イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

乱歩奇譚-Game of Laplace-:第3話『影男』感想

悪趣味とポップさが同居する萌え萌え猟奇譚、今回は初のソロエピソード。
謎解き仕立てで猟奇殺人を料理してた前回までとは異なり、可哀想な奇人が現実的な殺人犯にひどい目にあわされるという、なかなか救いのない話でした。
こういう話があるということは、推理が必ず必須なシリーズではないんだな。

今回の主役は『ファウストなのに声はザトーかよ』こと影男さんですが、連続大規模窃盗犯という反社会的な肩書と、奇抜な外見をもった何処に出しても恥ずかしい奇人。
しかし純粋な少女崇拝者でもありまして、怪人に優しくしてくれた少女との思い出のため! 探偵助手と手を組む!!
ふーむ、なかなかワクワクする猟奇的展開だな!!

ええ、物語が始まる前に少女は手遅れな状態にされてたので、結構どうにもなりませんでした……。
『キチの妄念岩をも砕く』とは行きませんでしたが、乱歩先生の話に出てくるキチも、みんな破滅してた気がするし……するし……かさち子くんの幸せと約束を信じ、リスクをたくさん背負って頑張った怪人にぶっ込むにしては、キツい仕置すぎやしませんかね……。
コバヤシ少年の目だけが見つけた影男の涙は、物悲しくて良い演出だった。


対する『オイスターの漫画から飛び出してきやつ』ことワタヌキは、猟奇に対するアンビバレントな憧れを鼻で笑うような、超ストロングスタイルの少女連続誘拐猟奇殺人犯。
『別に少女でなくても良かったが、自分の言うこと聞かせるには子供が一番楽だから』というロマンもクソもない選択に、生々しいイヤ加減が詰まってます。
『女の崇拝者が周囲を取り囲んでる』という立場が影男原典から略奪されている当たり、10年台のリアルヴァイオレンスが大正時代の闇を凌駕する、世知辛い結論。
少女レリーフも、影男原典の犯罪技芸だしなぁ。

素っ気もないコンビニ飯にしろ、取ってつけた装飾の目立つプレハブ換金小屋にしろ、ザラッとした味気無さがワタヌキの犯罪には匂っていて、そこら辺は乱歩作品のまとう気風とは正反対。
猟奇と現実、過去と現在、乱歩の原案とアニメの変装という対比構造を感じずにはいられない、強烈なキャラでした。
つーか単純に、さち子くんの人生が報われなさすぎ……犯罪被害者ってそういうもんかもしれんけどさ……。

あ、コバヤシ少年は早速女装ノルマを達成しており、サービス忘れない魔性の美少年でした。
ハシバがどぎまぎするのもしゃーなしだな! 絶ッ対ェワザとやってる、更衣室の動きを見るだに。
監禁されてる少女見ても、人肉混じりのレリーフ見ても一切動揺しないあたり、やっぱもう壊れてるわこの子。
『いらない少女などいない! 全ての少女が幸せになる権利がある!!』とアムネスティのアクティビストみたいなこと言ってるのが、紙袋被った窃盗犯だけっていうのが、このアニメらしい転倒した価値観だなぁとか思いました。