裏切り者の名を受け、全てを捨てて戦う男への挽歌、今週はトラブル超特急。
運命のレールウェイに漕ぎだした甲鉄城だが、カバネリ差別は色濃いわ、無名ちゃんはなんにも説明しないわ、身勝手なことほざく群衆とそれを煽る紫頭巾はいるわで、火種は山盛り。
菖蒲様が器のある所見せたり、極限の日々の中でもやってくる日常が描かれたりで、息が落ち着くところもあったけど、ラストのヒキは生駒吸血寸前！！ というショッキングなもの。
上がったり下がったり、ジェットコースターのように上下する心拍数に振り回されるのが面白いアニメですね。
……カバネリに関しては、ゾンビっていうかダンピールだな。
甲鉄城が走りだして、序盤の喧騒も一段落。
火種はたっぷりあるしそこを掘り下げた展開も山盛りですが、ホッと息をつけるような描写もたくさんありました。
設定の細かいところを作りこんでいるアニメなので、メシの配給とか修理風景とか、派手さのないシーンをじっくり見るのが楽しいですね。
どんだけ世界がぶっ壊れたとしても、人間飯も食えば葬式も出したくなるわけで、そういう暖かみを怠けず出すことのは大事だ。
日常の穏やかさを強調することで、ハード・コアな部分との落差も強調されるしな……妊婦って時点で嫌な予感はしたんだよ、ウン。
前回までは謎の美少女だった無名ちゃんですが、ようやく腰を下ろして生駒と話すことで、キャラが見えてきました。
『どうせ話しても無駄だから』と説明を拒絶し、パワーで押し通るスタイルは、カバネリとして拒絶され尽くした結果手に入れた自己防衛の一環なのかねぇ。
能力的にはダメダメな生駒が自分のオリジンをしっかり話し、無名に『分かってもらおうとする努力』を尽くしているのとは、面白い対照だと思います。
生駒くんは元々戦士ってわけではなく、覚悟ガンギマリの技術者に過ぎないので、無名ちゃんにポコポコやられてる姿は見てて面白い。
ちびっ子師匠と覚悟完了職人とのコンビは愉快なバディになると思うので、今後も今回見せたような交流が増えると良いなぁ。
生駒くんはこれまでもチラホラ見せてきたオリジンをしっかり開示し、壮絶極まる負けの経験をしっかり語ることで、今の覚悟に説得力を出していました。
状況があまりに極限的なので『そんなに気に病むことないじゃない……』とか思ってしまいますが、どんなにハード・コアな状況でも人間であることを諦めたくなかった彼の倫理を、自分で踏みにじってしまったのがキツかったのだろう。
『自分の命のために、他人を犠牲にする』という体験はあの世界誰もがしている『ありふれた話』なわけで、そこから一歩踏み出して理想を追求するってのが、生駒くんが主人公たる所以なんだろうなぁ。
とは言うものの、話数が進むに連れカバネとカバネリのヤバさはどんどん公開され、ついには優しくしてくれた菖蒲様に襲いかかるはめに。
そして異常に気合の入ったパイオツ作画が俺の目を奪うことに……無名ちゃんの背中から下乳にかけてといい、女体への情熱も凄いよねこのアニメ。
無名ちゃーん、そういう大事なことはちゃんと言っておいてくれないと……言って状況が改善しなかった過去、ありそうだなぁ。
為政者としての威厳と、『自分の命のために、他人を犠牲にする』世界に反逆する理想をしっかり見せてくれたおかげで、菖蒲様への好感度が上がったタイミングだけに、非常にドキドキするヒキでしたね。
暴走もすれば生き血も啜る、カバネリの厳しさがわかった今回。
過剰反応に思える人間サイドの反応もある意味納得は行きますが、そこら辺をどう折り合いつけていくのか、はたまた火種を抱え続けたまま進むのか。
菖蒲様貞操と命のピンチをどう解決するかも含めて、色々気になるところです。
カバネリのヤバイ状況以外にも、色々火種を乗っけている甲鉄城。
疑心暗鬼と恐怖で情勢は不安定だし、それを煽って火付けする奴もいるし、極限状況でも各々勝手に動いているし、色々吹き出すエピソードでした。
妊婦に配給の食事を二つ渡す所とか、ギリギリの状況下だからこそ輝く情の描写として、中々鋭いもんでした。
葬式という『人間らしい』状況になんとか辿り着いて一瞬ホッコリさせつつ、その温もりを利用してエグいカウンターを入れてくる所は、振り幅ついた良い展開だったね。
乗員の動揺に関しては、頭である菖蒲様に色々頑張ってもらうしかないわけですが、今週は茶番を利用して上手く状況を収める器を見せていました。
結局血が流れなければ状況が収まらないなら、自分が先頭に立って許容できる範囲の流血を演じるっていう政治的視野と度胸は、中々のもんです……失血すると暴走するカバネリの習性とは、相性最悪だったがな。
工場での短いやり取りをしっかり覚えていて、ただ理想のためではなく、個人的な思い出のためにも生駒を助けようとしてくれたのも、菖蒲様のこと好きになれる良いポイントだったな。
不安定な状況は紫頭巾が色々煽った結果でもあるんだけど、奴の狙いや背景は今後掘り下げていくところなのかな。
ただでさえ極限的な状況なのに、獅子身中の虫まで巣食っているなら甲鉄城の旅路は、まさに前途多難。
筒先による弾滑り描写で実力を証明した青侍さんが、ここら辺の問題解決で頑張ってくれるとありがたいんだがなぁ……現状、一つの目的に凝り固まりすぎて、あんま好感抱けんキャラやけん。
というわけで、穏やかな温もりの描写あり、それを貫く世界の厳しさの描写あり、状況に立ち向かうキャラクターたちの心根が見えるシーンあり、盛りだくさんの第3話でした。
Webで見られる次回予告では、早速上級カバネリが襲ってくるようですが……気になる引きからどう繋ぐのか、楽しみですね。
次回予告のナレも担当している鈴木の中の人がホント存在感あって、良いキャラだなぁと思います。
『マズイぞ、Captain』の良い発音とか、ホントおもろい。
