はねバド! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
才能と非才、光と影。バドミントンに本気だからこそ、なぎさが沈んだ闇は深い。周りの人の優しさも、競技への真摯さも、自分自身の思いすらも見失う中で、一筋の光明を求めて…。
ハイクオリティな作画と緻密な心理描写が噛み合い、見事なスポーツ青春絵巻を描いていた。
というわけで、暗く熱くグツグツと煮込んだ青春の迷妄が、出口を見つけて飛び出すまでの第2話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
アニメ版の大胆なアレンジを受けて、お気楽な空気が抜け重たい陰りが覆う北小町バド部。その”タメ”が、なぎさが吹っ切れた時のカタルシスにも繋がっている。
相変わらず作画のクオリティは凄まじく、競技シーンの臨場感、細やかな仕草、キャラを包む世界のリアリティ、どれも素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
ただクオリティが高いだけでなく、明瞭な演出哲学、ドラマの主軸に支えられることで、高い質で思いっきり殴りつけれているのが、パワフル極まりない。
例えば長いトンネルの最終出口である、コーチとの試合。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
バドミントンの思考速度を素早い作画に乗っけて、臨場感を出す。そのリズムを生かして、迷ってるなぎさの鈍重と、プレイからなぎさのトラウマを見抜くコーチの慧眼を対比させる。
それが飲み込めるのは、試合の作画がスピーディでリアルだからだ
細かい技術を知らなくても、絵が説得力を出してくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
なぎさとコーチの差、助言を与えた後のプレイの切れ味。アクションは心情を反映し、ドラマの一部になる。
上げたクオリティを使い倒すのは案外難しいが、このアニメはそういう部分をしっかりやっている。
音響のこだわり方も強力で、シャトルを跳ね返す音、床のきしみが作画とばっちりシンクロし、生々しさを上げている。主張しすぎず、しかし存在感のあるBGMもいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
飛び散る汗の一粒一粒、そこに宿る体温すら感じられるような圧力は、音からも生まれているわけだ。
なぎさが長いスランプに入り、それを周りに当たり散らしてしまう展開。心の長いトンネルは、くっきりとした明暗に仮託される。第1話家らこっち、とにかく暗くて重たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
この二話は、なぎさがそういうトンネルを抜けるまでの話だと言える。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/2WdgOyBL6l
なぎさは色んなものを見失っている。仲間の必死さとか、他人への優しさとか、自分自身の気持ちとか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
体がでかいから、才能があるから。小さな努力を積み重ねてきたはずなのに、周囲は判ってくれない。勝手なイメージを跳ね返すべく続けた奮戦は、道を見失っている。
努力の方向音痴が跳ね上げた泥を、真正面から被った退部組。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月8日
しかし、長いトンネルを抜けるきっかけは、他でもない彼女が作る。
『誰よりバドミントンが好き』
それがトンネルを抜けるための、最初の光明だ。
後でコーチが補強するけど、立ち直るための足場はここで組まれている。
自分に追いつくため必死の理子を蹴り飛ばし、後輩の言葉を曲解し、周囲に当たり散らすなぎさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
闇の中に居続ける彼女の前に、退部した少女が立ち塞がる。一見衝突の形だが、しかしそれは迷妄から覚める一手目で、光の側になぎさは出る。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/43kr59EY78
顔がしっかり見えて、嘘のない本音が届く距離で。少女はなぎさが見失っていた自分、バドミントンの起点を思い出させる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
なぜ努力したのか。なぜ負けたくないのか。夾雑物に惑わされすぎたなぎさが、見えないものを他人は見ている。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/zj9nWwsT9u
闇の奥に差し込んだ、一筋の光明。しかし挫折でひねくれたなぎさの心は、そう簡単には戻ってくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
『バドミントンで損なわれたものは、バドミントンで取り返す』とばかりに、今度はコーチが正面に立つ。
シャトルを交換し、相手の意図を読む中で、彼はなぎさの傷を理解し、自分と重ねていく。
ここは残酷な構図だなぁ、とも思う。理子だって、なぎさの正面に立った。本気で殴って、正気を取り戻させたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
でも、なぎさは判ってくれない。どころか、『手を抜いたでしょ?』などと、最大限の罵倒を投げつけてくる。
理子が超えられなかったハードルを、コーチは実力で乗り越えていく。
この”実力”とは、なぎさを手玉に取るだけのバドミントンの技術であり、なぎさを深く理解する人間的厚みでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
年上である、目上である証明として、あの試合シーンは本当に良かった。指導者として教育者として、上に立つだけの資質がコーチにあることが肌でわかる。
それと同時に、シャトルを交換する中で魂も交換し、対戦相手に正対することで自分も見えてくるバドミントンの深さ、素晴らしさも見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
メインテーマに選び取った競技は、そういうモノを顕にしてくれるのだと、この話数で描けたのは本当に強い。『バド、すげぇな…』って気になるからな。
同時にバドミントンは、ただただそれが好きだったりなぎさを歪め、努力と才能の方向音痴に迷い込ませる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
真剣に悩んだからこそ、道が見えなくなってしまった。どこに行けばいいかわからなくなってしまった。それだけの魔力が、バドミントンという競技にはあるわけだ。
しかしその迷いは、優しさや正しさで払うことが出来る。歩み寄るコーチの目を真っ直ぐ見て、言葉を受け取って、なぎさは自分自身に出会い直す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
体格だけだと思われたくないから、努力をした。
才能だけのやつに負けて、足場がなくなった。
不安定な自分をごまかすために、周りを傷つけた。
そんな長いトンネルから抜けるシーンなので、体育館は少し明るい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
故障によりオリンピック候補からはじき出されたコーチは、なぎさと同じ痛みを知っている。
バックリ開いた心の傷にどうにか蓋をした先輩として、言葉とシャトルを届ける。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/MsXtw50kF0
言葉と共感をラリーしていく時の、なぎさの表情変化が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
だんだん光が増えてきて、見失っていたものが顕になる。そんな心の変化が、ちゃんと顔に乗っかっている。瞳の曇りが取れたから、会心のスマッシュも刺さるのだ。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/N38lxrJtNV
長いトンネルを抜けたなぎさは、荒れてた自分を見捨てないでくれた理子に、まず向かい合う。部室のロッカーに、陰りはもうない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
その和解を受けて、なぎさは部員に謝罪し、部全体も光の中にあるき出す。みんなのホッとした表情も良い。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/QZP4xU5Wnv
何気ない言葉に傷つき、自分を追い込んでいった思い出は、抽象的なモノトーンだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
その果てにある現実は、ずっと薄暗い。しかし、光はどこかにある。それは強くなったり弱くなったり揺らぎながら、心と行いを照らし続けている。 pic.twitter.com/hK4wcR4TDV
あのモノトーンの風景は、なぎさの心象だ。薄暗い中に光もある世界を、なぎさはずっと見れていなかった、ということだ。心の中に閉じこもって、世界を灰色にしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
喧嘩別れしても本音をぶつけてくれる相手。導いてくれるコーチ。荒れていてもそばに居てくれた仲間。バドが誰よりも好きな自分自身
色んな人に出会い直すことで、なぎさの世界は色と光を取り戻す。そこに追い込んだのもバドミントンなら、そこから引きずり出したのもバドミントンだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
最強のスマッシュという、自分の証明を取り戻したなぎさは、今後仲間と一緒に戦いに挑む。素晴らしいリスタートだ。
けども。もう一人の主役である綾乃は、なぎさの再建に全然関わってない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
才能鼻にかけた、流されるだけのイヤミな女。
部員が共有するなぎさのドラマは、手を重ねる行為で確認されるけども、綾乃はそこに全然気が乗っていない。他人事である。熱くうねるドラマの蚊帳の外である。
これはおそらく意図した配置で、なぎさが向かい合った影と光は、綾乃の中にも当然ある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
嵐の中でも切れなかった、あるいは切れてもどこかで繋がっていた、部員となぎさの絆。
綾乃は今後のドラマの中で、それを創ったり思い出したりする立場にある。
その他
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
なので今は、存分萌キャラムーブしたりポカン顔したり、である。そのうちすげぇ修羅顔晒すことになっからぜってー。
なぎさの晴れ晴れとした表情に対照して、強く陰っている顔を写しておく手際の良さ。ホント再構築凄いな…。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/NN69AbCyv5
むしろ綾乃より、モブ扱いの部員に対する目配せのほうが、強いパワーを放っていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
原作だと目立たない男子部員の試合が、非常に気合を入れて書かれている。そこを抜かないことで、競技とキャラへの敬意が良く見える。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/uPA5vKinMw
ここで葉山後輩が、負けて本気で悔しがってる所が好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
バドが好きだから勝ちたい、負けたくない。たとえ練習形式でも、格上の相手でも、諦めたくない。
そういう気持ちは、なぎさも理子も持ってる。綾乃からそれが見えない所が、なかなか面白いわけだが。
ドラマの主人公になっても、ならなくても。競技をリスペクトし、本気でやるは主役だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
今回モブ達に与えた見せ場の量、作画のカロリー、ドラマの立ち位置は、このアニメがそういうつもりでスポ根ドラマを進めていることを、しっかり証明してくれたと思う。
モブ達が主役になる舞台として、コンビに前のベンチが仕事をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
肉を与える、奪う。なかなか扱いの難しい退部組が、なぎさとバド部をどう思っているか。気楽な場所だが、そこで交換される思いは繊細で、力強い。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/PA8QuS1dKK
ここの映り込み作画は、ほんとに凄い。単純なクオリティとカロリーにも驚くけども、不鮮明なドラマを反映して、あやふやにガラスに人が移ろう様子が、きれいに演出の補助線になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
”肉”という小道具も良い。汗の作画が良いから、動けば腹が減るキャラと世界観の生っぽさも、よく出ている。
最初は肉を押し付けて/頑張れとエールを送っていた退部組が、なぎさと正面衝突して本音を言って、問題が落ち着いた最後のコンビニでは、肉を奪う/自分たちなりに頑張ってると答えを返す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
コンビに前の小劇場は、主役にならないキャラクターの必死のドラマを、いい形で板に乗せてくれていた。
全てが決着した後、店内には明かりが灯り、ガラスはあやふやな姿を映さない。肉を食って、部活に勉強に、それぞれ頑張る主体を鮮明に見据える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
思い込みから飛び出して、ありのままを受け取る。
肉を齧る。
テーマと噛み合う、見事な演出手腕。
©2018 濱田浩輔・講談社/「はねバド!」製作委員会 pic.twitter.com/QZYQbtrx8j
座り位置や構図による関係性の表現も、相当に鋭い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
アクション作画だけで終わらない、クオリティの高さと使いこなしで殴られるエピソードとなった。
スポーツを外れた青春のドラマ。そのセッティングや芝居が非常に優れたアニメなのだなと、確信できる第二話だったと思う。
後輩や退部組を骨太に描くことで、”部活”としての空気や質感を、しっかり出せていたのも良かった。競技は個人が結果を出すが、同時に”みんな”でやるものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
それを蔑ろにしてしまったなぎさが、ちゃんと『ごめんなさい』と言えるまでの物語。
それを言われるだけの価値が、”みんな”にちゃんとあること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
それを大事に、競技と青春に向かい合っていくアニメなのだということを、この冒頭二話で強烈にスマッシュしてきたと思います。
それが視聴者に届くだけの熱量とクオリティ、昂奮がみっしりと詰まって、いやはやこのアニメ、スゲェぜ…。
そんなうねりに取り残され、エレナおかーさんに介護されっぱなしの主役。試合煽るだけ煽って、綾乃が乗ったらバド部に強引に入れるあたり、エレナも『バドが誰よりも好きな綾乃』が好きなんだな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
アニメ版で序盤を再構築した結果、主力選手以外の存在感上がったのホント良いな…。
ラストに顔見世した、生まれる世界を目違えた外見の女。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年7月9日
彼女が綾乃の闇を掘り下げ、自分と向かい合うための鏡になってくれるか。
フラッシュバックする綾乃のトラウマは、いかに切開されるか。
いやー芹ヶ谷さん美味しい仕事しそうで、マジウキウキだわ…ピンクツインテ浮いてるけどさ!!