グランブルーファンタジー ジ・アニメーション：第7話『鉄の巨人』感想ツイートまとめ

グランブルーファンタジーを見る。
イオちゃん編後半っつーわけで、ダンジョン潜ってコロッサスと戦い大公を改心させ新しい仲間と新しい旅立ちまで、ややキツキツに進行。
潤いが少なめだったのは少々残念だったが、相変わらずお話の価値観を仕草に盛り込む演出が信頼感ある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

回想やカットを最大限活用し、イオちゃんと大公の物語をなんとか尺に入れ込んだ今回。
幾つか印象的な見せ方があった。一つは『魔法』の描き方。イオちゃんの笑顔を拭った『魔法』はどう見ても手品だが、主眼はマナの有無、破壊能力の有無では当然ない。『魔法』の資格は精神的なものを守れるかにある

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

泣いてたイオちゃんは大公の『魔法』で笑って、彼の精神を取り戻すためにPTに合流し、ダンジョンに潜り、ドラフの角を真似てデカい飾りをつけている。
空っぽになったイオちゃんに生き方を示すことが出来るなら、大公の手品は十分以上に『魔法』なのだ。ルリアの涙を継承した『魔法』で止める所最高

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

『魔法』は望まぬ暴力や暴走を止める仕事もしていて、決定的な一打を（ルリアに強化された）イオが放つというのは、なかなか分かりやすい。
あれも敵を倒すというよりは、パワーの扱い方を見誤った大公やコロッサスを正気に戻し、精神的価値を再獲得させる意味合いのほうが強い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

他人を押しのけたり、踏みにじったりする物理的暴力のルールを拒絶し、在るべき自分を取り戻す心の『魔法』を使う。
イオちゃんの話をピックアップしてみると、非常に正統派の魔法少女物語になっている。『守るための力』というのはこのアニメ全体のテーマでもあるので、良い響き合いだと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

イオちゃんは主役であると同時にちっちゃいガールでもあるので、登場人物は片っ端から彼女のサイズに合わせて行動する。
先週のグランくんも、今週のルリアと大公も、みな膝を曲げ、イオちゃんの目線に合わせて言葉をかける。相手の立場に寄り添う優しさを描く時、イオちゃんの背丈は強い武器になる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

個人的には、ルリアがイオちゃんに過去を思い出させ、辛いことに立ち向かうパワーを与えているシーン…をじっと見守っているラカム＆カタリナさんが印象に残った。
『チビっ子が元気になったし～』と言うってことは、元気になるまで動くつもりはなかったってことじゃないですかラカムさん。好きよ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

『視線を合わせる』のと同じくらい多用された『背中にかばう』仕草も、なかなか印象的だった。
弱いやつを守るために前に出る。体を張る。身体言語として優しさと強さが幾度も表現されるので、あのPTが愛と正義の戦士なのだということを、気づけば飲み込めてしまえている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

幾度もリフレインさせつつ、『後ろに下がったやつが前に出てくる』描写を組み合わせて、守られるべき弱者が強くなる描写につながるのも面白い。
今回のコロッサス戦はルリアのバフで勝った形なので、そういう役割変化はより印象的だ。今週はるりぴっぴ目立ってたなぁ。少女がお姉さんぶるシーン最高。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

コロッサスの退場も『背中にかばう』ことで己の本文を取り戻し、去っていく形だ。
リフレインが気持ちいいだけに、回想でカットアップするのではなくオーソドックスに流す尺があれば、もっと刺さったろう…という惜しさはある。グランくんが大剣の一撃を受けるシーンとか、アングルの回転凄かったし。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

このアニメは本筋の淡白さを細やかな描写力、蓄積されている人間関係の巧みさで味付けしているわけで、3話じっくりと強みを活かしたラカム編に比べてしまうと、イオに二話しか使えなかったのは、正直食い足りなさが残る。
不満というよりは『もっとやれたのに！』という無念に近いか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

それは二話で納めるしか無かったスタッフが一番感じているだろうし、イオちゃんの健気さ、可憐さ、強さというコアの部分はしっかり抑えていた。
大公との『魔法』の繋がりもよく見えたし、『力より大事なものがある』というベーシックな骨格もパワフルに表現されていた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

ラカムの描き方を見ると、『当番回が終わってこれでおしまい！』ということはないだろう。このエピソードで見せたイオちゃんの良さは、また別の仲間が加わる時、新しい冒険の中でしっかり発揮されると思う。
そういう繰り返しが味わい深く、また面白くもある。イオちゃんが仲間になってよかった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

来週以降もあの黒インナーと肩甲骨が唸りをあげるとおもうと、正直DOKIDOKIモノであるが、水の島での新しい冒険を楽しみに待ちたいと思う。
やっぱ仲間が集ってきて、戦力が拡充されて、一歩ずつ手応えを感じながら話が進むのは、充実感があるなぁ。出会いと変化のダイナミズム。数の魅力。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月13日

神撃のバハムート VIRGIN SOUL：第6話『Anatean Holiday』感想ツイートまとめ

神撃のバハムート VIRGIN SOULを見る。
人にとっては戦勝の祝祭、悪魔にとっては屈辱の痛み。光と闇が交錯する祭りの中で、女と男の運命が交錯する。
光に満ちたロマンティック・コメディを全力で描きつつ、端っこの薄暗さを見逃さない、丁寧な話でした。繊細で大胆、VSらしい。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

今週はとにかくニーナとシャリオスのデートがデートでデートな回だった。
一話じっくりと乙女のトキメキを食い尽くさせてくれたおかげで、ニーナのキュンキュンな気持ちにオレの心もシンクロ率400％　シャリオスの値段も、ニーナの恋心というフィルターを通してガンッガンアガる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

少女と王様がお互い正体を知らないまま出会い、恋をする。
スジだけ書くと二兆回くらい使い古された展開だが、食事や出し物、町並み、踊りといった細部のクオリティが圧倒的なおかげで、『これがニーナが手に入れた、唯一の恋なのだ！』という説得力が半端なかった
質の暴力で的確に殴る。素晴らしい

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ロマンスだけだと甘くなりすぎる展開だが、ニーナの発情顔芸がとにかく面白く、賞金稼ぎ家族の助演もいい塩梅にヌケていて、笑いで甘さを抜いていた。
ヒロインであることをやめない程度に愉快で、ロマンス全開で主役をちゃんとやる。今回のニーナの味付け方はベストだったなぁ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

シャリオスも薄暗い玉座の血生臭さを捨てて、穏やかに少女をエスコートできる紳士力全開。一緒に心から楽しんでくれる心意気がグッド。
一回市場で軽く接触して、夜にもう一回ディープにコンタクトする流れが良いんだよなぁ…なんというか、二度起こることが運命的なのだ。一回は偶然、二回目は必然。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

一回目の接触はニーナの変化を書くのにも役立っていて、メシは踏みにじる女は蹴り飛ばす、極悪非道のイケメン軍団にも発情していたニーナは、黄金の夜を過ごすことで恋心を制御し、シャリオスの目を見ることが可能になっていく。
それはニーナが恋と出会うことで、自分の運命をねじ伏せる前触れだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ニーナの発情はコメディ要素であると同時に、向かい合うべきものから目を背けてしまう悲しさの発露でもある。
不当な暴力を振るわれているのに、相手がイケメンだから対処できない。殴られるままである。
そういう状況を、ニーナは乗り越えなければいけない。誤作動した恋を乗りこなす必要がある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

イケメンをシステマっぽい動きで投げ飛ばしたシャリオスは、ちゃんと食材を整え、ニーナが恋、そして自分自身と向き合うチャンスを作ってくれる。
りんご飴を食べ、射的に興じ、狂った作画力でダンスをする。ごく普通の喜びが心を照らし道を開いていくのは、先週のムガロと同じだったりする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ニーナが初めて見つけた、自分を制御できる恋。
それは覇道の機械として血と闇の中にあったシャリオスにとっても初恋で、多分唯一の恋だ。
血の赤とは違う、唐辛子のスパイシーで美味しい赤。差し出された恋の予感がニーナの前で跳ねる。ヴィヴィッドでロマンティックな演出だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ニーナ（を通してあらゆる人）を守ってくれるシャリオスは、昼間の青い空、夜を金色に彩るエロティックな灯火の中で輝いている。
その合間、皇帝として城に戻った時、光はむしろ闇を輝かせるために使われている。この対比は、合間合間に挟まれる悪魔の描写と共通だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ニーナが身を置く人間の幸福は、常に悪魔の不幸を踏みつけにして成立している。無邪気な喜びの背景には、怨嗟と憎悪が渦を巻いている。
ルサンチマンの影を背負うアザゼルは、ニーナに向き合わないまま計画を進め、赤いドラゴンが破滅の踊りを踊ってくれることを前提に、テロルを計画する。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

それはニーナ個人に向かい合い、またニーナが個人に向かい合う足場を丁寧に作ってくれたシャリオスの踊りとは、全く正反対のものだ。
ダンスシーンにカロリーかけたことは、まったくもって無駄ではない。
シャリオスは丁寧で生の喜びに満ちたステップを踏める男なのだと、一発で分る。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

しかし一度市場から離れ、城の宵闇の中に戻れば、シャリオスは相手の顔を見ない（正確には見つつ踏みにじる）暴君に変じてしまう。
白いシャリオスと黒いシャリオスの間には、どういうブリッジがあるのか。そこに人格の統一性はあるのか。ニーナの恋を描くことで、シャリオスの覇道も陰影を濃くする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ニーナとシャリオスのロマンスを彩る、賞金稼ぎ家族の描写も最高に良かった。
バッファローウイングという、一風変わった『おふくろの味』を使いこなすリタのオカン力。
思春期ニーナに不潔と嫌われ、心に傷を負いつつシャリオスとの縁を結んでくれるバッカス。
くわっくわ喧しいハンサ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

龍に鳥に死人に神。血も繋がっていないし、人間でもないけども、あいつらの絆は凄くいい雰囲気で、楽しそうだった。
ニーナを思いやっていることが描写の端々から感じられるし、それがいい結果を連れてくる充実感もある。多様性の結合、その喜び。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

それはカイザルが皇帝に言い放った『皆が手を取り合える未来』の一つの形であり、未来への希望だったりする。
こういう感じで、各キャラクターが抱える要素をそいつが不在のシーンで描き、共通性と奥行きを作っていくのはとても良い。
シーンとシーン、キャラとキャラの響き合いが運命を加速させる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

希望は常に破滅と背中合わせで、楽しい祝祭の裏では悪魔のテロルが計画されている。
男と女がキラッキラにデートする青春の足元では、闇の中でネズミがヘビに飲み込まれる。共存共栄と弱肉強食。相反するルールは、どちらかを重視しながらも、世界から忘れさられることはない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

巧いのはルールが相反しているのは世界レベルだけではない、ということだ。
恋と日常を輝かせつつ、世界の薄暗さに気づき始めたニーナ。
平和の喜びを受け止めつつ、覇道の玉座から動かないシャリオス。
悪魔解放のための暴力で、人間の日常をぶち壊しにしようとするアザゼル。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

光と闇、戦争と平和。2つの波は各キャラクターの中でぶつかりあい、うねりを生み出す。それがキャラクターを変化させ、また別の領域に押し流し、物語は回転し前進する。
じっくりと帝都の明暗を描いてきたVS、そのエネルギーの溜め込みは、いい具合に温度を上げてきている。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

そういう大河のうねりが楽しく感じられるのも、個人個人の人生の色彩をリッチに、目ざとく描いているからだ。
今週ニーナとシャリオスのロマンスを徹底的に描ききったのは、彼らがあの世界で感じている喜びを体感し、目の前の絵空事が『ある』のだと信じられる、強靭な足場になった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

光と闇の交錯は、平穏の中のテロルという形でまずは炸裂しそうだ。ニーナがつながりを持つ二人の男が、人間と悪魔の代表として衝突する。
戦争と平和の境界線で、ニーナは何を考えどう動くのか。カイザルの理想は。輝きを描いたからこそ、闇との接触に期待と想像が膨らむ。
来週も非常に楽しみです。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

いやーしかし良かったなぁ今回…やっぱ照れなくど真ん中にロマンス投げてくる豪腕最高だな…キュンキュンしたな。
僕はむくつけき男子であり、どっちかといえばバッカス顔ですが、それでもトキメキは甘く喜ばしい。二人には幸せになって欲しいけど、まぁ悲恋だよなぁ…頑張れ！

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

追記

バハ追記。
祝祭に浮かれる街の中に、テロ警戒と治安維持のために魔法ロボがヌッと突っ立ってる絵も、光と闇の交錯を大事にするVSらしい演出だった。
ああいう何気ない風景にも意図が感じられるのは、僕好みの緊張感だなぁ、やっぱ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

あとカイザルが人混みの中からアザゼルを見つけるシーンは、先週は弱点に見えた『理解できてしまう能力』の強さが出ていて、とても良かった。
個性は弱点であり長所でもある。キャラ描写をのっぺりさせず立たせる、丁寧な見せ場の作り方だと思いました。しかしお祭りデートの相手、お前はアザゼルかよ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ツインエンジェルBREAK：第6話『うわさの怪人・黒薔薇男！』感想ツイートまとめ

ツインエンジェルBREAKを見る。
変態オトコが深夜にトーストを食べ、サイボーグマグロ解体アイドルは焼きそばパンの焼きそばだけ食べる。
トンチキ人間棚浚えのトンチキっぷりを維持しつつも、人間としてのスタンダード、『普通』であることをじわじわ積み重ねるお話。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

今更ながらツインエンジェルはトンチキな話で、真顔で延々ボケ続ける。
人間椅子ネタかとおもったナスティないとはフツーに外で突っ立ってるし、主役を見守る執事は魔法瓶に味噌汁入れてるし、それを食べた感想は『わかめ～』だし、全てがボケにボケている。その奇妙な味が作品の独自性でもある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

しかしそういうとぼけた味と同時に、結構まっとうに魔法少女ヒロインやり続けているのもこのアニメの味。
少女が特別な力に選ばれ、仲間と出会い、悪と戦う。それが上手く行かないことも含めて、小さな正義の味方の話を案外丁寧に追っている。『普通の魔法少女の話』でもあるのだ、マジボケだけど。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

今回はそんなめぐるの『普通』を描写する回で、彼女は特に気負いなく人を助け、プライベートな時間を削ってパトロールをする。
無神経な部分もあるが根本的に善人で、その行いが小さな、しかし確実な結果に結びつく。ごくごく『普通』の善因善果を、彼女は体現する。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

良いことすれば、良いことが返ってくる。誰だってまっとうに生きられる。
そういう無邪気な価値観が、今回のめぐるの『普通』には反映されている。人生にポジティブな彼女は、いつだってそれを心のなかでは留めず、具体的に行う。
そこまで行くと、じつは『普通』は『特別』だったりする。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

凡事徹底、直心是道場。
人間として『普通』の善行を『普通』にやり続けるめぐるは、その積み重ねで主人公たる特別性にたどり着いている。
ツインエンジェルに返信できるからでも、エナジーをたくさん持っているからではなく、極限的に『普通』だから主役。ベーシックな少女小説の主役だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

めぐるの『普通』さは、あからさまに『普通』ではないヴェールに善い影を伸ばす。
サイボーグであり、生来の悪として製造されたヴェールは善の善たる理由を知らない。赤信号は無視するし、ゴミはポイ捨てする。それが悪いことだと知らないからだ。
めぐるはそれを訂正し、『普通』の善を教える。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ゆる～い日常の中で描写されるこれが、非日常の戦闘（もしかすると命の取り合い）に投影されているのは言うまでもない。
他人の生気を吸い取り、武器で己の意思を通す悪。それしか知らないヴェールを『普通』に生かす前フリとして、転校もあるしめぐるとの交流もある。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

今回の話が秀逸なのは、『無自覚な悪は、善を知りうるのか』という問題を先取りし、めぐるにさくっと答えさせているところだ。
『知らなかったらしょうがないよ』
それがめぐるの答えであり、それに寄り添ってめぐるは『普通』の善をヴェールに教えていく。思いやりは『普通』に届く。奇跡のように。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

この構図はおそらく、トゥニエイツ（ロシア語で『鮪』だと知った。変なアニメ。好き）との決戦で再演されるだろう。
日常は非日常と常に地繋がりで、『特別』なものはない。日常の中で発揮される『普通』の善は、非日常の巨大な悪に対しても力を持ちえる。
そういう素朴な価値観があるのは良いことだ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

無論、めぐるは『普通』に問題の多い子で、ヴェールにかまけすぎてすみれとの交流が疎かになる。
注意力が足りないせいで、『普通』にイイコトしてるのに足元がお留守になるのも、めぐるの個性としてこれまでちゃんと描写されてきた。それが生み出す問題を無視しては、『普通』の善の説得力がない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

すみれの不機嫌も、ヴェールの変化も、今後のったりのったり独自のペースで話を勧めていく中で、ちゃんと拾われるだろう。
そういう構成の地道さも、このアニメがトンチキでありつつ『普通』な部分だ。そして、『普通』であること、ベーシックをちゃんとやるのは強いし面白い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

あからさまに遅延行動してるナスティナイトの描写含め、今後話しを転がしていく足場を組んでいく回でした。
こういうエピソードの手際で作品全体の手際が判るし、じわじわ積んでいくのは大好きなところなので、地味ながら楽しめた。
地味…？　トーストと焼きそばパンとわかめの味噌汁が……？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

とまれ、トンチキ要素が目立ちがちなこのアニメ。
主役がどういう価値観を背負い、どのように具体的な善に反映されているかを描いて、『普通』に必要な説得力をちゃんと獲得していた。
トンチキさを楽しく飲めるのは、やっぱ感情と倫理の流れに捻れがないからだなぁ。変なりにスジが通っている。好き

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

『ゾンビ最強完全ガイド』感想

『ゾンビ最強完全ガイド（ロジャー・ラックハースト著、福田篤人訳、エクスナレッジ）』読了。
邦題マジ最悪だが、中身は英字タイトルの『zombie：A Cultural history』にふさわしく、非常にどっしりしたゾンビ研究の本。ハイチから日本まで、空間と時間を踏みしめながら探る

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ポップアイコンとして、恐怖の象徴として、俗悪な遊び道具として、今や世界中に伝播したゾンビ。
本著はその源泉から現在までをハンディなスタイルで調べ上げ、まとめ、批評した本である。1887年から2015年まで、ハイチからボリウッドまで、植民地紀行文からゲームまで、守備範囲は広い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

しかし足場が軟弱というわけではなく、時系列に従い様々な資料を読解していく落ち着いたスタイルは、ゾンビというテーマが持つ何処か上っ付いた空気を、巧く払っている。
縦深が深く、テーマへの眼差しがしっかりしているので、読みやすく明晰だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ゾンビは西洋にとっての異境・ハイチの謎めいた習俗として西洋文化の前に現れる。それは黒人奴隷がアフリカから移植した精霊信仰の延長であり、常に植民地と西洋の境界線に位置している。
この横幅広い本に一本の筋を通すのは、植民地と西洋、近代と野蛮の境界線を常に睨みつける姿勢だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

日本人にも馴染み深いラフカディオ・ハーンのハイチ紀行文、もしくはシーブルックの『魔法の島』に宿っている、近代からの闘争の視線。逃げ場所として野蛮な国を見る目線。
それは異境人を常に食人種として描いてきた差別の目線と絡み合い、食人族としてのゾンビを実体化させる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

黄禍論/人海戦術と『群れ』としてのゾンビの繋がりを見つけたり、アメリカ南部に住み着いた『異物』としてハイチ人移民のコミュニティを睨む目線とゾンビ受容を重ねたり。
植民地が独立してもなお残響する衝突と境界を見逃さないことで、雑多なゾンビ文脈に文化史としての背骨が入っていく。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

前半かなりの部分を『zombi-zombie』『Vodou-Voodoo』という言葉の変化に費やしているのは、境界線をまたいで/侵略してアメリカに入っていくゾンビを分かりやすく描く上で、非常に強力な装置になっている。
言語は変化し、土着的文脈は差別と無知のなかで忘れ去られる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

政治的にハイチを制圧しつつ、ゾンビに込められた意味合いを略奪し、ポップカルチャーとして、あるいは政治を加速させる偏見の装置として使い潰していく歩みを、この本は丁寧に追いかける。
国際化し、NetflixやSteamで楽しめるゾンビたちも、その歴史から逃れているわけではない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

紀行文-パルプ小説-映画-ゲームと流れ行くポップカルチャーの流れ、その中で歴史的事件と照応しながら変化していくゾンビの姿を置い続ける筆も、タフで着実だ。
それは個別の作品であると同時に一時的ブームであり、一つの文脈でもある。並べることで、関連と差異をちゃんと確認できる。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

ゾンビにまつわる差別性を冷静に見る目が、『低俗なものを持ち上げることで、自分を高貴な位置に押し上げる』という高低差の戦術から、巧くこの本を回避させているのも大事だろう。
ゾンビは下らないものであり、同時に様々な意味を持った様態でもある。他のすべてがそうであるように、見る価値がある

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

特に後半、ゾンビの時間旅行が映像の世紀にさしかかり、映画の中のゾンビが主題になった時、その冷静な目が活きてくる。
ロメロ諸作品（とその後継作/模造品）を文明批評として捉える既存の文脈を踏まえつつも、行き過ぎた部分はバッサリ切り落とす筆の小気味よさは、読んでいて気持ちが良かった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

無論、コンパクトな判型に収まりきらない部分は多々ある。
アウシュビッツとヒロシマ、大量死が突きつけられた1945以降のゾンビの『群れ化』をこの本は語るけども、では第一次大戦の塹壕の死骸が起き上がらないのは何故なのか、とか。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

そういう意味で、最強でも完全でもないこの本が『ガイド』な部分だけは、邦題は正しい。この本が切り取った視線と視座をあくまで足場にして、そこから広げていくための導きは、非常に確かな筆でしっかり描かれている。
頷きつつ、あるいは反発しつつ、ゾンビの新境地を飲み込めるいい本だと思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

『ハイチの古ぼけた民族』もしくは『ハリウッドの異端児たちの昔話』で終わらせず、『いま・ここ・わたし』に繋がる要素をしっかり描いて終わっているのもとても良い。
世界的感染拡大の危険視と、パンデミックとしてのゾンビ。
極限化したグローバル経済と、ハイチの奴隷労働力としてのゾンビの帰還

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

日本人の読者としては、ラフカディオ・ハーンから始まって三上真司に帰還する構成が、なんだか不思議に身近で面白かった。
ハイチから遠く離れたこの国でも、"がっこうぐらし"もあれば"凍京ネクロ"もある。作者が言うように、ゾンビは産業化した現代の産物でもあるのだ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

結論として『ゾンビには色んな顔、色んな歴史、色んな文脈があり、よくわからない。わからないから面白いだろう？』と語りかけてくるこの本は、最強でも完全でもない。
だからこそ誠実で、面白い本だと思った。ポップでありながら沈着、低俗さを維持しつつ強靭。良い読書だった。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月12日

アイカツスターズ！：第56話『キャッ！と注意報』感想ツイートまとめ

アイカツスターズを見る。
頭のオカシイアイカツが帰ってきた！　アイドル二人が流派を背負ってガチ対決！！　というのは前フリであり、あこの乱入で水が入りつつ、レイとのマッチアップの序章をやっておく回。
真昼の特異領域であるモデルにクローズアップするのは、仕事してる感があって良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

というわけで、予告のぶっ飛び加減からどうなることかと思っていたが、思いの外落ち着いて後の展開を作るエピソードだった。
謎の最強モデル・シューティングスターに憧れつつ、レイとはバチバチする真昼。同一人物だと知った時、『エルザの執事』ではないレイ個人のアイカツが始まる…感じかな？

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

武術ネタは真昼とレイの味の濃いところを拾いつつ、よりアイドルらしい側面にカメラを振るためのステップと言うか。
妙に餓狼伝っぽい動きで真昼が『剣道が最強…？　取り消せないよ…？』みたいなことを言い出したときは、『邪ッ！キャオラッ！！』ってメガバイオレンスが展開すると期待もしたが。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

しかし今回は妙に武道ネタが冴えてはいて、ガーリーな猫ちゃんとの追いかけっこから斬猫の領域まで達したレイの武術を見せたり、閉所では長物が仇になる実践剣術の描写があったり。
ガチさがトンチキを生む無印アイカツっぽさがほとばしった回だった。やっぱ、無印テイスト二期は増やすのかねぇ

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

真昼とレイのガチアイカツはまだまだこれからという塩梅で、今回はあくまで接触編。
『体幹』『照明』『靴のすり減り』をリフレインして、レイのただものではない感、真昼のモデルにガチっぷりを見せるのは、結構好きなやり方。若干露骨で油っぽくもあったが、重ねないよりは良い。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

二人の関係にストップをかけ、共同作業を通じて関係を深めるためにも、あこが逃げ惑う展開は必要だったのだろう。
組のトップたるS4が不法侵入・器物損壊をネタではなく企んでいたっぽい描写とか、赤服の値段をどう付けたいのかさっぱり分からんけども、まー誰かがやらんといけん仕事だ。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

とは言うものの、こういう仕事は交代でやって初めて公平さが出る。
ずーっと道化、ずーっとボケ、ずーっと負け役では、世界が勝つために構成され、勝つこと、才能があることだけが価値を持つ作品としてシェイプされていく。
負けの中に勝ちを見出し、道化の誇りを主題に進めるなら、また話は別だが。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

ゆめとの響き合いで自分なりの価値を考えるリソースがあるローラはまだしも、あこはあらゆる局面で空回りし続けている。
彼女が四ツ星に残って背負うことになった『S4としての責務と誇り』も、今回ザックリとVAに乗り込んだことで、その意味がどうなっているのかかなりボヤケたと感じた。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

VAという舞台、二期の新キャラクターを推す期間なのはわかるが、だからこそその光が生み出す陰りと、そこに追い込まれたキャラクターを粗雑に描かないのは、大事な気がする。
まぁ一期終盤のエピソードを受けて、早乙女あこに個人的に肩入れしているというのは、当然あるのだけども。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

しばらくは待つけども、負け犬であり道化であるあこに『何か』を持たせるエピソードを近いうちにやって、作品全体の公平性を整える描写がほしいなと、今回のあこの扱いを見て思った。
スターズにそういうことを望むのは、もはや筋が違うのかもしれないが、まだ僕は、そこまで諦め切れもしない。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

定められた仕事や役割、キャラ属性以外の要素を貪欲に盛り込み、多角的にキャラクターを彫り込みつつ、商品としてのショーアップもやりきる。
難しい綱だと思うが、渡りきってほしいと常に願っている。
それが出来た先行作はちゃんとあるし、同ジャンルである以上絶対それとは比べられるんだから。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

というわけで、真昼とレイの道を整えつつ、その整備役になったあこの不遇に目が行く回でもありました。
話の流れでメイン＆トップになったけれども、正直あこのキャラ性、立ち位置を持て余している印象も受ける。キャラの大きな部分を預けていたすばるの出番も、二期はさっぱりだしな。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

凸凹いろいろあった一期から、その反省と切り捨て含めて新要素を入れた二期との接合は、とても難しいと思う。
でも（こういう言い回しはキツいけども）『不良債権』として処理するのではなく、自分たちが作ってきたもの、生み出した世界とキャラを大事に新しいものに挑んで欲しい。そう思う。

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日

とは言え、選択と集中無しで勝てるほど女児アニ資本主義地獄は生ぬるくないしなぁ…VAの持ち上げ方と、主役勢の追いつき方含めて、夏辺りまでは難しい舵取りが続くと思う。
そこまでいけば、船がどこに行きたいのか、今どこにいるのかもクリアになる。Bon Voyage,Venus Ark.

— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年5月11日