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イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

プリパラ:第128話『さよならウサチャ……。』感想

ステージの上で交錯する生と死の火花、アイドル血風録第128話。
『サバンナ出身の食人族』という21世紀にお出しするにはあまりにギリギリを攻めたキャラ、太陽ペッパーの因果を回収するお話でした。
ペッパー絡みは『周囲が騒いでいただけで、ペッパー自身はいちばん大切なものをすでに学んでいた』という落とし所で落ち着かせつつ、キャラクターの根本を曲げることの意味を巧いことジャニスに反射し、今後の展開の足場を作るエピソードでもありました。
プリパラ三期は、ほんとにテクニカルだな。

というわけで、『仲間を食う』というギリギリ超えた危険球を、どう捌くかが注目されていた今回。
蓋を開けてみると、ウサチャの死に芸と周りの過剰反応芸で座を盛り上げつつ、ストンと落ち着くところにまとめる展開でした。
実際に食うのは九分九厘ないとわかっていても、『まぁ、プリパラだしな……』で安心しきれない安心感があるのは、殺意が茶番を遠ざけていて良かったです。
料理のバリエーションを豊富に用意して、『まさか……!?』というヤバみを畳み掛けてくるスタイル、俺好きだよ。

今回危惧していたのは『食う』方向にドライブする以外にも、『食わない』方向に治療してしまうことでした。
つまりペッパーが持ってる『なんでも食べたい』という特質は、色々厄介だけれども彼女の個性であり、レオナの性別とか、まほちゃんの根性曲がりとか、あじみのキチとかと同じように『治療』されるべき性質ではない、ということです。
キャラの死亡というハードコアな状況が目の前にあるので、そういう力押しでの解決もあり得るかなぁ……と危惧していたわけですが、そこはプリパラ。
あくまで『なんでも食べたい』というキャラ性自体は消失させず(その証明をコミカルにやるのが、兄マスコットたちを食べようとするシーン)、これまでの経験を通じて『自分らしさ』を制御することを学んでいた、という結論が付きました。

視聴者(というか僕)はノンシュガーの凸凹友情道に付き合うことで、彼女たちが育んだ友情に愛着を覚え、それが意味のあるものだったと思いたがっています。
ペッパーが仲間であるうさ茶を食べる、という展開が試しているのはまさに、彼女たちが蓄積してきた歴史そのものであり、それがペッパーの性質に打ち勝った……というか、性質のコントロール方法をペッパーに教えたという決着は、ハラハラしつつも納得がいく、非常にスマートなものでした。
前半マジで話が通じない食人族っぷりを強調していたのが、今回物分りよく『正解』を受け入れる(というか、最初から『正解』を自分のものにし、それを弄ぶ余裕までもっていた)展開を引き立てるスパイスとして効いていたと思います。
仲間や身内に対して情が厚いのもこれまで描写されたところなんで、ペッパーがたどり着いた結論が彼女の野生を飼いならした感じも、凄く薄いですしね。

過去からの蓄積を活かすという意味では、『仲間だから食べない。約束は大事だけど、変えていい』という今回の流れ、『みんなトモダチ』というプリパラの根本に直結しています。
プリパラにおいて『トモダチ』は非常に大事な基礎であり、同時に様々な形がありうる多様なもの。
アグレッシブでハードコアなペッパーの友情もまた、『みんな』と繋がる大事な気持ちであり、過去の自分を否定するのではなく変化させていく柔軟性を忘れないことで、より良い『正解』にたどり着ける。
ここら辺の運び方は非常にプリパラ的だなぁと思いました。
……いい話風味にまとまった瞬間、『ケダモノも人情を学ぶのな! ビックリだわ!!』とそふぃが何の気なしに言い出す毒引っくるめてな!!


第118話から第124話、第127話あたりを見ても、ノンシュガー周辺の運び方は非常にテクニカルで、各要素をコメディとして盛り上げつつどう繋げ、どういう結論にたどり着くかよく考えられています。
今回もペッパーを追いかける過程の中で、もう一人の仲間であるジャニスに巧くトスを上げて、彼女が『正解』を掴む未来への道をじっくり整備していました。
ジャニスを攻略するのはラストクールの課題なので、ここで完全にクリアしてしまうのではなく、あくまで整備に留めているのが大事でしょうね。

ペッパーと同じように、ジャニスもまた過剰な『自分らしさ』とたっぷり戯れることでしか、それを制御し変化させて『正解』にたどり着く説得力は生まれない。
なので、ちりがど真ん中から問いかけ、グラグラと揺らぎつつも今までの『自分らしさ』を乗り越えられない今回の流れは、今後につながる非常に優れた布石だと思います。
『みんなトモダチ』が万能の答えになるのは、このアニメプリパラなので必然なんですが、それを薄ら寒い空言ではなく真に迫ったテーマとして描くためには、それを受け入れられない個性をしっかり描き、迷わせるのが大事。
しっかりカウンターを当てることで作品のテーマを際立たせていくのは、トリコロールが114話でたどり着いた境地に似ていますね。

コメディ色に染まりつつも『仲間の死』というハードコアな問題を前に、ジャニスは約束に過度にこだわる『自分らしさ』を文字通り蹴散らし、もっと大切な『正解』を思わず口にする。
それは今回ペッパーが、これまでの蓄積を活かして物語開始時からたどり着いていた『正解』と同じものであり、ノンシュガーはみな、同じ気持ちを共有しているわけです。
そこさえ一致していればなんでも乗り越えられるのがプリパラのルールであり、前回に引き続いてジャニス救済の道を整える、いい流れだと思いました。
『溢れ出た感情が建前を押し流し、暴走ともいえる行動を引き出す』って言う描写は、ジャニス周辺で非常に目立つし機能的だな……ステージアクトを扱っている以上、インパルスが走る瞬間を重視するのは、とても正しいと思う。

悩めるジャニスが自然と応援したくなる、憎らしさと可愛気の入り混じった『人間』になりつつあるのも非常に巧いと思います。
第四回神GPに感動し、ちりに問い詰められ、ジャニスを支えていたはずの規範意識や正当性は強く揺らいでいます。
しかし彼女の行動には、高慢や押し付けがましさと同じくらい、義務感やハイクオリティなステージを求める意欲が強く存在している。
悩む過程でそういう美点を自然と出させて、『ああ、やっぱこいつイイやつだな、あんま悲しい結末は嫌だな』という人情を視聴者から引き出すのは、今後待っているだろうハッピーエンド(とそれを導くための深い谷)を考えると、とても大事です。
今回グネグネと、まるで地上に出た後ハメられた事に気づいたカイジのように悩みまくるジャニスの姿は、必要な人情を十分引き出せていたと思います。
ここら辺は冷酷モードとお悩みモード、両方をしっかり演じきれる豊崎愛生の巧さが生きてる印象。

ウサチャの生死を追いかけつつ、それに頭を支配されすぎず、ジャニスの安全を心配することでのんちりの株が上がる展開も、非常に良かったです。
『パクトが川に落ちる』というのは、いまいち仲良くなりきれなかったドロシーとジュルルが心を通わせた第100話の描写と繋がるもので、このお話における『赤ん坊が守られなければいけない理由』のアイコンなのだと思います。
目の前に迫る危険を自分の力ではねのけられない存在だからこそ、それが可能な年長者が苦労をする必要と意味があるし、それはとても尊いもの。
ここら辺のルールを確認するのにも、過去の蓄積がうまく使われていて、ホント冷静に運ぶなと感心しました。


ノンシュガーの繋がりが描写される横で、非常にコンパクトに、しかし印象的に描かれていたのが、らぁらとジュルルの母子関係でした。
出会った後はクローゼットの中に関係を押し込めていたらぁらですが、今ではおんぶ紐に堂々とジュルルを背負い、母親という立場も彼女への愛情も、一切隠そうとはしない。
妹がこれから辿るだろう『育んできた愛情を、素直に認める』という物語をジュルルは既にクリアーしていて、母との寝床でそれを幾度も確認しています。

それは微笑ましい光景なんですが、同時に危うくもあって。
つまりここまで計画的に物語の要素を積み上げている以上、あの描写は確実に『失われる前に、勝ちを確認しておく』描写として機能しているし、今回描かれた輝きが(いったんか永遠かは横において)奪われる展開がこんごあるんだろうな、ということです。
まぁ『試練だけが価値を輝かせる』という物語の基本にプリパラは忠実なので、お話がまとまるラストクールは確実にジュルルとらぁらの関係を大きく揺り動かしてくるとは思います。
が、その前にその輝きを穏やかに、叙情的に確認してくるのは、相変わらず頭が良くて性格悪いなぁと思う。
こういう描写を何気なく(見えるように計画的に)挟むことで、この後待ってるだろう激動はより強く刺さるわけで。
過去の蓄積を活かした今回、今後の展開を加速させる蓄積をまさに見れたのは、プリパラの王道的テクニカルさを再認識させられた感じであります。

細かいクスグリという意味では、ウサギとクマの二大マスコットがいい塩梅にドタバタしていて、笑いを取りつつウサチャを身体的ダメージからきっちりかばう、見事な動きでした。
『仲間を傷つける約束は、変えてもいいもの』という結末に落とすためには、ウサチャにダメージ入っちゃいけないわけで、そこら辺を守りつつ凄惨さを笑いに変えていくウサクマの芸は、なかなか凄いものだと思う。
笑いの力を最大限活かしているというか。
まぁ雨宮レベルに強まったクマの脳内妹妄想力は、パないレベルでキモいけどさ……この世界のギガロマニアックス共は、簡単に過去捻じ曲げるからな、脳内だけで。


というわけで、シャレにならない話題を『既に正解を知っている』というスマートな解法で処理しきった、クレバーな回でした。
インパクトのために極端なキャラを付け、それを話しの都合とすり合わせられない』という展開はあじみでたっぷり味わったので、ペッパーはしっかり制御し、かつキャラ性を捨て去りはしないという、見事なリベンジだったと思います。
トリコロールの決着といい、ホント三期は二期が取りこぼした部分をしっかり拾い上げつつ、自分の物語に活かしている印象。

年後半を引っ張ったノンシュガーのお話も、今回で一つの区切りを迎え、さて敗者復活戦ッ!!
どうやらあじみとコスモが有力候補のようですが、さて3人目に誰を使ってくるか。
そして次回予告から漂うリリカルな風情は、やってくる別れへの序曲としてしっかり機能するか。
色々気に留めつつ、来年の放送を待とうと思います。