ハイスコアガールⅡを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
夜の渋谷は風雲乱舞。ビデオゲームも地域構想も、恋の鞘当てを前にただの前座に過ぎない。
流されるまま大人の国に迷い込んだ、純情ピコピコボーイを奪い返すべく。
日高小春、勝負の一大決心。た、助けてガイルさんッ!!
そんな感じの、恋のソニックハリケーン乱れ飛び、ハイスコⅡ第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
トレンディドラマみたいな強すぎる引きがマジで印象的だが、ゲームばっかりやってれば満足だった少年時代が終わろうとしている鼓動を、”あの頃”の渋谷と一緒に描く筆が強いエピソードとなった。
今までの筆運びだと、ゲームとキャラの人生はシンクロしていた。ゲームが上手くいけば、人生の問題も解決していった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
しかし今回の渋谷決戦、10タテしたところで状況は変わらない。ゲーム内の勝敗と、ゲーム外の厄介事が切り離されて進行する。
仮想と現実を繋ぐ没入感、特別性こそがこのお話のコアだと僕は思っているわけだが、背丈が伸び性を知り大人になっていく少年たちのドラマとしてみると、一旦そこを切り離す必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
永遠に静止した電子のネバーランドとは、違うドラマが現実では流れている。ハルオも例外ではない。
この物語はラブコメディであるから、成熟は恋と性の形を伴って現れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
変化していく世界を、まだ自分ごととして引き受けられない(引き受けたくない)ハルオより先に、自分の足で現実に立ち、肉体を引き寄せる戦いに挑むのは不屈の愛戦士・日高小春である。
ハルオはとにかく流されるばかりで、現実にうまくコミットできない。渋谷勢でもなんでもないのに大将にされ、いつもの服は引っ剥がされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
初心な果実を狙うコギャルの舌なめずりにも、全く気づかぬネンネちゃんである。
しかし、世界を全く認識していないわけではない。
変わっていく世界、子供ではなくなっていく自分への戸惑いを、ハルオはまだ言語化すら出来ていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
自分が何に戸惑っているのかすら解らないまま、『ゲームに夢中な子供』からはみ出さないように、大人になりかけの女の子が仕掛けてくる誘惑に、気づかないよう気づかないふりを続けている。
その防衛戦をヘタレ根性なし無責任と罵るのは、まぁ判る。日高戦士の捨て身の戦いを見た後だと、子供の残酷さが突き刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
しかし子供時代にしがみつきたいハルオの夢、電子のネバーランドにとどまりたい願望を、全部否定してしまうのはあまりにも残酷だとも思う。
子供のままじゃいられないけど、大人になるってなんだろう。さっぱり解らないまま、世界は勝手に加速して、大人な自分が求められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
理不尽に対抗できる強さ。愛を受け止められる靭やかさ。
そういうものが大事だってのは判ってるけど、どこから引っ張り出せば良いのか解らない。
一足先に勇気を振り絞り、エロティックな誘惑に踏み込んだ日高さんだって、大人になるのは怖かった。関係が変化するのは恐ろしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
それでも、好きだから。震えを握りしめ、大胆にメッセージを送ることにした彼女の成長に、ハルオは全く追いついていない。報いてもいない。
その残酷なギャップが夜の渋谷に炸裂するのが、今回のお話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
序盤散々に暴れまわり、何の成果も生み出せていない真が、身体年齢的には日高さんより”上”なのは面白い。
大人への旅路は、時間が勝手に進めてくれるベルトスクロールアクションではないのだな…。
渋谷 VS 溝の口の対抗戦を、スカッと終わらせ夜の渋谷。ゲームが介在しないリアルファイトを、日高さんはエロティックに誘惑する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
水に触れる指先。いたずらに誘う足先。め、メタファー!!!
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指先を濡らす雫が性的興奮の暗喩であることは、過剰ではなく正当な読みだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
日高さんは濡れている。ハルオに対して興奮し、愛おしく思う身体成熟を持て余している。
それは健常な成長の一側面で、怯えるものでも、バカにするものでも、遠ざけるものでもない。
少なくとも日高さん自身は、自分の中で渦を巻くエロティックな欲望に向き合い、それを誰にぶつけるかしっかり見据えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
それはハルオにとっての”大人”のように、不鮮明であやふやな影ではない。自分と同じ顔をした、コントロール可能な、制御しなければいけない自己像だ。
気恥ずかしさに堂々向き合い、自分の願いを貫くために誘惑する。日高さんは幻想に逃げず、真っ向勝負を仕掛けてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
ハルオはそれを受け止めきれない。どうすればいいかわからない。ゲームは何も教えてくれない。
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日高さんが差し出してくる恋愛のコードを、解読する文法がハルオの中にない、と言ってもいいだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
それはゲームばっかりやってたから、ではない。何も選択しないで良い子供時代の気楽さに、どうしてもしがみつきたい弱さと切実さがあるからだ。
そしてそれは、日高さんも同じである。
判っていても止まらない。そういうダイナモの強さがあればこそ、恥ずかしくても誘う。あなたを求めるわたしの疼きを、しっかり言葉にする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
日高さんは一足先に、自分に向き合う率直さ、真実の欲望を受け止める強さを手に入れた。でもそれは、純情ピコピコボーイにはあまりにも強すぎる。
結果として、日高さんのフラストレーションはクライマックスを迎えない。性で繋がる関係性、そこから生まれる変化を許容できるほど、今のハルオは強くない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
ズルズルと地面を引きずる傘の音は、少女のいらだちそのものだ。
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誘惑に答えないこと。Insert Coinと点灯してるクレジットに、スタートボタンを押さないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
それが『お前には魅力がない』というメッセージを含んでしまうことを、ハルオは知らない。NOを突きつけられる(形に、結果としてなった)日高さんが、どのように傷ついたかも、鮮明にはわからない。
溢れかえるような切実な肉欲、愛すればこそ渦を巻くエロティシズムは、ハルオにはまだ遠いのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
でも、日高さんには無視できない現実で、そのギャップを抱きしめるために、彼女は踏み込む。飾りのない本音を思い切り叩きつけて、少女のように涙する。
遠回しな誘惑が聞かないなら、それしか手はない。
ハルオは鈍感だが、残酷な男じゃない。目の前で泣きじゃくる女の子が、何に傷ついているかは分からなくても、傷ついていることは判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
成熟のギャップに戸惑いつつ、望まれるまま『ぎゅっと』しようとした、その時。
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『やっぱり”大野晶”なんだよなぁ…』と、全世界2億人が呟いたことだろう。俺は呟いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
溢れる涙と恋心の背後で、スッと差し込まれる純情の残影。ハルオの視線が一体どこに向いているのか、ハルオに夢中な日高さんは気付けない。
余りに残酷な構造を、一発で視覚化した見事な三角関係である。
あまりにもトレンディドラマ過ぎて、脳内で小田和正が歌いまくっていたけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
流されるまま渋谷にたどり着いたハルオは、日高さんに抱きしめられることで普段の服に着替えた。
でも、もういつもの景色じゃない。ピコピコな夢だけが辺りを取り巻く時代は、終わろうとしているのだ。
そこで一番に瞳を貫くのが誰か。溢れかえる欲望を受け止めてほしいのは誰か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
日高さんのエロティックに対しそうであったように、ハルオは自分の真実と、まだ向き合えない。答えを出せない。
それでも、世界は勝手に加速して、気持ちは勝手に転がっていく。恋を止めるチャレンジャーはどこにもいない
大野さんが”家”に縛られた、自由のない子供であるという状況設定が、ここで効いてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
恋に対し堂々向き合える成熟は、子供を縛り付ける理不尽に対抗する強さに成りうる。
何も分からねぇまま”ゲーム”を奪ってくる”大人”に、ゲームキッズのまま、ゲームキッズだからこそ対抗しうる強さ。
それは、ゲームばっかりやってちゃ手に入らない。ゲームから受け取ったものを拳握りしめ、決断とともに叩きつけることでしか、世界は揺らいでくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
そんなこと、ハルオもわかっているのだ。それでも、踏み込むのは怖い。選ぶことは怖い。
普遍的な思春期の震えが、渋谷を世界の中心に変えていく。
むせ返るような日高さんの純情と、それに抱きしめられつつ別の女を見るハルオの視線。檻から抜け出して、あまりにも生々しい成熟を見つめる少女の瞳。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
大人と子供、決断と怯えが複雑に交錯する、渋谷の朝。青春はいま、まさに臨界点である。
さーどうなってしまうのか。えつこのED入りも完璧だ!
日高さんのエロティックな描写が、非常に良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
それは気恥ずかしさをまといつつ、勇気と真正さで思い切り突き出された、ハルオに対してだけの誠実な誘惑だ。
そういうものが、世界には確かにある。ゲームではあんま描かれないけど、ナイーブで熱い身体性が、そこにはあるのだ。
それを受け止める土台が、今のハルオにはない。プレイするなんてもってのほかだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
しかし、それと向き合わない限り、ハルオの物語は終わらない。愛も性も成熟も、日高小春もそこに実際あるのだ。
ピコピコ純情ボーイは、余りに難しいゲームとどう向き合うのか。視線の先にある黒髪の純情を、どう解すか
思春期の”性”というものに、凄く真正面から堂々向き合ってる話なのが、この物語の(沢山ある)良いところかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
エロいことはみんな考える。悪いことだとも言われるけど、ちょっと待てよ。そこには身を切るような切実さと、踏み込むことへの怯えが、たしかにあっただろう。
日高さんの成熟と、ハルオの未熟。そのギャップを血が出るほどに擦り合わせつつ、この時代しか持ち得ない青臭さと熱量で”性”に向き合うお話でもあるのだと、今回のエピソードはしっかり宣言できた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
ゲームばっかだと身体性が薄くなるからね…エロスで補うのは大事。日高さん頑張った。エロかった。
まだまだ話数は残っているのに、話のテンション的には”最終決戦(ファイナルファイト)”な感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月8日
さて、話はどう転がっていくのか。幼年期と成熟とゲームを巡る構造も、まだまだ描ききってないしね…。
頂点を越えて更に熱くなる、ゲームと僕たちの青春。
マジで面白い。来週も楽しみ。