鬼滅の刃を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
鬼切の刃は、血で鍛える。藤の地獄に子供を投げ込み、生きたものだけ育て上げる。獄卒も青ざめる苛烈な卒業試験が、ついに終わった。
慈悲の刃で首を跳ね、思い出の残り香を嗅ぐ。鬼とも言葉を交わさんと、刃を止める炭治郎。黒刃も仕上がり、初陣が迫りつつあった。
そんな感じの卒業試験終了! ちょっと休んで初仕事! なエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
手の鬼の首を跳ね、鬼すら忘れていた原初の記憶を見る。死に祈り、鬼に刃ではなく言葉を投げかける主人公の気質が、よく見えるお話であった。
大悲の心を自然と体得している炭治郎は、鬼殺隊に向いてるか、向いてないか…悩むな。
手の鬼は怪異な容貌、異常な能力、どす黒い狂気と因縁を混ぜ合わせた、とても良い悪役だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
鬼は人を喰うほど強くなり、人を止めていく。人間であった時代の思いは薄くなり、殺すことでしか止まらない怪物になってしまう。
鬼を滅して、輪廻の輪に返す。鬼滅の刃が目指すところは、そこにある。
はずなんだが、人外との殺し殺されは綺麗事ではなく、戦場で人であり続けることはとても難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
純朴な性根、鮮明な感性で人間性を維持し続ける炭治郎の特質は、血塗られた道故に輝く。鬼殺しの戦士より、僧堂に入れたほうが大衆のためにはなると思う…ぜってぇ高僧になる。
しかし刃を握ってしまったからには、言葉ではなく刃で鬼を救うしか無い。法でもって救う菩薩道ではなく、剣で切り裂く険しい明王の道を、炭治郎は選んだ。あるいは、運命によってそこに追い込まれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
まぁ少年漫画なんで、バトルは大事よね。(メタ領域からぶっちゃけてダイナシマン)
炭治郎は鬼だけではなく、人間の因縁も救う。かつて現役の鬼殺隊だった鱗滝さんが、乗り越えられなかった運命。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
児童十三人殺しの悲劇を、炭治郎はあの時の鱗滝のように、華麗に切り裂いていく。
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鬼が最後に見る現世の景色は、憎悪に歪んだ戦士のものではなく、哀しみを嗅ぎつけた慈悲の表情だ。『鼻がいい』という特質を、鬼も忘れていた過去の人間性、その探知に使う所が巧すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
炭治郎は特別な能力で、大抵の人が忘れている哀しさを嗅ぎ分ける。
鬼は、かつて人であったのだ。
”手”の鬼は鬼に変じ、孤独悩みに投げ捨てられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
手を引いてもらいたかった。握ってもらいたかった。そんな気持ちは、兄を食い殺したあの時に摩滅し、もう思い出せない。首を切り離され、人のように死ぬ瞬間までは。
その時、害獣を見下す目線ではなく、人の哀れさに共鳴する視線が届いたのは。
差し出した手を握ってもらえたのは、手の鬼、最後の救済であったように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
己を食いかけた妹を信じ、食わせなかった炭治郎。その姿は、手の鬼が食ってしまった兄と、どこか共鳴する。
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死にゆく鬼の、目に涙。生き残る人の、額に血流。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
殺し殺される関係でしか無いはずの鬼と人に、炭治郎は人と人の関係を見据える。その理性と仏性は、今後彼を苦しめ、追い込むだろう。だからこそ、投げ捨ててはいけないものなのだ。
鬼を殺せば、仏に帰るのか。鬼滅の刃は、最後の救いか。
その真実はわからないが、炭治郎はそう信じて刃を振るう。怪物の手を握り、あくまで話し合おうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
その言葉が届かず、禰豆子を人に戻す手立てが掴めなくても、炭治郎は諦めない。殺されることなく、殺しに溺れることもなく、斬っては嘆き、ため息を飲み込んで立ち上がる。強い少年である。
霊沈めの霊石に集った、十三人の犠牲者達。己に道を示し、鬼に殺されない…鬼の迷妄を切り裂き救う手段を教えてくれた、兄弟子達。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
それも施餓鬼の水を受けて、仏へと帰っていく。鱗滝が待つ”家”へ。それもまた、幻想かもしれないが…優しい夢だ。
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生き残ったのは、たった五人。あまりに厳しい選抜に、炭治郎は救いきれなかった哀しみを嗅ぎつけ、すまなく思う。お前の慈悲心はどんだけ広いの…身の丈に会ってない、ってわけじゃない所が、恐ろしいよな…守りきれそうな気配が、確かにある。良い少年漫画主人公だなぁ…俺炭治郎好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
太陽の剣の材料となる、ヒヒイロカネ。あるいは言葉を伝える鎹烏。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
一人前の鬼殺隊が貰い受ける特殊なガジェットを、通過儀礼をくぐり抜けた子どもたちが拝領する。
烏との向き合い方で、四人のキャラが見えるのが好き。女の子だけ”汚れ”がないね
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『一人雀の金髪クンは、鬼滅の本道から外れたトリッキーなキャラなんだろうな』とか『でも、異質なものを蔑ろにしない心根なんだな』とか、『モヒカンくんは荒々しく、鬼を殺すことに捕らわれているんだな』とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
蝶使いの少女は、異質なものとまっすぐ向き合いすぎて、社会と接点がないか?
つーか『五人生存!』って報告してんのに、ここには四人しかいないじゃん!
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
五人目はOPで元気に走り回ってる、猪の少年なんかね。連載が軌道に乗ってきて、キャラがモリモリ増えていく感じいいぞ~。やっぱワクワクすんね。
炭童子の頭を乱雑に掴む少年を、炭治郎は実力で止める。人を暴力で蔑するやつは、どんな相手でも許さない。弱いやつは守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
炭は火がつくと、よく燃える。戦士としての炭治郎の苛烈さ、兄としての強さが見えるシーンだ。
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時代を大正に下げたことで、大時代なマチズモ…錆兎いうところの『男として!』な義侠心が、世界観から浮かび上がらずすんでいる気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
弱きを助け、強きを挫く。”家”への強い帰属意識と合わせて、作品の背骨になっている”当たり前”は、今ではホコリまみれの価値観かもしれない。
しかし”家”で叩き込まれたその倫理があればこそ、炭治郎は慈悲と憤怒を両方背負い、正しいことを迷わず行える。その真っ直ぐさが、とても眩しく頼もしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
自然と仏心が宿ってるのも”時代”だなぁ、と思う。損なわれたものの最上の部分を、上手く主役に背負わせてる印象。
さておき、暴力に溺れれは人は鬼に変わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
子供を贄に戦士を選びだした鬼殺隊は、そういう荒廃を内包している組織だ。
炭治郎の慈悲、鬼を人に戻すための制御された暴力は、モヒカンの少年にも及んだ。この衝突が、彼をどう変えるか。再登場が楽しみである。
己に相応しい鉄を選び取った炭治郎は、家路を進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
身体は痛む。足は進まぬ。それでも、一歩ずつ前へ、”家”へ。
因縁の地獄を切り裂き、無事帰り来た弟子を抱きしめ、鱗滝左近次、男泣きである。そら泣くわな。
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禰豆子はボロボロに傷んだ兄を抱きしめ、流れる血を啜るのではなく止める生き方を選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
兄が”外なる敵”として鬼を斬るのに対し、禰豆子は”内なる敵”としての吸血衝動、殺戮衝動と闘い続けている。その現れが”眠る”ことなのは”禰豆子=ねずこ=寝ず子”という名前に対し、なかなか皮肉だ。
炭治郎が身につけたのが”水”の呼吸なのは、やっぱ面白いなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
子供と魂を通わせ、戦士に鍛え上げる。技芸の完成を喜ぶべき通過儀礼は、手の鬼によって殺戮の宴と化した。
送り込む度、殺される。祈りは呪いに変わり、宿命は涙腺を重く縛る。
師匠直伝の水面斬りは、泣けない天狗の心も斬った。
仮面の下に隠した涙に、どれだけの年月、どれだけの想いが詰まっているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
育手として、手の鬼の贄を育ててきた日々が無駄ではなかった。
子どもたちの成長は、無駄に食い散らかされるための餌ではなかった。
自分に成り代わり、自分の技でそれを証明し、因縁を斬ってくれた炭治郎。
彼への誇らしさも交えた、天狗の涙、熱い雫であったように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
手の鬼の記憶を最後に蘇らせたように、炭治郎の水の剣技は人間の大事なもんを蘇らせ、浄化すんのよね。
主人公に水属性。バトル漫画としては奇手だと思うけど、人格とキャラクター考えるとバッチリだなぁ…面白い。
闘い済んで日が暮れて、心安らぐ”家”に帰り着いた炭治郎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
ひょっとこ面のトンチキ鍛冶も押し寄せて、ちょっと一息ブレイクタイムである。ギャグシーンがハイテンションで、ちゃんと面白いのは良い。
笑いで緩んだ腹筋を、ヘヴィな因縁でズドンだ!
…そういう落差だけじゃなく、人の喜びがある笑顔ね
ひょっとこは”火男”なので、鍛冶屋には相応しい面だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
刃の色は、魂を写す。武器でキャラも表せるし、良い設定だなぁ…今後追加されるキャラも、これで飲みやすくなるし。
炭治郎は黒。まぁ炭焼の息子だからね。
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試練をくぐり抜け、自分だけの刃を手に入れた炭治郎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
鬼殺隊としての初仕事は、少女をかどわかす姿なき鬼狩り。妹大好き人間である炭治郎、同年代の乙女を食らう悪鬼には、穏やかではいられないだろう。
ここまで”山”で展開してきた物語が、”街”に舞台を移す。そこで何が描かれるかも楽しみだ。
そんな感じで、序章終了の趣があるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
自分は仏教に興味があるので、その文法で作品を腑分けしているわけだけど、存外外れた視線でもねぇかな、と思う。
とにかく炭治郎が慈悲を知っている。言葉の使い方を、刃の技芸と同じぐらいに大事にしている。その癖、足を止めない。
眼の前で鬼に蹂躙される人がいれば、切ってでも止める。人であった頃の記憶を失った哀れさを嗅ぎ分けつつ、自分の手で”死”を引き受ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
あるいは人が人でなしになってしまうことも、豪腕で止める。
時に荒々しく、時に優しく。正しいことを正しく行える彼は、その言葉本来の意味で徳が高い。
修行時代が無事終わり、鱗滝一門の無念を無事果たした炭治郎が、今後どんな理不尽と向き合うのか。水の刃は何を斬るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) May 8, 2019
その過程で、どんな人々と出会い、魂を通わせるのか。今回袖摺りあった四人の同期が、どんなキャラなのか。
まずは、女衒の鬼を追って”街”へ。来週も楽しみ。