イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

くまみこ:第7話『キカセ』感想

『ナツが去勢されているのは、性器を略奪することで作者である吉本先生により近づけ、思う存分まちを愛でるためでもある?』というイヤな疑問にたどり着いたアニメーション、今週は巫女VS電気釜と、クマによる意識高い系プレゼンテーション。
触るものみな爆発させるまちの過剰なダメダメっぷりを楽しみつつ、文明的なクマとのギャップを楽しむエピソードでした。
前回そのドス黒いハラワタを露呈させた関係も、ナツが『年長の保護者』というペルソナを被り続けられる間は歪んだ位置で安定してた。
それが幸せかどうか、俺にはなんにも分からねぇ……分からねぇんだ……(唐突に煮えることで場を持たせる人)

Aパートはいつもの様にダメダメ巫女のだめダメっぷりを味わう展開であり、何の前触れもなくパなされるペドい回想も、相変わらず気合の入った仕上がり。
『小学1年生がブルマはいて、良い姿勢でマキ割ってる姿が見てぇなぁ……』という、泥めいた欲望だけが最前列に躍り出てくる絵面でして、とっても良かったです。
ナツのペドい回想は毎回唐突勝つ意味がなくて、そのナンセンスさが『うるせぇな……幼女のイカすシーンがたっぷり描きてぇんだよ!』というリビドーを引き立てていて素晴らしい。

このアニメ色んな物に対して斜めな姿勢を取っていますが、ボーボー炎上する台所でいい話風味に感動シーンをやり続ける二人の姿も、非常にいいシニカルさだった。
作中ではとにかくボケ倒し観客にツッコミを任せる笑いの作り方が、やっぱり僕は好きなんだなぁと再確認できた。
BGMが醸しだすイイハナシダナー・ムードと、ガチでボーボー燃えてる絵面が全く咬み合ってなくて、涼しい顔で視聴者を全力で引き込みにかかるパワーが篭っていたのは、コメディとして強いわな。
『客を笑わせたければ、真顔でやりきれ』ってのは、まったくもって真実だと思う。


Bパートはジョブスばりのプレゼンを頑張るナツと、蕎麦屋で打ち上げするのに夢中で内容全く聴いてないジジババの落差が、生々しくてよかった。
よしお君の上司にしてもそうなんだが、クマが喋るファンシーな設定なのに、田舎のジワジワと腐敗していくクソっぷりは生々しい。
こういう所でも落差で笑いを作っており、ギャップを冷静に図るシニカルさと、計算を極力感じさせない技量が両立しているのを感じる。

村役場に漂うのダメっぷりをアニメで強調されると、よしおのやる気と有能さも目立つ。
他人との距離感や共感能力のなさ、他者の痛みを一切考えない突っ走り方はまさにサイコ野郎だが、悪人ではないのだよしおは……サイコだけど。
サイコであることでまちとナツのいびつな関係を健全化させず、有能であることでストーリー全体を牽引する仕事もしている辺り、よしおはよく考えられたキャラだなぁ。
まちナツは二人でキャイキャイしてればそれで満足な部分があるので、よしおがいないとイベント起きないんだよね……トンチキなせっせっせシーンの多幸感溢れるキャフフっぷり、本当に良かったなぁ。

つー訳で、人間の醜い毒を要所要所ではみ出させつつ、日々是平穏な熊井村の風景でした。
よしお君が村おこし編への伏線撒いていたけど、この構成だと刑事編やんない感じか。
くまみこは結構大胆に原作を再配置してシリーズ全体の流れを作っているので、そういう部分も楽しみですね。