イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

ブブキ・ブランキ:第11話『不死の少女』感想

長い助走期間を経てゴロゴロ話が転がり始めた鉄巨人サーガ、今週は大人の事情、子どもの事情。
作中一番好感を抱けないロシアのお兄様が大暴走し、オジサン二人が大喧嘩する中、主役チームはそれぞれ分散して問題に対処。
ようやく主人公たちのチームワークに説得力ある描写が追いついてきたり、忠義故に対立する新走と的場井がアツかったり、その過程で新情報が色々出たり、気持ちの良い速度が出てたエピソードでした。

『手足も色々考える』つー妹ちゃん一号の台詞が今回のテーマ(これを口で言っちゃうのがブブキだが、今回は描写の説得力が追いついていたのでグッド)だと思います。
手足に離反されるロシア組、バラバラでも手足と繋がっている日本少年組、考えているがゆえに対立する日本大人組と、登場するキャラクターがそれぞれテーマに対してしっかりしたアクションを起こしていて、面白かったです。
電車のダルい展開は何だったんだってくらい、ここ二話面白いなぁブブキ。

分かりやすく悪逆の限りを尽くすお兄様に溜まった反感を足場に、気持ちの良い裏切りを決めた妹ちゃん一号は、リンズを使った凝った拷問の被害者になり、それを東が止めることで主人公の主人公力が高まる動き含めて、とても良かった。
やっぱ無辜の犠牲者を無条件で助ける動きは、ヒーローとして踏まえておきたい基本ムーブだ。
お兄様の『ないわー』っぷりは徹底してて、虐殺は企てるわ部下は大事にしないわ、逆らったら即暴力だわで、ヘイトをキッチリ集める悪役ですね。
『ムカつく悪役をぶっ飛ばし、良い奴が報われる』という逆転のドラマは、チーム全員いいやつとして完成してるアメリカチームには無理な芸当なので、今回の展開はロシアにしか出来ない面白さでした。
しっかし静流はほんとにつえーな……『もうアイツ一人で良いんじゃないかな……』って感じだな。

木乃亜と黄金ちゃんは二人で新走おじさんとマッチアップしてましたが、これまで大人世代の完成度をしっかり印象づけていた分、連携で一泡吹かせる展開は気持ちよかった。
やっぱ具体的な手筋を組み立てて、仲間が仲間でいる理由をアクションで魅せるシーンがあると、チームものとしての説得力が違うな。
東の人命救助シーンといい、今回は『こういうの、ヒーロものなら欲しいよ!』っていうシーンが的確に挿入されてて、ブブキオーラの弱まりを感じる……もう11話だけど。


そんな二人を完全に無視して、大人同士で殴りあう的場井おじさんと新走おじさん。
新走の暴走が礼央子の痛みを一番身近に感じる『主治医』という立場故のところとか、あくまで主君に忠義を果たしつつ時間切れに焦る的場井おじさんの渋さとか、相変わらず礼央子チームは良い。
木乃亜にはガキガキ煽ってた新走だけ、チームの中では5歳若く、子どもとして大事に扱われていた過去を匂わせるやり取りが的場井とあったのも、なかなか味わい深かった。
目玉ビームがあっさり心臓抉った時の『えっ?』って感じも、的場位の実力を信じて『このくらいなら止めてくるでしょ』って一撃だったんだろうなぁと思うと、『宗坊』呼ばわりがじんわり染みるぜ。

新走の魂胆が公開されたことで、礼央子様の株が更に上がったのも大事な所でして、体の方は何度も死んで蘇り、心の方は戦うたびにボロボロになっていくという、あまりに悲壮なヒーローだった。
おまけにママンの新造停止作戦のおかげで、ブランキという暴力を唯一握った恨みを一心に買って魔女呼ばわりである……そら新走も島落とそうとするわ。
世界唯一のブランキがロシアのお兄様みたいな存在に握られてたら色々やばかったと思うが、そこら辺は礼央子を信頼して止めたんかなぁママン。
あと『礼央子自身が炎帝の心臓となった』って発言から考えるに、前回東が陥りかけた脳=新造状態を、礼央子はすでに経由してんのかねぇ。
主人公的な要素と実績が相変わらず礼央子様に集まっていて、最初の胡散臭い状態がよく効いているなと思います。

礼央子様の心臓止めたママンは、柊とタッグを組んで色々動いていた。
ようやく親への感情をぶつけられる世代とマッチアップしたことで、柊は自分の抱えているものを真っ直ぐ叩きつけて、良いキャラ表現の機会に仕上げていたな。
何も言わんと島に上がり、心臓を止めたママンのコミュ障っぷりは視聴者も気になってたところであり、そういうところにしっかり切り込んでくれる柊は、信頼できる良いキャラだ。
東-静流-ロシアチームにしても、木乃亜-黄金-おじさんチームにしても、あえて主人公チームをバラバラにして複数のマッチアップを作ったことが、今回はプラスに働いたと思う。

ママンの方はどうにも暖簾に腕押しというか、まだ一枚何かを隠していそうな感じだ。
礼央子様が己を犠牲に戦い抜く愛の戦士だということが強調されているので、彼女をボッコにしたママンの動機が明かされていない現在、どーにも信用しきれねぇんだよな……挙動の端々も、そういう感じに演出されてるし。
新走と的場井が伏せてた札を使った以上、1クール目の意外性はママンが担うと踏んでるんだが……それとも、出番のない妹がラストでかっさらっていくかなぁ。


と言うわけで、燃え上がる宝島を舞台に、手足が勝手に動くお話でした。
ヘイトを溜め込んでいたお兄様に一発食らわせる展開は気持ちよかったし、おじさんチームの物語は静かに熱かったし、とても面白かったですね。
もうそろそろ1クールが終わりますが、ようやくエンジン全開なブブキ・ブランキ。
二期があるか正直まだ判らんですが、良い速度で走りきれそうな期待が高まってますね。