風が強く吹いている を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
始まったときは夢だった。乗せられたのは嘘だった。走って、迷って、ようやく頂が見えた時、それに気づいた。
本音を言えば、まだよく分からない。なぜ走るのか。その先に何があるのか。だからこそ、ただ走っていきたい。
風が強く吹いている。
そんな感じの箱根直前、予選を超えてのモチベーション維持、ここまでの歩みが作り出したものの意味を問う第17話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
一気に時間が飛んで次回は箱根開始なわけで、ここでタスキが目指す先と、物語全体のテーマ、これまでの歩みを洗い直す感じのお話となった。ペース落とすのはここが最後かな?
このアニメは汗と根性が躍動する疾走シーンと、ゆるっと青春する日常群像劇のシーン、両方の切れ味が鋭い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
走ることは日常の延長線上にあり、走ることで日常の関係性が変化していく。歩いているように見えても、むしろそのスローペースの中で力強く、人格と距離感が変化する。
おそらく最後の日常となるだろう今回は、ここまで積み上げてきた物語が何を生み出してきたか、それをジャンプボードにして青年たちがどこに走っていくかを、ゆっくり描くお話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
焦点はアオタケの十人全て。それぞれ成熟の度合いが異なり、見えてる世界も目指すものも違う、バラバラの個性たち。
本戦出場という結果を出してしまったアオタケの面々は、物語が始まったときのド素人では、バラバラの他人でもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
アスリートらしいストイックなメシを、みんな一緒にかっ喰らう。今回の食卓を、ガチャガチャ衝突していた頃と並べると結構面白い。
©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会 pic.twitter.com/puW2YC1Ucd
あとで読売本社前に立った時、体が冷えるの緊張しそうの、自然とアスリートの視点でモノを考えているアオタケのランナーたち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
バナナは一本必ず食って、体作りの燃料にする。胃袋をがっちり掴むハイジおかーさんの仕事は変わってないが、それを受ける子供らが…https://t.co/zfCqW3iP2n
変わったとも言えるし、変わっていないとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
双子は久々にガキっぽいところをむき出しにし、カケルはむっつり輪から外れていた時代からは想像もつかない無邪気さで、仲のいい兄弟のように双子と言い合う。
それは、カケルが自分の弱さも信念も預けれる、真の仲間に出会ったから生まれた変化だ。
既に『ド素人からの箱根出走』という大きな嘘をついてしまっている常態で、このアニメは『さらに優勝』という嘘を重ねないと、今回の話で宣言する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
双子はそれに反発する。それは勝ち負けに拘るというより、敬愛するハイジに嘘をつかれたという、やっぱ子供っぽい思いがあってこそだろう。
ハイジももう、言葉を飾る必要がない。答えをまだ見つけていない自分を素直にさらけ出して、走ることで、タスキを繋ぐことで答えを掴もうと、静かに呼びかける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
未だ、道の途中。物語の序盤では、全てが見えているような顔で仲間(とお話)を引っ張っていたハイジも、答えを知らない。
その事実を素直に口にできるようになったのは、やっぱり良いことだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
言葉では伝えきれないもの、止まっていては見えない景色を探して、ハイジは仲間を巻き込み、自分の信じるチームを鍛え上げた。速さより強さを追い求め、弱さを爪弾きにしない戦いを選んだ。
それが正しかったのか、否か。その答えも、箱根を走ることで見える…かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
ユキが言っていたように、生きることに答えはない。問い続けること自体に大きな意味があるとするなら、答えが出ないことは誤ちではけしてないのだろう。
だから箱根が終わっても、ハイジの疑問は解けないかもしれない
トップにはけして追いつけない。シード権を取っても後には続かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
そんな状況で、なぜ走るのか。その答えは、走ることでしか見えてこない。走る中で、自分たちが走ってきた道、生まれた変化、これから生まれる未来を見据えていくことでしか。
今回の箱根ドライブは、そういうモノを追走していく。
その度、強く風が吹いて髪を揺らすのが、とてもいいなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
汗水たらしてアスファルトを走り抜けていくのは、まだ先の物語だ。
でもこの段階で風は吹いている。彼らをまとめ上げた風、新しい自分に出会える期待感は、物語の始まりから吹き続けている
©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会 pic.twitter.com/FQskIped2m
それは彼らを箱根の頂に連れて行って、もう一度大手町に返すだろう。その時、どんな答えを…どんな新しい問いをそれぞれ手に入れているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
それはまだ分からない。ただ、今までがそうであったように爽やかで力強い風が、必ず吹くことは理解っている。それを確認するためのドライブだ。
今回は全体的に年齢差を強調する演出が強い。双子とカケルはガキっぽく、卒業組はどっしり大人だ。オッサン過ぎて、コーチと間違えられるくらいに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
少し年上のムサが、純朴さを失わないまま非常に冷静に、自分への偏見を受け流すシーンが良すぎる。お前、マジ立派だよ…。
みんなそれぞれ心のあり方は違って、それは物語が始まったときから変わらない。王子は王子らしく、忙しそうな神童を助けはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
でも、うっかり『手伝いましょうか?』と口にしそうになるくらい、王子も変わった。
揺るがないもの、風に吹かれて転がっていくもの。様々なものが、人を形作る。
箱根へのイマジナリー・ランが開始する時、全員が同じ風景を幻視する(のと、それがリーダー・ハイジの一喝で消える)のが好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
バラバラの連中が、一つどころを見つけるまでの物語。最高の赤い夕日を、涼しげな風を頬に浴びるまでの物語。
©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会 pic.twitter.com/7Vnw11yUzc
双子はそのサークルから少し離れて、ワガママな、でも今言っておくべき想いをぶつけていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
かつてのカケルが担当していた爆弾役を、同い年の双子が背負う形になるのかな?
なぜ走るのか。その答えはもう出ているし、その上を走ってきたから、これからタスキを繋ぐ。https://t.co/qBEYHM8cFZ
そしてそれは、言葉を超えた走りの中で、孤独に、そして仲間と繋がりながら走ることで、一人ひとりが見つけるしか無い。それが他人と繋がりうるものだからこそ、彼らはチームとして、今ここにいるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
そんな曖昧なものに、双子は納得しつつ不満げで、子供のまま遊具で遊ぶ。
可愛い可愛い葉菜ちゃんとのかすかなロマンスを匂わせつつ、赤い三角形のレイアウトが鮮明な、夕焼けの公園。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
それはユキやニコチャンやハイジが親父役、母親役をやってくれるからこそ遊べる、自由な子供時代最後の輝きだ。
©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会 pic.twitter.com/uF59bbGqol
葉菜ちゃんという”外部”と話すことで、双子は自分たちがどこへ向かい、どこを歩いてきたのかを納得していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
最初は少し距離がある三人が、言葉を重ねるごとにだんだん近づいて、それでも”走る”双子と”走らない”葉菜ちゃんの間には無限の距離があって、その切なさと美しさに葉菜ちゃんは泣く。
ランナーをただ見守り応援することしか出来ない、だからこそ走る者たちに夢を託し眩しさを感じる”観客”の視座を、非常に印象的に焼き付けるシーンだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
各キャラクターの『らしさ』、それが組み合わさって生まれた歴史を追いつつも、こういう風通しを忘れない所が俺は好き。
流れた時間と変化という意味では、カケルと言葉の付き合い方も今回、静かに振り返られていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
かつて『言葉をうまく使いたい』と願った青年は、回り道を必死に走って、今回様々な想いを確かな音に変えていく。https://t.co/ZOBlKOdqRW
双子との幼稚な口喧嘩はご愛嬌として、その双子が思い悩む『答えが見つからないまま走る意味』に、『場所がどこだろうと、ただ走るだけ』というアンサーをしっかり返せていたのは、大きな成長だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
仲間は茶化していたけども、それは気安い照れ隠しというか、今のアオタケの風通しの良さというか
僕がそうだったように、あの車の中の仲間は皆、エースの言葉に感動し勇気づけられたと思う。衒いなく本心を言葉にした不器用な男に、心を動かされたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
それは無言の走りと同じように、人の心を動かしていく。そこに風は生まれていくのだ。そういうモノを、カケルは掴んだ。
カケルの口から出る訥々とした真実に対し、まーた顔を見せた榊の煽りは軽薄で、濁った風しか生み出さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
少し煽りに余裕が見えてきたように見えるのは、A/Bに選別されるサバイバルレースを勝ち残り、『走る価値のある強者』と環境が認めてくれた安心感故か。
アオタケには、榊が取り囲まれているものはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
陸上にすべてを賭けるのが当たり前の価値観。抑圧的な上下関係。部内部で勝ち組と負け組が分かれる競争。トップに食いつけるだけの希望。
多分、持たざるモノの方が多い。でも、榊よりアオタケの10人のほうが気楽で、嘘がなく、幸福なように描いている
ハイジが作り出したアオタケが、あえて手放した沢山のもの。その身軽さが何を生み出し、榊が背負ったものがどんな重さなのかは、結局走ることでしか確かめられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
その前段階として、曖昧な輪郭を確かめるのが今回のお話の、大きな仕事だろうな、とも思う。
榊を前にアオタケが言い返さなかったのは、言葉が何も証明しない領域に、アオタケが足を踏み入れているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
速くではなく、強く走ることを選んだ者たち。その果てに生まれる速さでしか、証明できないものを追う青年たちは、言葉以外の手段で、榊の言葉を乗り越えることを選んだのだろう。
それが見えるのも走りきった後であろうし、誰も周りにいない孤独な挑発を繰り返す榊と、10人で夕焼けを見ているアオタケの対比で、既に答えは出ている気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
高校時代の長い影を振り払えず、過去に縛られ続ける榊。
運命と出会い、必死に駆け抜け、自分と世界を変えたカケル。
とはいうものの、カケルだってコーチぶん殴ったままの直情人間のままだ。ムサに心無い言葉をかける他人に、思わず言い返そうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
そんなカケルに、少しにーちゃんなムサは静かに、『自分は大丈夫だ』と伝える。
©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会 pic.twitter.com/LD5UmUQllS
二人の足はどっしりと地面を踏みしめ、背中には町内会の支えと期待を背負う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
無責任な無理解に傷つけられ、過去に縛られた悪意に晒される事もあれば、道を示し己を支えてくれる特別な運命にも出会える、不思議な世界。
その裏腹な在り方を、夕焼けの商店街のローカルな詩情で見せるのが良い。
ほんと陸上満点人間零点だったカケルくんが、ムサの真っ直ぐな言葉を預けられるだけの信頼をチームと作り得たこと、それを素直に受け止められるだけの人格を育てたことが、今回の静かなやり取りでしっかり見えて、ホンマ…ホンマ僕は…って感じだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
横幅広く色んな人をスケッチする今回、カケルだけじゃないみんなの成長と変化、たくましく育ちつつも失われない個性が色々見えて、本当に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
ユキの減らず口がいちいちIQ高いところとかマージ解像度高くて最高なんだよなぁ…喜安さんの理解度はマジですげぇよ…。
そんな旅路を歩いて、遂に頂きに挑む者たちの前に、夕日を背負って立ちふさがる王者。藤岡さん、アンタ20代の貫禄じゃないよやっぱ…私服だと更にね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
来週、夏合宿の激エモを経たカケルとどういう会話するかは楽しみだなぁ。
©三浦しをん・新潮社/寛政大学陸上競技部後援会 pic.twitter.com/0iRyQVwnKU
過去と現在と未来、確かに歩いてきた道。既に手に入れているようで、未だ見えない謎と答え。しみじみこのアニメの”これまでとこれから”を描いたいい話をイイハナシで終わらせないのも、このアニメらしさである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
ここでハイジの膝の爆弾を強調し、強いヒキで来週まで引っ張るのはほんと流石。
毎週お話があるシリーズアニメの特色を理解し、毎回毎回楽しみなヒキを用意したのは、ホント再構成の妙味で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
物語を牽引するサスペンスの見せ方が上手いからこそ、それが爆裂する瞬間の破壊力、解決した時の達成感も素晴らしいものになる。
毎週アニメを見るためには、そういうパワフルさが大事だ。
それはこのアニメが始まったときからのフォームであり、最終盤が始まるこのタイミングでそれが崩れていないのには、強い安心感を覚える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年2月13日
いやまぁ、あんま安心もできねぇんだけどさ怪我は怪我だし…ほんと揺らしと安定のバランス、交互に殴りつける手腕の巧みさにはビリビリ来ます。来週も楽しみ。