スタミュ -高校星歌劇-(三期)を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
何事も程々、欲しいのは利益。クールな現実主義者のサードマン、南條聖。
冬沢先輩とのパイプを利し、冷たい着地点を探す動きに、北原が揺れる。カンパニーが乱れる。
変わっちまったのは、俺かお前か。
やっぱり夢を諦める方法は、みんな知らないのさ。
という感じの華桜会攻略一休み! カンパニーの異分子を地ならしし、秋冬攻略拠点を作ろう!! というエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
二期で上手く使えていなかった南條というリソースを、三期の新要素に繋げつつキャラを掘り、カンパニーの退路を断つ。相当に盛り沢山な話だが、みっしり楽しめた。
スタミュは星谷くんの無鉄砲が、クール気取りの顔の良いキッズに火を付けて、世界も人間もどしどし変わっていくのが面白いアニメだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
一期ならteam鳳が一つになり、team柊と競い合いながら判り合っていく過程。先輩たちの事情に切り込んでいく面白さ。
二期なら孤独な天才の揚羽に切り込み、クールな北原を変えていくダイナミズム。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
そういうところから、南條は切り離されていたように思う。
滲む毒がうまく色を付ける、便利な北原の相方。場繋ぎの壁役。
正直、そのくらいしか印象がないキャラだった。(声が武内くんなので+が三億点くらいあるけど)
その”描かれなさ”はしかし、三期においては強みで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
降って湧いた新華桜会と繋ぐには、既存のキャラは既に描かれすぎている。色んなキャラとの繋がりが既にあって、お互いの凸凹がハマる特徴も埋まっている。
だが、どっかで切り口を作らないと物語が新キャラに浸透していかない。
比較的人の話を聞いてくれる春夏は”アツさ”と”お互いを思う気持ち”を共感ポイントに関係を作れたが、ハードコアな性格を乗り越えるべき壁として設定されている強敵、冬沢はなかなか取っ掛かりがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
『あるじゃねぇか…”未踏の大地(テラ・インコグニタ)”ってやつがよ!』と言ったか言わないか。
南條に中学時代の因縁をつけ、リアルでネガティブな立ち回りで接近させることで、冬沢攻略の第一歩とする。ついでに千秋との接点も作っておいて、彼のキャラも見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
そして今まで見えなかった南條の内面、北原との繋がりも彫り込む。熱血友情路線以外の、シビアで冷たい切り口の話もやる。
今回の南條起用は、物語的要請を幾重にも乗りこなす見事な一手だし、そういう計算だけで終わってもいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
南條聖がどういう人物で、どう変わったか。北原にどう突き刺さり、今までの物語は彼にどう作用しているのか。
押し合いの中で、ちゃんと人間の顔が見える展開となった。
僕(もしかしたら僕ら)がスタミュで何がイヤかっていうと、演劇に本気じゃない瞬間がイヤなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
とにかく、舞台クレイジーでいて欲しい。色んな温度、色んな色彩は当然あって、その多彩さがカンパニーの豊かさに繋がるんだけども、ステージにかける思いはシリアス&ホットでいて欲しい。
何条の現実路線は、そういう願いを冷たく跳ね除けて、夢を弾く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
もしかしたら、”こなす”やつがこの作品世界にいるかも知れない。そういう疑念は、自分の中で積み上がった作品像を壊す。
だから、南條にもどこかでバカになれる、舞台と仲間への感情があって欲しい。そう願いながら見ていた。
そんなハラハラを引っ張りつつ、しっかりラストに解消するお話になっていて、非常に安心した。やっぱ演劇バカこそ信頼できるな!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
作中一番のバカである星谷に当てられて、北原も揚羽もバカになった。バカである自分を思い出した。
その熱量が、ちゃんと南條に届いていたことが嬉しかった。
冬沢先輩は中学時代の、怜悧な現実主義者しか知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
出会った後の一年半、どういう熱量が男を変えたか解っていないから、南城に袖にされる。負ける。
そんな関係性の変化が、冬沢先輩の”つけいる隙”をUSBの形で引っ張ってきて、話も大きく転換しそうだ。
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南條の現実主義は、演劇バカの中では異物だけども、一般的価値観からは常識でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
そんな当たり前の視座を一回俎上に載せること、それを諦めることで、ただ夢に向かって突っ走るだけの物語より、公平さが担保された感じもある。
バカなのは知ってる。でも、やるしかねぇんだ!!
そういう気持ちで14人、一丸となって奇跡を目指すほうが、夢で全部塗っちゃうより安定すると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
夢に意味なんてない、現実見なよ。
イラッとくる南條の指摘を、しかし一理あると一回考えることで、それに背中を向けるとしても奥行きが生まれる。話に立体感が出る。
そういう意味でも大事な話だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
無論、南北コンビの心のすれ違い、”昔の男”の影が伸びるダークネス・ロマンスは最高であった。感情…ッ!
やっぱクールガイが仮面を投げ捨てて、不器用な言葉で真実を突きつける瞬間は最高なんだよなぁ…。
すっかり純朴ロリっ子となった揚羽が、『なかま! だいじ!』とひらがなで思いを伝えるシーン(幻覚)も素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
揚羽は二期での仕事も大きかったし、星谷から受け取った変化も強いキャラ。苛立ちつつ、それでも仲間として自分の大事なものを差し出す熱量が良かった。
もともと意識的なレイアウトが目立つスタミュだけど、今回は特にビシッとキマるシーンが多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
闇の中思い悩む星谷に、『来ちゃった…』ってオーラで寄り添う柊。共有される温かい飲み物、光に満ちた部屋。
『波風高いがなんとかなりそうだぞ!』という空気が生まれる
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隔離されつつもポジティブな二人のリーダーに対し、南北コンビは一生影の中、背中合わせである。
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今回はステージでも、お互いがお互いを向き合えない距離(Distance)が維持され、演出モチーフとなっている。
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現実世界でも、幻想の舞台でも、二人は背中合わせにすれ違い、距離を離していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
現実の掲示板、夢を飾る色彩のポスターが、北原側にあるのは面白い。
豊かな色合いの夢は、この段階の南條には遠いわけだ。しかしそれはガラス越しで、北原にもまだ掴めない。
後に南條が『俺も演劇バカだったわ…バカになってたわ!!』と昔の男に三行半、ダチと関係を再構築した後は、向き合って”熱い”お茶を受け取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
それはただの飲料ではなく、南條が秘めていた情熱そのものでもあろう。
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カーテンという縦の境界線を乗り越える特権は、クライマックスまで維持されて、二人(とカンパニー)は隔離された冷たい距離を維持し続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
白鳥と黒鳥、似てるのに決定的に違うモチーフを背負い、思いを吐き出したステージの後。冷たい距離感が画面に焼き付く。
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巨大な幹がカメラを覆って、暗がりの中でも光を放っていた掲示板を覆い隠すのが、お互いの距離感を示して巧い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
北原から見れば相棒の気持ちがわからなくなった無明であるが、南條としても、実は既に熱に浮かされている自分とカンパニーの距離を、見失っている演出でもあろう。
この後は千秋、揚羽と接触していくが、決定的な踏み込みは行われない。それは”ダチ”である北原の特権として、クライマックスまで保持されるわけだ。
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しかし千秋は冬沢よりも軽く、明るい雰囲気で接してくれる。こいつ…多分チョロいぞ! 声も小西だし!
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ここの『コウちゃん』呼びで好感を作りつつ、中学時代経由で冬沢との因縁を見せるのも、未来に繋がるトス上げで良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
南北コンビが凸凹捻れつつ”ダチ”であるように、秋冬コンビも複雑な関係ながら”ダチ”なのだろう。二年と三年を対比・照応する配置が巧妙。
カリスマを補佐するteamの参謀が、それぞれ別の場所で別の相手をグイッと詰める流れも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
相変わらず蜂矢は純愛で、俺の好みのボーイである。君はホント揚羽が好きだねぇ…そんな君が俺は好きだよ。
背中合わせでも、相手を見る。存在の引力に惹かれる。
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そういう瞬間があればこそ、コンビはコンビなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
蜂矢が吐露する純真は、クールぶっていた北原の仮面を剥がし、強く踏み込ませる。
揚羽が踏み込んだ時の距離感と暗さ、北原がダチ特権行使した時の間合い。南條の切り崩し過程が面白い。
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物理的に押し込まれる南條の芝居は、つまり心理的な距離、防御を表している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
隠して見て見ぬ振りをしているものを、どんどん暴かれ、踏み込まれてしまう焦り。
自分が星谷と出会って、物語にいたことで生まれた変化。バカになってた事実を思い出していく。
冬沢先輩へのすり寄りは、そんな真実に背中を向けてウソを付くことだ。ウソなので、ランプシェードが写り込んで、一見親しい距離に影を生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
それは否定されるべき同盟だが、決定的な”なにか”がなければ締結されてしまう。相棒の本気パンチとかね!!
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かくして心を通じ合わせた南北コンビによる、二度目のステージ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
思いがまっすぐ衝突し、生まれる火花。すれ違いではなく、背中合わせでもなく。お互いを真っ直ぐ見て通じ合う、熱い関係性。
視界の端で、お前を(お前が)必ず見つめている確信。
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三期のお歌は特に、キャラクターの心情や関係性を上手くステージングして、ドラマの補助としていい仕事をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
日常では言えないあまりに真っ直ぐな言葉も、歌詞にすれば届く。歌の特殊性をしっかり生かして、キャラ理解が深まる助けにしているのは、良い使い方だ。
卑劣な政治的摺りより、そういうことをする”中学時代の南條聖”に背中を向けて、堂々の宣戦布告。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
バカ野郎と笑わば笑え、もう俺たち演劇と青春に狂っちまってるからよ!!
南條もまた、”スタミュ”の一人だったとしっかり判る展開で、一先ずの幕である。USBのおまけ付きだよ!!
南條を中心軸にして、いまいち本心が分かりにくい北原の純情とか、揚羽の変化とか、冬沢先輩の攻略難しそうっぷりとか、色々見えてよかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
見てくれよこの”闇(ダークネス)”…今回の展開を足場に、これを攻略していくわけだね。
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冬沢先輩も、昔なじみに思いっきり砂かけられて、少しは寂しいのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
今回内面を吐露した南條や北原に比べ、彼は三期のラスボスとして、簡単に崩れるわけには行かない立場。なかなか隙は見せられないし、内面も吐露できない。
敵役には敵役の辛さがある。主役だけで舞台が構築されるわけではない
そこら辺は後編の攻略対象として、カンパニー最大の異物が特級の演劇バカだったことが判り、グッと安心感が増しました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
卑劣なスパイとして敵本丸に切り込んだことが、攻略の糸口を掴むラッキーに繋がっているのも、なかなか捻りが効いてて面白かった。現実的であることは、悪いことばっかじゃない。
不利な戦況で掴んだUSBには、一体何が封じられているのか。そこからカンパニーの闘いは、どう変わっていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年7月29日
そんな大きな話も気になるけど、今回の衝突を経て南北コンビがどう変わるかも、今後の楽しみですね。イチャイチャしろ!!!!!
来週も楽しみ。