イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アニメ感想日記 15/05/11

シドニアの騎士 第九惑星戦役:第5話『願望』
平和の合間に戦争が、戦争の次には平和が、輪舞曲のように繰り返す深宇宙のアドゥレ・サンスも五話目。
前回の激戦で大ダメージを負った二大ヒロインが、凄い勢いでヒロインポイントを荒稼ぎする回でした。
雌雄分化という切り札を持っているイザナ、ちんぽの癖にあざとく可愛いつむぎに比べ、物分りが良すぎて周回遅れになってるユハタがなー……。

今回は人物にクローズアップしたコメディチックな人情話が展開されており、戦争で荒んだ心には有り難い限り。
体を張ってシドニアを守ったつむぎが、シドニアに受け入れられていく様子は、当然といえば当然なんだけどやっぱり嬉しい。
谷風とイザナが大冒険して見せたシドニアの風景も、印象的で良かったなぁ。
こうして守るべき世界を印象づけておいて、まった苛烈な戦争が始まるんだから、よく出来たエンタテインメント過ぎて困る(困らない)。

機械化してロボ属性を手に入れたイザナ君ですが、瀕死の重傷を負いながらつむぎを心配する姿がヒロイン力高すぎてやべぇ。
豊崎さんの演技も艶が乗ってきたので、女の子チェンジを完遂してんのかなぁ。
ラッキースケベ体質を極めた長道が同衾した所で引いたので、来週自ずと分かるだろう。

そんなヒロイン達に想いを寄せられている谷風ですが、世界を見れないつむぎのために表情を曇らせたり、無事だとわかればモリモリ飯を食ったり、感情表現が素直な所が好感の理由かなー、とか思った。
英雄なんだけど、根本的に可愛らしい男なのよね、谷風君。
今回のように穏やかな日々を見せられると、皆で仲良く暮らせればイイなぁと心から思うわけだけど、それが叶わないからこそ物語としての魅力がある、っていうのも事実なわけで。
ううん、悩ましい。

今回描写された日常が、ガウナとの苛烈なる絶滅戦争のための只のスパイスではなく、価値があり守るべきモノとして扱われていることが、この作品の健全な強さ。
見ながらそんなことを思う、気持の良い回でした。
逆噴射かける所とか、つむぎがパイプ移動する所とか、地味に音響も凄かったなぁ。
安定した面白さと、確かなSFマインドを感じるこの作品、とても好きだしおもしれぇぜマジ。

 

・プリパラ:第44話『イゴ、さらばウサ!?』
前回ソラミが復調したので、ライバルユニット・ドレッシングパフェも戦線に復帰させる回。
人格的優等生が集った主人公チームに比べて、『そういや君ら、性格悪かったね』と思い出すような尖った個性(控えめな表現)のぶつかり合いが炸裂するお話でした。
過激な連中を落着させる『強い弱さ』を持ったヒロイン枠が、性別的には男子なレオナな所が、このアニメの面白いところだ。

プリパラはキチりつつも絶対必要なお話の骨格部分は崩れないアニメでして、そこがネタの火力を増している部分でも有ります。
一見短所になってしまいそうな凸凹した個性に価値を認め、自分なりの強さに変えていくという作劇哲学は、どんなにトンチキな展開になっても維持してます。
なので、仲間になってもドロシーはクズだし、シオンさんは狂人で在り続けました。
そこら辺の個性を簡単に消さなかったからこそ、今回の喧嘩は『ああ、そういやそうなるね』という展開に落ち着く。
立場の変化と人格・個性の変化がイコールでないのは、キャラの統一性を維持・強調し、作品の軸をブラさない効果を生んでいます。

それにしたってドロシーのクズアクセルは全開すぎるし、シオンさんも意固地になりすぎ。
おまけにウサギもそふぃを転がしていた時代のクズっぷりを思い出したかのような頼りにならなさで、んじゃあ誰がお話を安定させるかというと、ドレパ唯一の『良い子』であるレオナ。
『控えめな性格』『身体的な弱さ』『心の強さ』というのはヒロインの属性であり、一般的には女性的とされる要素だと思うわけですが、メインキャラ唯一の男性であるレオナがそれらをフル活用して、お話の落とし所を作るってのは、独特の感性。

これでレオナが『男の子の入れ物に入った女の子』なら面白くもなんともないのですが、このアニメにおいてレオナは凄くナイーブに扱われているキャラで、明言はされていないけど描写の内部に、強い意志が感じられるキャラなわけです。
男が持っている(とされる)特質も、女が持っている(とされる)特質も、レオナが状況に応じて使い分けつつ、控えめな自我を崩すこと無く状況を良い方向に持って行っている描写は、今まで丁寧に積んできました。
なので、今回『女の子らしい』動きで健気なヒロインを担当し、ギャンギャンやかましい、言わば『男の子らしい』二人が心を入れ替える切っ掛けを作る流れも、納得がいくわけです。
そういう所を再確認できたのは、なかなか良かった。


レオナ以外のところに目をやると、Mew-Mewの二人が巨大植物の寄生体みたいになってたり、いろはちゃんが相変わらずシオン好き過ぎだったり、ゲストを懇切丁寧に扱うスタイルは継続中。
シオンとのやり取りに『隣り合うのでなく、あくまで向かい合っていたい』という意思を感じるいろはちゃんは、相当に乙女だと思います。
仲直り以外のオプションに触ることで、最終的な選択の重さも出るしね。

毎回やって来た(そしてあんま効果なかった)あろま&みかんの囁き戦術も、悪い子集団であるドレパには有効。
レオナも崩してれば目論見巧く行ってた感じでしたが、ラストで明かされたようにあの子らリアル小学生なので、成功しちゃうと逆に良くない。
今後あるであろうベビーターンのことも考えると、危機感煽りつつも巧く着地したのは、いい終わり方だったように思います。

これで二年目頭から続いた、システム変更にたいする対応編は一段落。
生アロマゲドンが顔を出したことで、今後はあろま&みかんの掘り下げを重視した展開になるのかな?
このアニメのベビーターンは心を残したまま印象を変えてくるので、どう料理するか、期待が高まりますね。

 

・Go! プリンセスプリキュア:第15話『大変身ロマ! アロマの執事試験!』
1クールも過ぎて地盤が安定し、横の話をする余裕が出てきたプリキュア
今回は妖精執事見習いアロマのエピソードであり、プリキュアメンバーより幼いアロマの暴走と成長のお話でした。
はるかがかなーり順調に人間的成長を遂げまくっているので、身勝手さや挫折が全面に出た今回は、ちょっと違ったテイスト。
そういう回し方でも、自分で気付いてリスタートする気持の良い展開に最終的には落としていて、やっぱプリプリの安定感は凄い。

アロマは周辺視野が狭く、自分の気持ち良さだけを追求する子供っぽいキャラ。
みなみさんを筆頭に、モデルの仕事をバッチリこなしているきららも、初期値は低くても素直さと発展性でどんどん成長してくはるかも、プリキュアメンバーは皆大人びています。
それは筋立てへの物分かりの良さにも通じていて、安心はするけど時々わざとらしくも感じる。
自分勝手に大暴れして、それを指摘されると即ギレなアロマは、お話に生っぽさを加える仕事を担当したと言えるのかもしれません。
あとまぁ、あのくらいの子供が国を焼かれ、妹と使命背負って異世界にやってきてる現状を考えると、可愛らしい荒れ方とも言える。

無論アロマが好き勝手絶頂大暴れしてるだけではスカッと来ないわけで、プリンセスとしての包容力を育ててきたはるかの受け止め方や、ロールモデルとなる及川さんの活躍などを巧く利用し、収まるべき所にアロマを誘導していく筋立ては、シンプルかつ見事なものでした。
みなみ&きららの妹要素が強調されてたはるかですが、前回の妹との掛け合いといい、年少者と交流することで人格の成熟を見せるタイミングに来てるんでしょうね。
及川さんのジェントルな雰囲気は、ゴージャスさを巧く出してるプリプリっぽい演出だったなぁ。


ドタバタワチャクチャ、賑やかに庶民してたはるかと対比するように、夜闇の王城で優雅にヴィオロンを弾きこなすトワイ様。
ロック君が露骨なポイント稼ぎに来て、それにシャットさんが嫉妬の炎を燃やす流れは、乙女ゲーっぽくて面白かった。
トワイ様マジチヤホヤされてる……。
とっととポンコツタヌキチになると思っていたトワイ様ですが、孤高にして冷酷な態度を崩さず悪の女幹部続けてて、『いつぐらいから、デレの兆候が見えんのかなー』と気になっております。
印象操作巧いから、そんなに心配はしてないけどね。

今週もカラテ描写が冴え渡っており、強キャラ及川さんを素体にした執事ゼツボーグが、スタイリッシュにアクションを決めてました。
フローラの下半身に異常な拘りが感じられました……なんだあの腓腹筋の描写。
アロマが全力ダッシュしてかなり掛かった道程を、あっという間に飛び越えるたぬき見守り隊のお二人は、さすがプリキュアというべきか、愛の力は空間を歪めると考えるべきか。

アロマの幼い自我とその成長に力点をおいて、素直にお話を組み立てたエピソードでした。
こういうオーソドックスな『小さな一歩』ネタも、真っ向から組み立てれる所に、物語筋力の高さを感じる。
来週は海回ですが、『水着がダメなら、一切露出のないウェットスーツがあるじゃな~い』という解答を出してくる所に、センスを感じます。

 

・SHOW BY ROCK!!:第6話『DOKIィッ!? 水着だらけの海合宿♡ですぞ♪』
欲張りサンリオアニメも折り返し点というわけで、設定の説明から前回跨いだストレスの発展と解消、アホな男子のトンチキコメディにエモーショナルな絆描写、各メンバーの抱えている問題解決に後半戦への修行などなど、とにかく詰め込んだ回でした。
こんだけタップリ入れこむとやり過ぎ感が出るものですが、気合の入った作画に意図のハッキリした演出、マジカとシンガンの温度差を活かしたテンポ作成などなど、様々な手腕を駆使して一気に食わせる見事な仕上がり。
作品のテーマである『音楽の力』もしっかりと描写し、非常に満足度の高いお話となりました。


今回のお話、出だしからして特徴的な構成をしていて、レトリーとシアンの別離で終わった前回の空気を、時計を未来に回すことでアバンで解決してしまいます。
屈託なくビーチバレーを楽しむ四人、顔面レシーブをしたシアンを気遣うレトリーの姿は、時間軸に従った『普通』の構成だと最後に来るシーンなのですが、これが冒頭に来ている。
つまり、『シアンとレトリーは一体どうなってしまうんだ!』というサスペンスを引っ張ることよりも、まず四人の平穏無事な姿を見せて視聴者を安心させ、結論を与えてから過程を楽しませることを重視した構成だと言えます。

『失敗したくない』『不安になりたくない』『安心したい』という視聴者の欲求を満たすことを、物語的な興奮を充填した従来型の語り口より重視した今回の作りはしかし、画面に切り取られた少女たちの瑞々しい感情により、『普通』の構成よりもむしろ胸に届く仕上がりになってたりする。
このアニメ瞳のアップが多い印象があるわけですが、丁寧に視線や潤みの変化を捉えることで、クッソ面倒くさい十代の女の子の繊細な心の内側が、よく伝わってくる演出になっていると思います。

今回も捨てレトリーやら気まずいお茶会やら、お風呂シーンやら合唱シーンやら、目が口ほどに物を言っているシーンは多かった。
レトリーが風呂でも眼鏡をかけているのは何も、過積載なキャラ付けを維持するためではなく、まだ心を閉ざしている彼女の心境を、目に語らせないための小道具なわけです。
その後バンドのわだかまりが解決する段階になると、バラバラだった服装を一旦脱いで、四人は同じリゾートウェアに着替えている。
服装と心境は一致しているわけです。
こういう語らない演出を事前にやるからこそ、風呂シーンの意図や合奏によって心が解けていくシーンの意味を言葉にする演出も、過剰演出ではなく視聴者に狙いを間違いなく届ける、補強的な演出として機能している。
口で説明することと、絵で見せることのバランスが巧いことも、キャラクターとストーリーが魅力的に見え、視聴者がのめり込む大きな要因だと思います。


口で説明するといえば、今回は設定説明が多い回でした。
主人公が世界に呼ばれた意味、これから為すべきこと、それをひっくり返すための手段と、倒すべき適役。
何故かオカマ口調になるピンクハートさんが、バリバリと説明しておりました。
逆に言うと、5話も設定関係の掘り下げを後回しにしてでも、人間ドラマの積み重ね優先でやってた、ということになるわけで。
フィクションが視聴者の心を動かす第一因はやはり、作中でうねる心の動きに他ならないわけで、ロックと友情の万華鏡をまず覗きこませて、作品が視聴者の心に入り込んでから設定を開示するやり方は、とても良いと思います。

設定語りという意味ではシアンの過去も開示されてましたけど、これはどちらかと言うとドラマの展開に属する描写。
クッソ面倒くさい純情発情レズことレトリーの心と、孤独に親しみつつも友情を求めたシアンの過去は、これまでも示されていたように重なり合う部分が多い。
これをしっかり言葉にすることで、キャラの設定が開示された以上の効果をドラマの中に生んでいるわけで、見せ方巧いなと思います。
お風呂のシーン、妙に艶かしいしね。

そんな感じで、和解への手順を丁寧に踏みつつも、レトリーの気持ちが本物であればこそ、簡単には歩み寄れない。
近づきたいけど怖いという矛盾を飛び越えさせる一歩が『音楽』なのは、このアニメが『音楽』のアニメである以上、絶対に必要な飛躍です。
『裸の付き合いでも乗り越えられない心の壁を、音楽は繋いでいく』という綺麗事を主人公たちが体験することで、作中における音楽の価値が再生産され、今後起こるであろう『音楽』が全てを解決する(何しろ、シアンは音楽の才能を見込まれた救世主なわけで)展開に説得力を用意しているわけです。

これは、『この世界で悪いのは誰か』を聞いたシンガンが、『んじゃあ殴ろうぜ』となった後ピンクハートさんが『それを解決するのは音楽だ!』と切り返すシーンでも同じです。
超気合の入ったお風呂シーンがセックスのパワーを意味するなら、シンガンが持ちだそうとしたのはヴァイオレンスのパワー。
最も一般的な問題解決のパワーであるその二つが、しかしこの世界では意味を持たないこと、世界を救うのはただ『音楽』であることを、今回の話は確認しています。
お話の中の芸術表現というのはなかなか扱いが難しいもので、ストーリーを背負わせるからこそ純粋な感動体験から離れていくという意味でも、キャラクターやストーリーに共感する人でもそこで提示される芸術表現そのものに感動するとは限らないという意味でも、なかなか厄介なものです。
平たく言うと、『世界を救う音楽』をただ出されても、そこに納得できることは少ないわけです。
なので、今回のように世界には『音楽』しかないこと、通常の世界を律しているルールから逸脱した世界であることを何度も見せるというのは、とても大事だと思います。


繊細な心のすれ違いを抱え込んだプラズマジカは今回、面白いことをして空気を抜くことが、あんまり出来ません。
そこら辺の仕事を一身に背負って、アバンの構成で見せたストレスコントロールの巧みさを引き継ぐのが、シンガンクリムゾンです。
声優陣の熱演もいい仕事をして、彼らが出てくるシーンはテンションの高い笑いが生まれる、いいコメディに仕上がっていました。
『萌え萌えなキャラが水着&温泉!!』という回なのに、男に尺取られて楽しい気分になるってのも、なかなかスゲェな。

徹底的にバカをやりつつ、あざとくポイントを稼いだシンガンですが、それ以上のお釣りをもらうのがこのアニメ。
ピンクハートさんから開示された設定=ラスボスをぶっ飛ばす理由に強い食いつきを見せることで、今後激化するであろうダークモンスターとの戦いに、積極的に絡む理由を手に入れたり、頭の弱い大冒険を繰り広げることでなんとなくバンドとして成長した空気が生まれていたり、ただ道化を演じるだけではない、巧妙な計算が垣間見えました。
プラズマジカの問題にグイグイ食いついていきつつ、アホをやって空気を和ませ、暴走しそうになったら大人であるロム兄さんが待ったをかけるシンガンのバランスは、ほんと良く出来てるなぁ。

コメディ担当という意味では、合唱を経てわだかまりを解消した後は、モアの問題を楽しく解決してもいました。
ああいう空気の抜けたシーンを先にやってしまうと、プラズマジカが抱えた問題の重さ、それを背負い込む少女たちの繊細さも抜けてしまうので、レトリーとシアンの問題をしっかり解決してからやるのは、理にかなっています。
笑いを含んだシーンをプラズマジカにやらせることで、本当に問題が解決したことを再確認させられますしね。
モアが抱えている問題も同時に解決しちゃうことで、余計な荷物を引っ張らず時間を有効に使う意味合いも、勿論あるでしょう。

レトリーとモアの課題はクリアした感じですが、チュチュは地雷を埋めている段階。
リーダーとして冷静に問題解決のために動いている彼女ですが、細かく引っかかるところがある様子は、今回も強調されていました。
問題解決のためにお話全体が動いている時でも、今後の火種になる要素をしっかり埋め込んでいく目端の効き方は、なかなか端正ですね。


音楽と友情と青春、作品のテーマを全て使って、笑いと情感両方に訴えかける、見事な山場でした。
ドラマの盛り上がりを最高潮に持って行きつつ、設定開示や今後のドラマのための準備を手際よく処理する手腕も見て取れ、非常にSB69らしいエピソードだったと言えます。
こういうしっかりしたお話を見せてくれると、本当にドンドン作品が好きになっていくわけで、有り難い限りです。
SB69後半戦、期待大ですね。