イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

影鰐 -KAGEWANI-:第3話『帰還』感想


『8分間で判る! 現代社会に迫る怪物の影!!」っていう感じのアニメ、結構話が動いた第三話。
傍観者っ面で奇獣事件が終わってから駆けつけてきた番場先生はモノホンと邂逅するわ、文明社会に生きてる奇獣が姿を表すわ、グイッと話が動いた感じがある。
一話が南海の孤島、二話が雪山と人間社会から遠い場所で回ってきたけど、これで奇獣は人目に触れる位置に。
さてはて、今後どう回していくんだろうか。

第2話に引き続き、エピソード主人公の感情とドラマをお話に込めた分、かなり飲み込みやすくなったと思う。
やっぱり『喋らない、人喰い、価値観が異質』の三重苦を背負った奇獣だけで話を回すのはなかなか難しい訳で、前回なら失った親父への執着、今回なら失った青春への執着と、登場人物が危機的状況に拘る理由があるのは、とっても良い。
一話のYouTuberはそこが金銭目的だったので、『んじゃあ勝手に死ねよ』となってしまうわけで。
やっぱり叙情性というのは大事だ。

お話の流れは『あまちゃんウルトラQを合体させたらこんな感じ』という悲惨な流れで、最後に二体のケダモノが流れ着くオチといい、寂寥感が漂っていていい。
『深海で待ち伏せ、人をたぐり寄せるクラゲの化物』というだけでも嫌悪強いのに、死体の尊厳を踏みにじって大暴れするところは、いい塩梅にイヤーな気持ちになれた。
奇獣をどういう味付けにするのかは今後の展開次第だと思うが、今回は主人公にとっての奇獣が『ぶっ殺しても足らない敵』から『敵を討とうと誓った女そのもの』に変わってしまうことで、理不尽さと寂しさが巧く刻印できていたように思う。
総じて、奇獣に込めたアイデアと『死体を取り込んだクラゲ』というデザインが優れており、インパクトとまとまりのある話だったと思う。

前回『もうちょっと動け』とかボヤいていた番場先生だが、今回は奇獣のトリックを解説したり、雄話しの感情的なシメを担当したり、なかなかストーリーテラーっぽい動きだった。
直接的に奇獣と戦ったり、被害にあったりするのはエピソード主人公でいいので、番場先生は今回くらいの関わり合い方が良い気がする。
身に備わった邪神クンフーをフルに発揮し、奇獣相手に大立回りしてくれても多分面白いので、それはそれでいいけどね。

エピソードごとの起伏と叙情性、ヤダ味がいい塩梅に効いた奇獣の使い方、番場先生の立ち位置。
三話にして『影鰐はだいたいこんな感じで』という答えが出たような、安心感のあるエピソードでした。
いやー、影鰐、面白い。