イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

K-RETURN OF KINGS-:第1話『Knave』感想

覆面作家集団GoRAと年一作という独特の制作スタイルがハイクオリティを生むGoHandsがお送りする、イケメン異能力クランバトル時々おっぱいアニメ、第二幕。
間に映画が入るので、正確には第三幕になるのかなぁ。
三年ぶりにTVに帰ってきたKは、相変わらず透明度の高い青い画面が存在感を主張し、波紋の少ないじゃれあい異能バトルが展開し、主役は相変わらずいてもいなくても関係ないという、トンチキなアニメだった。

最初に一期の話をしておくと、自分は最後まで見てかなりガッカリした男です。
群像劇とはいえ、露骨に主人公的立場に置かれた社は状況に振り回されるまま進み、クランの宿命とか異能力者のカルマとかは、脇役っぽい出だしだった赤と青の王様が全部背負う。
『何者でもない存在が、王としての立場を活かしていく青春物語』という初期イメージと、『過去に因縁のあった二人の異能者と、それに率いられる異能者集団の対立と融和の物語』という実際の内容
が綺麗に喧嘩して、修正しきれないまま見終わりました。
勝手に社が主役だと思っていた俺が悪いっちゃ悪いんですが、群像劇だというのであれば、複数ある軸が干渉し変化する必要はある。
しかし青は赤と、赤は青とイチャイチャするばかりで、白銀陣営には影響を及ぼさず、及ぼさないまま進んでいった。
主役のはずなのに徹底して孤立したまま社の物語は進み、彼のオリジンが判明したと思ったら舞台から姿を消し、お話は終わった。
その波紋のなさって、正直どうなのかなぁってのが一つ。

主役陣の不甲斐なさを埋める形でバチバチしてたのが青と赤のクランでしたが、こっちのお話は結構好きでした。
『LAWサイドの青&宗像 VS CHAOSサイドの赤&周防の対立』は分かりやすかったし、両トップの因縁や周防さんの調子乗りっぷりとか、楽しいところもたくさんあった。
せっかく楽しいんだから、最初っからこっちが主軸だと明言してくれれば、受け取りやすかったのにと思ったほどです。
こっちのキャラもお互いのライバルとイチャイチャするのに忙しく、規定の枠をぶっ壊してキャラが入り交じるダイナミズムは、ほぼなかったです。

これはクランやお話の軸に関係なくKの特徴だと思うのですが、このお話消毒されたキャラクターしか出てこない。
不快感にしても感銘にしても、他人に対して何らかの変化を与えうる滋味みたいなものを、人格に兼ね備えたキャラがほとんど出てこなくて、アリモノの関係に満足してそこから出てこない物語的引きこもり達が、雁首揃えている印象です。
それはキャラクターのショーケースとしては有効でも、物語の舞台としては動きに欠ける。
自分は物語はキャラクターの陳列棚ではなく、感情のうねりが行ったり来たりする場であって欲しいと願っているので、表面的な元気の良さの奥にあるこの大人しさは、かなりのがっかり加減でした。
キャラクターの初期設定と初期配置からだいたい想定されるコースを、早い遅いの違いはあれど出てこないし、勢力を超えた意外な影響の及ぼし合いみたいなもの(それこそが群像劇の醍醐味だと僕は思いますが)も感じない。
綺麗な画面そのままに、綺麗に並べられた人間関係がそのまま走って行って、コースから飛び出さないまま終わる。
そういうお話だったというのが、僕個人のK一期の感想であります。


『こんなにボロクソ言っておいて、んじゃあなんで二期見てんだボユゲ』という意見もあるでしょう。
それには何個か理由があって、一つには猿比古くんが好きだからです。
宮野のキモい演技をフルに活かしたキモーイキモーイサイコホモ野郎である彼は、K的横並び状況から少し飛び出した、味のあるキャラだと思います。
赤の裏切り者ということで、LAWサイドの中でもCHAOSの匂いのする、ちょっと乱れたキャラ背景を持ってるのが良いのかな?
ともかく、猿比古へのキャラ萌えってのが一つ。

もう一つは、なんだかんだKは魅力的だからです。
よく整えられ端正にまとめられたキャラデザイン。
異能者が率いるクランたちの衝突。
本当に独特な、K以外に類を見ないトンチキな色彩感覚。
色々言いつつもつい気になってしまう要素がやっぱりこのアニメにはあって、それが可能であれば僕好みに機能する所が見たい……と思ってしまったわけです。
あとま、僕はイケメンがウロウロする異能力アニメが好物だからですね。

キャラクターとしての存在感が強すぎた宗像が舞台からさり、少しは主人公が暴れる隙間もできたようです。
無責任で放埒な緑のクランも追加されたし、その変化を活かして、一期では見れなかったKの姿が少し見たいなぁなどと思って、僕はこのアニメを見始めました。
そんな身勝手な願いがどう料理されるかは、実際の映像を見なきゃ判断できない部分ですが。


というわけで見たんですけど、相変わらず美麗な画面に隙間の多い展開だな!!
今回の話、まとめようと思えばもっと短くまとまるだろ!!
冒頭かなりの時間を使ったバトルシーンとか、既に起きてしまっていて変えようのない過去回想だしさぁ……。

お話としては宗像無き赤のクランにはアンナが女王として即位し、Web嫌がらせクラン緑がいろいろちょっかいをかけてきている状況。
社は相変わらず雲隠れしており、宗像さんはそろそろ限界で、クロと猫はご主人様探しに忙しい、という感じだ。
存在感のなかったぽっと出煙野郎より、2ch気質で生理的にムカつく緑の連中のほうが、悪役としては分かりやすくて良い。
幹部も釘宮だし。(釘宮だけで点数五十点増しオジサン)

合間合間に挟まるバトルはあれだ、ゆるふわ萌アニメにおける『女の子が可愛いシーン』みたいなもんで、拳と剣、異能と異能をかち合わせていても、そこに感情のやり取りはやっぱりない。
気の利いた『ゆるふわ萌アニメ』だと、『女の子が可愛いシーン』と同時に、色々感情をやり取りするわけだけど。
せっかく殴りあいしているんだから、始まる前より相手を嫌いになったり、好きになったり、通常の付き合いでは生まれない濃い感情を生み出せばいいと思うんだが、そういうのは存在しない。
自分たちで規定したキャラクターの線を越えようとしない悪癖(と僕が思うもの)は、一話見た限りだと治っていないようでした。
そこを踏み出して、クランやカップリングを超えたぶつかり合いがチョットでもあると、おっさん的には嬉しい。

しかしその空疎なバトルシーンは、やっぱり美しい。
カメラ振り回し過ぎな感はあるが、透明度の高い繊細な色彩と、てらいなく火とか出すサラッと感は見ていて気持ち良い。
中に何が詰まってるかはさておき、アクションシーンが気持ちいいのはやっぱり大事だ。

視聴者サービスといえば、淡島さんだけ『さっきまで監獄学園に出てました!』と言わんばかりのちちしりふとももっぷりで、少し笑う。
『パンツを見せたら何円、おっぱいを見せたら何円、乳首を見せたら罰金などという、スポンサード契約でも結んでんじゃないの?』と疑いたくなる、豪腕セックスシンボルっぷりだった。
『一クランに姫一人』というのがK絶対の掟なので、なかなかナオンは増やせないし、話の軸に絡んでない(またかよ!)シロがサボってる以上、淡島さんが大車輪ということかなぁ。

あ、猿比古は相変わらず八田ちゃんとイチャコラして忙しかったですね。
せっかくトリックスターとして活躍できる要素満載なんだから、緑とか白銀とか、いろんな連中引っ掻き回してくれねぇかなぁ。
あと、もっとキモくなっていいよ。


『良くも悪くもKだなぁ』という第一話でした。
良い所は最高に良かったので、もうちょっと見せ場の汁気を切って中身のある展開をし、キャラがゴツゴツぶつかり合うシーンが増えると、もっと嬉しいなぁ。
二話は一体どう進むのか、楽しみですね。