イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

コンクリート・レボルティオ ~超人幻想~:第11話『正義/自由/平和』感想

二期制作も発表となった擬昭和ヒーロー史、今週は新キャラたくさん登場の新展開。
スカルマンハカイダーメカゴジラの合いの子っぽい怪剣クロードが己の拠り所をといつつ大暴れし、久々の出番となった帝告が事件の裏で糸をひく。
輝子の意外な側面が明らかになったり、新事実と謎が沢山表に出た出題編となりました。

潜水艦真っ二つというド派手な登場をしたクロードは、オマージュ元も行動理念も、綺麗に爾郎の対比物だといえます。
今回久々に顔を見せた柴警部にしても、将来的に対立することが確定してる弓彦にしても、このアニメの青年は殆どが爾郎のシャドウですが、それにしても解りやすいアンチ・テーゼだ。
里見顧問も『存在自体が実存的疑問』言ってたしな。

『過去編』ではクロードが問う『正義/自由/平和』に反発し、超人課の正義を信じて行動する爾郎ですが、『未来編』においてはクロードと似通った行動理念でパブリック・エネミーやっているのは、なかなか面白いところです。
輝子とぶつかってでも否定したいクロードと同じ道を、爾郎が辿るのにはどんな事件があったのか。
巧妙に隠されている神化44~45年周りのゼロポイントが、一期のうちに公開されるかどうかは気になるところです。
次回予告でクロードが語っていた『正義/自由/平和』の相反性自体は、灰色の世界を是とする『過去編』の爾郎が持つ個人的心情と合致するところだとは思うのだけど、その理念を実現するのに超人課というシステムが最適か、否かという判断が『過去編』と『未来編』を分ける分水嶺なのだろうな。
……ここら辺の判断は、ジャガーさんと爾郎を分けるポイントでもあるか。

米国・日本政府による超人体実験という抑圧を否定するクロードが、里見顧問が代表する巨大メディア企業と手を結んでいる背景も、結構気になるところです。
クロードが問うた『正義/自由/平和』のどれかに帝告が合致しているのか、はたまた一人で権力装置と戦えはしないという現実的な判断が『少しはマシな相手』として帝告を選ばせているのか。
クロードのオリジン含めてネタばらしは次回以降になりそうですが、やっぱスッキリしない話になるんだろうね、コンレボだしね。


前回に引き続きお話的な主役は爾郎ではなく輝子であり、彼女が将来的にデビルマンレディ的な(もしくはサリーちゃんのママ的な?)悪魔女王になり得る可能性が示唆されたりしていました。
話が進むに従って、爾郎への恋に恋するヒロイン的な立場から輝子はどんどん踏み出して、悩み行動する主体としての陰影を深めている感じがします。
エクウスが用意してくれる道から降りて、自分の判断でクロードとの対話に向かったのも、その現れでしょう。
その結果大量殺戮の現場に出くわし、これまで誰かを助ける力として表現されていたメテオテールが、人を殺傷しうる蛇腹剣に為ってしまったのは少し悲しかった。
爾郎が風郎太に対して抱いている身勝手なノスタルジアを、僕も輝子に感じているってことなのかなぁ、この感覚。

今回クロードのいう『正義/自由/平和』の大義に心を揺さぶられた輝子が『未来編』では超人課に残り、クロードを悪魔と断じた爾郎が離反しているというのは、なかなか面白い構図です。
柴警部と鋼鉄探偵ライトもそうなんですが、やっぱり『過去編』と『未来編』の間に断絶とねじれを存在させて、それが発生する原因に興味を抱かせる劇作は巧く機能している。
輝子が見せた転身の意味とか、クロードが輝子のプライベートを知っていた理由とか、色々気になるところが多かったなぁ、今回の輝子は。

久々に顔を見せた帝告チームは、メディア企業らしい追い込み方で世界と闘っていました。
GSバンドという可愛い表の顔に似合わず、エンジェルスターズが的確に工作員してるのが恐ろしい。
ライブで学生が集まってきて、騒乱が起こりやすい状況を作れるってことまで計算してのエージェント運用なのかなぁ。
帝告を率いる里見顧問がどんな超人で、何を望んでいるのかはかなり大きな謎であり、これが判るときはお話が一気にまとめに近づくタイミングだと思います。
ジャガーさんのエピソードで超人課のハラワタが結構見えたので、今後は里見顧問が『謎めいた権力装置』の代表をしばらく務めるのかしら?
まぁ元ネタが里見甫だもんな……ラスボス務める格としては十全よね。

国家警察という『正義』の代表者として、柴警部も久々に顔を見せてくれました。
柴警部は偏狭な『正義』を振り回すことで他のキャラクターの意見を引っ張りあげたり、負けロールやコミカルなロールを担当したり、人情味と可愛げのあるところを見せたり、色々やってくれる良い脇役だよなぁ。
複雑な表情が見れればこそキャラクターへの愛着がわき、『未来編』での変貌に疑問と哀しみ、そして興味が湧いてくるわけで、良い使い方だと思います。
しかし何だあの魔法科学者集団……人格の完全転移とか確かに魔法の領域なので、納得はするけどさ。

というわけで、クロードの怪剣が政府の欺瞞を暴き、問いかけが謎を深める回でした。
言われてみれば超人化も爾郎も輝子も柴警部も、これまでのエピソードで顔を見せた数々の超人も、そしておそらくは帝告も、クロードの問うた『正義/自由/平和』のどれかを求めて他人と衝突していたわけで、『実存的疑問』という里見顧問の評価も過大ではない気がします。
正義も自由も平和も尊重するべき善なんだけど、それぞれが置かれた立場と信条によって、そして何を優先するかという価値観の違いによってそれらは衝突し、争いが生まれ死人が出る。
そういう差異と同時に、それでも『善いもの』を求めているヒーローたちの共通点も強調される、良い疑問をサブタイトルに持ってきたなぁと感心する回でした。

灰色の世界で何に縋り、何を貫くべきか。
今回提示されたテーマと謎はクロードを追いかけていくことで更に深まり、更に鮮明になっていくと思います。
来週の解答編がとても楽しみですね。