ボールルームへようこそを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
額縁から溢れる花に魅せられ、戸惑い、故郷へと帰る。何が本当の望みだったのか、凡庸な少年の必死の踊りが、心を変化させる触媒となる。
超作画回の合間に挟まれた戦略的タメ回なれど、お話の収まりどころをしっかり見せる詩情は馥郁と咲き誇る。良い話だった。
先週艶やかに咲き誇ったまこ、熱狂を生み出す黒子となった多々良。今週は彼らのコールを受け、ライバルたちがレスポンスを返す(競技ダンスなんだから『リード&フォロー』か)回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
多々良のリードはまこだけではなく、ガジュやしずくの心も開放し、初期衝動を思い出させる。
拗れた原因を思い返せば、帰ってくる場所が元の居場所なのに驚きはない。青い鳥はいつでもお家にいるが、そのことに気づくためには長く険しい旅に出なければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
周囲を巻き込むだけではなく、自分の本心も偽った答えに着地しないためには、汗だくの奮闘が必要になるのだ。
ここまで憎まれ役をやってくれたガジュだが、今回は冒頭から豊富に回想を交え、妹とダンス好きすぎ人間の素顔を晒してくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
ああいう始まり方をしておいて、自分に火をつけた妹はショボクレて自己主張のないダンサーになってしまったんだから、そらガジュもねじ曲がるよね、っていう。
ガジュはまこが凄く好きだし、期待もしている。ダンスという特別な体験と出会わせてくれた、大事な妹。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
それが素直にエールを送ったり、支えたりとならないのは、年相応の未熟さと可愛げか。みんな素直になんてなれない。そういう連中の殻をぶち壊せるから、多々良はこの話の主役である。
KD(KodomoDaisuki)としては、まるまると可愛らしい赤城兄妹の幼少期は眼福であった。カワイイだけではなく、まこちゃんが控えめな態度の奥に秘めている熱、それがガジュに伝播し燃え広がった様子が、よく見えたのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
それは、多々良の強さと共通する部分だから。
踊ることで感情を揺り動かし、視線を盗む。競技ダンスの特異性はこれまで幾度も強調されてきたが、それがホールだけではなく、ダンサーとしての生き方に食い込んでいることを、ガジュの回想は教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
それが特別な体験だったから、心が動いたから才能あふれる少年はダンスに全てを捧げてきた。
妹が好きで、ダンスが好きで、一緒に成長してきて、別れることなど思いもしなかったはずなのに、気付けば手を話してしまっている自分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
自分が踏みつけてしまった大事な花は、別の男の手の中で見事に咲き、かつての熱情を取り戻した。その苛立ちが、拳となって自分に向く辺り、ガジュの根っこは素直だ
元々そういう子なのだ。だけど、成長するに従い、周囲に何か言われるたびに、ボタンがかけちがっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
まこを捨て、清春からしずくを奪う決定的な間違いの直前で、ド素人が横入りしてきたことは、色んな人にとってとても幸運だったのだ。そこで初心に帰れる辺り、ガジュの資質でもあるが。
踊りの中で初期衝動に帰還するのは、しずくも同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
『なんで、こんな踊りを踊ってるんだろう』という疑問を、ようやく彼女は抱く。流されてしまった自分のポジション、遠く離れた望みへと視線が向くのは、多々良が火を付けたからだ。
生粋の競技者として、花岡雫はそういう形でしか生きられない。
止絵が多く、動きの圧力で見せられる回ではなかったが、とにかくしずくは良かった。恍惚とした表情のエロティシズム、堂々と肌を晒す背中のプライド。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
最愛のパートナー/ライバルにふさわしい自分であり続けようとツッパる背中は、とんでもない雄度を誇っている。抱かれたい、心底。
そういうハンサムな女の子が、ハンサムで居続けられる理由。パートナーと同等であろうという願いが、ねじ曲がってセパレートにたどり着きつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
そういう捻じれをようやく自覚しても、曲は止まってくれないし、踊りを止める訳にはいかない。汗を絞り尽くすまで、踊りきるしか無いダンサーの生態。
しずくがカッコよくかけていたので、それに目を奪われる多々良の心理、敬意に値するダンサーにふさわしい踊りを返そうという意欲も、スッと入ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
ココらへんが動きでえがけていたら120点だったが、まぁカロリーオーバーしちゃうからな。止絵の美麗さで制御したのは正着だと思う。
多々良は上手いダンサーでも、凄いダンサーでもない。バッチバチの睫毛が特徴的な作画(幼少期ですらバッチンバッチンである)なのに、凡人・多々良の瞳はツルッとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
そういう、華と主張の少ないダンサーなのだ。だが、彼はこの特別な物語の、特別な主役たり得ている。
理由の一つは、しずくが言語化していたように、『火を点けるのが巧い』からだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
感情を毛穴から放散し、他の人の心を動かす。そういう踊りを踊れる天性があるからこそ、彼の歪で下手くそな踊りは人の目を引きつけ、人生を変える。つまんね顔してた清春にまで、火は燃え移っていく。
しかしそうなるのは、多々良がダンスに敬意を払い、出会いを喜び、人を愛することの出来る少年だからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
出会った奇跡に、見せてくれた景色に、全然届いていないけれども自分なりに必死に、報いたいという思い。それが全身から溢れるからこそ、多々良に関わった人たちはみな、心を動かされたのだ。
人格の良さは、採点評価には反映されない。だが点数にならない熱気が、身近な人を変え、何も知らない観客を引き込みもするだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
そういう所のは、経験も実力も足らない多々良はまだ届けていないけれども、道は十分開けている。すでに大切なライバル/パートナーたちが、初期衝動を思い出している。
アニメ化されてみると、多々良が仙石さん好きすぎ人間なのがよく見える。ダンスという表現、自分がしっくりとハマる出会いを与えてくれた恩師を、多々良はずっと目で追っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
見ていてくださいね、と。こんなにあなたのことが好きですから、と。その純朴な視線を、仙石さんも裏切れない。
そんな特別な人と積み上げてきた二ヶ月。本来あるべき場所へ旅立つために、終わるために踊るラストダンス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日
予告の時点で黄瀬和哉の匂いがプンップンする。多々良とまこと仙石さんの二ヶ月がどう結実し、どうアニメになるか。非情に楽しみである。決着と決着の先は、自然と追いついてくるだろう。
黄瀬コンテ・演出・作監は今週でした。思い込みで書いちゃあかんね。訂正します。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月11日