イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ゆるゆり さん☆ハイ:第5話『少女は、闇に落ちる。』感想

永遠につづく青春の足踏みアニメ、五話目は逆上がりとデートとファミレス。
三期ではあまり目立たなかった千歳が大きくフューチャーされ、おばあちゃん大好きっ子としては嬉しい回でした。
綾乃の幸せを願いつつ、選ばれない自分に忸怩たる思いを抱えている千歳は、やっぱり良いなぁ。
崖っぷちギリギリで踏みとどまり続ける感じが、ゆるゆりの象徴だと思う。

千歳と仲良く服を選ぶのはとても楽しいけれども、京子と出会った時の輝きは特別で、恋の相手とは寸毫足りとも思ってないがゆえに、千歳の目の前でそれを見せつけてしまう。
今回見えた危うさはいかにもめんどくさい事に突入しそうでいて、時間が停止したゆるゆりの世界では破滅の予感のまま終わる描写です。
千歳が便利な自分に疲れ果てることもないし、綾乃が自分の残忍さに気づくこともない。
千歳は『綾野ちゃんが幸せなのが一番や~』と言うんだろうけども、あまりにも親友過ぎて恋人とは受け取ってもらえない現状が、無意識的に生み出している軋轢もまた、淡雪のように姿だけ見せて降り積もることはない。
静止した水槽の中で、死なない熱帯魚が泳ぎ続けているような、調整された永遠。
不気味さや愛おしさや掛け替えのなさや、色んな感情を含んだ『ゆるゆりらしさ』が一番出ているのは、やっぱり千歳と綾野の関係の内部だ。

そういう面倒くさい上級生はおいておいて、向日葵は微笑ましく逆上がり特訓をしていた。
『中学生のスパッツが描きたい。シャツの裾が重力に負けて一瞬見える肌が描きたい』という欲望が透けて見える作画は、リビドー満載で素晴らしかったですね。
三期になってから綾ひまの描写が増えている気がするが、メインキャラクターの家族や教師といった、『今まで使ってこなかったリソースの有効活用』という三期路線の延長線上かな。
顎蹴っ飛ばすのはややメガバイオレンスが過ぎるが、まぁ櫻子クソガキだからね、たまには良いよ。

結衣京は大室家と接近遭遇してたが、二人のメンタリティの違いというか、人間関係の間合いが浮かび上がって面白いシーンだった。
あくまで礼節を崩さず、見知らぬ人とは一定の距離を保つ結衣と、いつもの歳納京子をファミレスという空間でも演じ続け、積極的にコミュニケーションする京子。
京子の元気な間合い管理を訝しがる花子とか、初対面の人への対応から見えてくる結衣の京子への依存度とか、大室家という異物を巧く使うことで、『いつもの二人』のキャラクター性を別角度から照射する話になっていました。
ここら辺も『今まで使ってこなかったリソースの有効活用』のラインかな。
ゆるゆりも息の長いコンテンツですので、色々工夫をして『今までと同じだけど、今までと違う』というとても難しい作劇を維持しているのだと、今更ながら思い知った。
ゆるゆり三期、ゆるっと面白いな、やっぱ。