグで笑いを取りつつ、しっとりと語るべきシーンでは長めに回す対比も良かったし、感傷的なシーンと風通しの良いシーンのバランスも理想的でした。
やっぱこう云う所に徹底的に気を配ればこそ、スカッと楽しめるコメディになるんだなぁと、見ながら思ってた。
こういうことを思わせないために丁寧に作ってんだよ! と、スタッフサイドから怒られそうな意見だけどさ。

清潔感のあるレイアウトや小気味いタイミングなど、皮膚感覚的な部分にもやっぱ気配りは行き届いていて、とにかく良く出来た、気持ちの良いアニメでした。
こういうアニメがクールに一つあると、とても心穏やかになれるなぁ。
月刊少女野崎くん、素晴らしいアニメでした。

 

・ ハナヤマタ
ハナが抜けてナヤマタ改め、ハナが間に合ってハナヤマタ、無事に花の舞台を完遂。
三ヶ月の間駆け抜けたよさこいに青春を賭けた少女たちの物語、とりあえずのエンドマーク。
いやー、良いアニメだった。

最終話ということで、最後の盛り上がりに向けて徹底的に上げる展開でした。
このアニメを評するときに何回"面倒くさい"って言ったか判りませんが、ミニマムでありながらマキシマムな、心の在りよう次第なんだけどなかなか心の整理の付かない諸問題が毎回毎回降っては湧くアニメでした。
凸凹した道を歩いてきたからこそ、常時上がり続けるクライマックスに仕上げたのは素晴らしい。
今までの話で面倒くさいポイントを全部表面化させ、無事解決してきたゆえの爽やかな読後感でした。

よさこいシーンの出来は本当に素晴らしいんだけど、それは切っ掛けであって目的ではなく、此処に辿り着くまでに積み上げてきた、見つけてきたモノがプレシャスなんだ! という説得力。
それはそれとして、よさこいという表現それ自体が、過程を積み上げてきた一つの到達点なんだ!! という説得力。
両方を持っていた、圧倒的にグッドナイスなクライマックスだったと思います。


Aパートのハナ不在パートの演出が、どう考えてもハナが死んでいるテンションなのがハナヤマタらしい。
中坊だとまぁ永遠の離別みたいなノリになるよね……「ハナえもん……君が居なくなって、ハナヤマタがガランとしちゃったよ……」で「私達だけでよさこいを踊らないと……ハナえもんが安心してアメリカに帰れないんだ!!」だよね。
「視聴者のオッサンから冷静に見るとどーとでもなる問題が、作中人物にとっては世界を左右する大問題」というスケール錯誤もこのアニメの特長だと思っており、そこら辺がよく出たトーンでしたね。

しっとりとした空気漂う中、今までの足跡を丁寧に振り返りつつ、最後まで努力を続ける少女たち。
ココらへんの補強に時間を使えるのも、面倒くさい問題を丁寧に掘り出し解決してきた構成の副産物か。
よく出来てるなぁ。

そして、こちらの望み通り完璧なタイミングで訪れる奇跡。
ナルがお話のエンジンになってからは全然描写されなかった、ハナの天狗めいた身体能力も大活躍だ。
ここら辺は一話の要素をリフレインさせることで、ナルの成長をしっかり見せる狙いでしょうね。

個人的には終わり方が好きで、ナルが「このまま時間が止まって欲しい」と願った魔法の時間はまだまだ終わらず、文化祭でもよさこいするぞ!! という継続性のあるエンドマークは、彼女たちの青春の広がりを感じさせてイイなと思いました。
お話の盛り上がり的にはすべてを出し切って燃え尽きるのに十分なんですけど、そこで終わりじゃないよと一言添えるのは、とても優しいなと。
無論、その余韻は頂点を最高にアツく高く仕上げたから感じられるものなわけですけどね。
ダンス作画、美麗なエフェクト、素晴らしかったです。


終わってみると、狭い世界に苦しめられつつ、そこから広がっていく可能性も無限に持っている、青春という名前の魔法の季節を切り取った、ド偉い傑作でした。
毎週毎週どうでもいい事に拘り、なんでもないことに躓き、「このアマ共まじ面倒くさいんですけど!!」とニヤニヤしつつ見ていたわけですが、そういう凸凹した青春ジタバタの描写がとても良かったです。
無論それは、手を差し伸べてくれる仲間が必ず引き上げてくれるという、作中人物の(そして視聴者である僕の)信頼あってのことなのですが。
『下げたら上がる』という信頼を持って、モヤモヤするシーンをじっくり待てるアニメは、本当に稀有なものです。
一番最初に主人公ナルを、徹底的にメソメソウジウジしたダメダメ女として描ききった故に、12話かけた成長と変化がクリアに見えてくるという遠近法の妙も、よく効いていた。

話全体の上げ下げは常に、ビカビカしたり雨が降ったりする直線的な演出に反映され、独特の空気を醸し出していました。
「英雄神話的」「大林宣彦的」とかつての日記で評した、いしづかあつこ監督の作家性あふれる画面作りは、狭っ苦しい世界に逼塞しつつ、常に新しい発見を繰り返す青春の子供たちが見ている世界、僕達がかつて見ていて、今は見ることが出来ず、しかしどうしても見たいと焦がれている世界を、上手く切り取っていたと思います。
単純に美麗で素晴らしかったしね、このアニメの美術。

五人の仲間たちが出会い、傷つき、立ち直り、新しい絆を作っていく過程が、説得力と小気味良いテンポを伴ってしっかり描写されていたのも、見ていて気持ちが良かったです。
中学生女子の可愛らしい掛け合いのシーン、魂の交流を果たすドラマチックなシーン。
両方を怠けることなく魅力的に描いていたのは、五人が「日常の中に埋まっている魔法」を見つけていく作品のテーマとがっちり咬み合っていて、とても魅力的でした。
そもだに、日常と劇的は相反する要素ではなく、お互いがお互いを引き立てる相補的な要素であるべきであり、その理想に良く良く近付いていたアニメということでしょう。
そして魔法を見つけるまでのクッソ面倒くさくクッソレズレズしい、依存スレスレの人間関係……いい、凄く良い。

中学生という時間の持っている魔法を、綺麗にアニメーションに封じ込めた、素晴らしい物語だったと思います。
あの子達の青春はまだまだ続くという気持ちで終われるのは、本当に幸せなことです。
ハナヤマタ、本当に良いアニメでした。

 

 

・ プリパラ
1クール目ラストということで、そふぃ心の旅路終着駅。
主役たちだけではなく、関係者全てに丁寧な目配せを施した豊かな展開と、テーマをしっかり見据えた腰の強いお話運び。
クライマックスに相応しい、素晴らしい回でした。

今回何より良かったのは、ダメダメであるが故に最初の一歩を踏み出すこと"しか"出来ないそふぃの描写を、最後まで貫いたことです。
彼女は周囲の支援と愛情で遂に決断を果たしますが、10話で道に迷ったように、支えなしでは目的地に辿りつけないほどダメな子のままです。
虚弱な体質が急に改善されるわけではないし、ステージ前にはレッドフラッシュを食べなくてはいけない。
そういう部分で嘘をつくのではなく、ダメなそふぃを見捨てず見守り支えてくれる世界の優しさに嘘をつく、そういう姿勢こそプリパラの強いところなのだと、今回思いました。
10話の対比という意味では、会場を出てから11階に辿り着くまでのリフレインもすげー巧かったなぁ。

ダメダメな子でも周囲の支えがあれば鳥かごから出れるし、出すための援助は惜しんではいけないというテーマは、起承転結の結に当たる今回でも、徹底して貫かれていたと思います。
前回のメイキングドラマ失敗Verを踏まえ、籠の外から鍵を手渡し、自分で開けさせる今回のメイキングドラマを見れば、自分たちが何を伝えたいのか、何を伝えるべきなのか、スタッフに迷いがないのが判ります。
そういう骨の部分がしっかりしているからこそ、安心して物語の没入できるわけで。
その上で毎回毎回怒涛のキチガイ演出で笑いをキッチリ取るとか、ホンマ贅沢なアニメやで。


らぁらがパンダ(なんでパンダなんだ……ホントこういうナンセンス・ギャグ巧いネ)に追い出されたのも、自分は好きなシーンです。
みれぃが言っていたように、最初の一歩は他人に引っ張りあげられるのではなく、自分ではじめなければならない。
如何に主人公とはいえ、らぁらが魔法を使ってお姫様を鳥かごから出したのでは、それはらぁらの物語であってそふぃの物語ではないわけです。
そふぃの自立一歩目の物語を、誰がどの程度達成するべきか、良く見据えた出番の取り方だったと思います。

むしろらぁらが魔法をかけたのはみれぃの方であり、今まで冷静な計算と年上らしい落ち着きでらぁらを引っ張ってきたみれぃは今回遂に折れる。
ドロシーという次善の策を用意しておく周到さが裏目に出たのが答えたかなというシーンでしたが、芹沢さんの好演もあって本気でべッきり行ってるあのシーンで、とにかく前に進むらぁらの気持ちの強さは、なんとも頼りになる主人公でした。
みれぃの気持ちに火をつけたのが、みれぃ自身の言葉だという善因善果、それを引っ張ってくる構成の巧さ。
素晴らしいと思います。

一足早く妹を籠から出す決断をしたコスモお姉ちゃん、真実守護天使だったガーディアンたちなど、脇キャラクターの見せ場もグッドナイスでした。
今まで親衛隊が細かく見せていた葛藤を知っているからこそ、「ダメダメソフィもワリと好き」という砕けた表現が、複雑な状況ながらプラスに決断した彼女たちの状況を巧く反映したクリティカルな言語選択。
特にちゃんこちゃんさんは、朴訥な感じが悩んだ末の決断に重みを足していて、良いシーン・良いキャラだなぁとつくづく思います。

NMの二人をまさかの伏線で遺恨なく退場させたり、逆にウェスト姉妹との因縁を残したり、サブ捌きの練達っぷりは本当に凄いですね。
クマも戯けてないてるみれぃに元気を出させようとしたり、細かいシーンで魅力見せるの巧い。
あ、ウサギはよくもまぁあそこまでヘイトを集めれるもんだと思います。


ストーリーの回し方の外にでると、結成式がどう見ても結婚式だとか、乱入がどう見ても『卒業』だとか、チョ・マテヨはカズキ先輩久々に聞いたなぁとか、頭文字取るとPuRyPaLiじゃねとか、クスグリもたっぷり詰まってて良かったです。
カオスでお馬鹿な笑い、骨太なテーマ性、細やかなキャラの扱い、今までの物語資産の有効活用。
プリパラの強い所が全部でた、まさに名エピソードでした。
2クール目も楽しみですね。