GREAT PRETENDERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
シンガポールを舞台に、欲望が空転する。
予定調和のエアレースを煙幕として、張り巡らされる罠。違法カジノに首まで沈め、悪党を破滅の縁に誘い込む。
進展する計画の中、どこか虚ろなアビーの瞳。
約束された勝利に漫ろな、ヒーローの思い。
発火点は、まだ遠い。
そんな感じのシンガポール空戦、仕込みと空回りの第3回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
アビーの過去がかなり長くタメられているのと、エアレースの勝敗自体がコンゲームに直結してこないため、ややモッタリした印象も受ける。
ぶっちゃけ、自分を見せないツン期がなげーよ、アビゲイルさん…その辛口が好きなんだけどさ。
惑乱する記憶に見えた爆撃と、ルイスの元軍人っつう経歴が衝突すると、一気に過去と本音が見えてくるとは思うのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
そしてそれが、痛快なる詐術を炸裂させる火種になるとも思うのだが、それは今回はお預け、である。
エダマメが持ち前の善人力で、チリチリ煽ってくれてんだけどね。
というわけで、不安定な空中での過去トークは、アビーが蹴って不発で開始である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
差し出したバレリーナのフィギュアは、知らず彼女の過去を占っているけども。「仕事を安定させるためにも、過去喋ってくれ』っていう、結構説得力のある歩み寄りを、アビーは蹴る。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/uB6XjUm6Vc
この観覧車での歩み寄りと拒絶は、エダマメがわざわざ超苦手な高所に登ってまでアビーの”人間”を見ようとしてるとか、それが超地雷でブラブラ揺れてる情勢とか、過去に繋がるバレリーナ像をアビー自身が投げてしまっている荒廃加減とか、なかなか示唆的で好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
ヴィジュアル的に綺麗で、意味も濃い
アビーのやけっぱちで不安定な態度は、戦地で焼けた過去に直結していると思うのだが、彼女はそれを一人で抱え込んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
しかしトラウマを仕事に持ち出さないほどには”プロ”ではなく、人生に刻まれた傷は、詐欺師としてのスタイルを不安定に揺らす。
これは既に顕になっている、エダマメの”善”と”家族”へのこだわりと多分同じで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
譲れないものが過去にぶっ刺さっているなら、それを埋葬することは出来ない。
どうにか自分らしく使いこなし、武器(あるいは弱点)としてスタイルに組み込むしかない。
エダマメは自分の意志で刑務所行ってケジメを付けたことで、お人好しな自分をある程度以上開き直った感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
他のメンバーが触ろうともしないアビーの地雷に、積極的に触りに行って彼女を知ろうとするのは、その現れだと思う。
そして、そんな人の良さは詐欺師には不向きだ。
ローランが見込むとおり、詐欺師になる天分を持った今太閤なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
一度目指して捻じ曲げられたように、善良な市民として生きていける農民なのか。
エダマメのスタイルもフラフラはしてるが、自分というものは見えているし、向き合ってもいる。そこが、彼に向ける好感の足場だったりもする。
バレリーナのフィギュアは投げて、しかしメダルは捨てられないアビーには、そういう開き直りがどうも足らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
第1章でエダマメが主役を演じたような、煮え切らない苦悩と決断。
それがどういう形で炸裂するか…今はタメフェイズ、ってことかなぁ。もうちょい先が予感できるほうが、自分は好みかな。
さて、LAの事件がそうであったように、ローランの計画は十重二十重に罠が仕込まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
ワークス参加はあくまで呼び水、本命はインチキカジノで悪党の財布に孔を開けること。
そのための色仕掛け…なんだが、相手がペドファイルだったのは残念無念。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/tZqgP4mi3i
LAでは冷静に”ポーラ・ディキンズ”を演じきったシンシアが、カッカとキレ倒している様には妙な可愛げがあるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
彼女はサムを切り崩す緒にはならない。なら二の矢、三の矢と計算ずくで…ってほど、ローランが策略練ってるわけでもないのが面白いところよね。
相当行きあたりばったりだぞ、アイツ…。
それでも狙った果実が手のひらに落ちてくる幸運を持っているのか、テキトー加減もまた詐術か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
読めきれない奥行きを残しつつ、ローランはインサイダーを用意する。憎めない元ヒールは復讐に焼け焦げ、詐欺など手ぬるいと背中を向ける。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/BcIBl1ekN6
ルイスの焼け焦げっぷりはなかなか好みであるが、彼もまた観覧車のアビーのように、曖昧な硝子に自分の姿を写している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
これは偽りのチャンプであるクラークも同じで、迷いを抱えたキャラクターは皆、シンガポールの美しい景色に、あやふやな自分を反射させている。
例えば露骨に最悪人間として描かれているサムは、こういう曖昧な自己像を僕らに見せはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
シンガポールを舞台にした物語で、何らか変わるべき弱さと迷いを抱えたキャラクターが、曖昧な自己像を重ねて演出されている…ように見える。
ここら辺、終盤ハッキリしてくる部分かなぁ。
お嫁さん詐欺に送り出す辺り、クラークも一味の狙いを完全拒絶、という感じではないのだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
アビーと同じく過去も本心も見えきらないので、なかなかど真ん中を射抜く感じが遠いキャラである。
叛逆の理由も、まだまだ不鮮明だしね。ここら辺はクラークと絡めて掘る部分かしら?
悪臭で虫を捕らえるラフレシアを、名にし負う悪徳のホテル。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
ここで仕掛けられた罠は、天才メカニックを身内に入れる策略。サクラが欲しいと言い出せば、欲しくなるのが人の心。
ここで餌に食いつく辺り、クラークは”速く”なりたいわけね。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/m4SQFiOMDp
付け焼き刃の整備技術で、嘘っぱちの王冠を本物にする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
クラークを誘引する甘い匂いはしかしフェイクで、本命はエダマメに吹き付けられた悪徳の香り、それが繋がる偽カジノだったりするわけだが。
『兄貴が用意した筋書きにはうんざり』という表情をしていることが、付け入る隙か、守るべき誠か。
そこら辺もひっくるめ、クラークの今後には注目したいところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
ここらへんの『後腐れなくハメていいヤツ』と『もしかしたら人間味があるヤツ』の分別の軽妙さは、結構好きなポイントである。そこら辺のマーキング、結構分かりやすく、かつ軽妙にやってくれるよね。
そこら辺の揺れ具合はアビーとルイスも同じで、過去に踏み込もうとして拒絶される。向かう先はより深い闇、どす黒い孤立だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
アバンのエダマメと似たことをして、自分と同じように跳ね返される。運命が炸裂する”機”はまだ遠いようだ。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/dlLuWmCeAV
エダマメは基本、詐欺をやってても光の中にいる。アビーは自分も問いかける相手も、影の中にとらわれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
5話使って自分が見えるようになった男と、二章の主役として迷いの只中にいる女。
雲ひとつない青空に、自分をもう一度置けるようになった時、シンガポールのお話が終わるんだろうな。
エダマメの手は跳ね除けたのに、自分は他人の過去を探っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
煮え切らない不安定さに、アビーは気づきつつやっぱり開き直れない。その源泉をかなり分厚く隠す構成が、ちとフラストレーションでもある。
第2話冒頭みたいな、見通しの良い回想とか欲しくなるわな。
さて、悪党の財布をこじ開けるべくまーた事情を知らされず、必死に走り回るエダマメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
謎の覆面集団に襲われたり、どっかから借りた言葉で凄腕メカニックを演じてみたり、偽物チャンプに忍び寄ったり、まーた覆面集団に襲われたり。
まさに獅子奮迅、詐欺仕事しまくりだ
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/Rhg9LmTuSH
メカニックとしてはねじ回して同じように〆ただけたんだろうけども、チャンプは自分が”速く”なったんだと思いたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
そんな心理をサクラで補強する辺り、やっぱ詐欺師としての才覚はあるのかもしれない。信じたいものを信じれるように、状況自体を作る策、というわけだ。
一方信じたいもの、揺れる心がないクソ兄貴は、翼が作る境界線を乗り越えることもなく、シビアで冷たい視線をエダマメに向けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
しかしそれは素性を見抜く鋭さには繋がらず、欲望を加速させるギャンプルを嗅ぎつけるだけだ。まーたローランが事情知らせず、エダマメを便利に使ってるぴゅる…。
シウォン突然の登場にも地金を晒さず、むしろ罠に誘い込む辺りエダマメも度胸が座ってきたけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
完璧にはなりきれないエダマメの隙を、芝居の完成度を上げるスパイスに利用してる感じあるよなぁローラン…。
というか、エダマメが慌てる様子を楽しんでるフシもある。やっぱ悪魔なんじゃないかな!
かくして悪党は釣り上げられ、ボテ腹のトルコ料理店主として沼にハマる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
トーブにクフィーヤ、王子としての装束を引っ剥がされるととたんにカモに見えてくるのは、なかなか面白い趣向だ。アレがこの男の”鎧”だったんかねぇ…。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/atQUd7QV9r
というわけで、エアレース関係ない所でハメられれそうな悪党だけども、もう一波乱あるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
思い出と痛みの詰まったメダルを抱え、揺れるアビーはどこに飛んでいくのか。
その陰りに、地に落ちた復讐者はどう絡んでくるのか。
色々種を蒔いて、待て次回、である。
©WIT STUDIO/Great Pretenders pic.twitter.com/66iXaEE3kQ
というわけで、タメと準備の回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月1日
エアレースの爽快感が結構好きなので、そこと直結せず事態が進むのに違和感を感じつつ、後半炸裂させるための仕込みかな、とも思ったり。
アビーの煮えきらなさ含め、じっくりタメてる部分をどう使ってくるか。次回も楽しみですね。