イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

コンクリート・レボルティオ~超人幻想~:第1話『東京の魔女』感想

様々なオリジンと能力を持った『超人』が闊歩する架空の東京を舞台に、もはや戦後ではない時代の大活劇……という感じの、ノスタルジック・レトロフューチャー英雄譚。
會川昇の趣味と悪趣味大暴走という感じで、神化41年と神化46年を行ったり来たりする構成、ヒロイックジャパンを原液で叩きつけてくる展開、ねじ込められた大量のオマージュと、脳みそ痛くなる情報量。
しかしモチベーションとしてはかなりスッキリしており、ヒーロー物の闇鍋ごっつぁん状態を楽しめというメッセージを、バリッと受信しました。

世界観としては巨大ロボットあり、魔法少女あり、悪徳宇宙人とウルトラマンありの、スーパーヒーロー大戦 IN 高度成長期という感じ。
このクッソごたまぜ感を一発で理解するべく、『システムはBBTです』という魔法の言葉を使える辺り、TRPGモノは得だ。
いや、ワイルドカードとかマーブルユニバースとか、CLAPM世界観とかでもいいと思うけどね。
サイズの違うヒーローが同時に戦闘する絵面はかなりのワクワク力を持っており、影を省いた作画とあいまって、不思議なトリップ感を生み出していました。
俺、こういうチャンプルーな感じ、嫌いじゃないぜ……。(唐突な告白)

影付けのないヴィヴィッドな色彩が目を引きますが、超人が日常風景の中を闊歩する異世界感は良く出ていたように思います。
レトロな小物のデザインに凝っていたり、町並みや交通機関、ファッションで時代を表現していたり、ヴィジュアルの説得力はかなり感じた。
結構維持するのが大変そうなテイストなので、巧くくすませないように乗りこなして欲しいなぁ。


お話の筋の方は、神化41年を舞台にした『過去編』と神化46年を舞台にした『未来編』がザッピングする感じ。
『過去編』では夢見る少女だった輝子の認識そのままに抽象度が高い背景が使われていて、五年分大人になった『未来編』では世界の具象性が上がっているのが、ちょっと面白い。
『過去編』だと頼れる先輩だったジロウくん(元ネタはキカイダーなのかねぇ)は、『未来編』だと組織を裏切って逃亡中だし、五年間の空白を想像させる作りなのかな?
輝子はなかなか健気で可愛い子なので、超人のトンチキ力ばかりではなく、彼女の純情も丁寧に追いかけて欲しいところです。

主人公たちが所属する『超人課』も、『超人の守護者』という理想と、善悪を恣意的に運用する現実の間で揺れているのが、第一話で既に描写されていました。
ココらへんが『未来編』での裏切りに関わってくるのかなーとか、色々想像が膨らむ作りなのは面白い。
輝子もまだ『超人課』に所属したばっかりですし、その目的や内情なんかは、今後描写されていくところなんでしょう。

舞台を『高度成長期』に設定したのがレトロフューチャーな新規性以外にあるとしたら、ヒーローを使った昭和総決算というか、會川昇版今川鉄人という感じに、今後は転んでいくのかな?
こういう時代を電気の力で再構築していく手法はどうしても、大塚英志の戦前戦後シリーズを思い出すわけですが、実在の歴史と絡めていくのか、はたまたわざわざ年号を変えたのだから別の形で切り込んでいくのか。
どちらにしても、巧く料理すると美味しそう、でも料理自体はなかなか腕がいりそうな題材ですね。
いやま、あくまで高度成長期日本は物語の背景であって、舞台としての存在義に切り込んでいくわけじゃないのかも知れんけどさ。

一切の手加減無しで色んなモノをぶち込み、時間軸のザッピングで捻った、なかなかに拗らせた第一話でした。
そして俺はこういう拗らせ方がだーいすきなので、第二話を楽しみに待ちたいと思います。
来週は妖怪かぁ……本格的にBBTだなコレ。